本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

串戯と串談

2016-09-08 09:26:11 | Weblog
 ある本によると、島崎藤村や樋口一葉は冗談のことを「串談」と表記したそうだ。読み方は同じだが、「串」の字は音読みでも訓読みでも「じょう」と読めない。
 ただ、漢和辞典で引くと、「串」の例語に「串戯」(かんぎ)があって、歌舞のたわむれ、おどけの意とある。となれば、おどけた話だから牽強付会に「串談」をジョウダンといわせたわけか。

 泉鏡花は盛んに例語にある「串戯」の表記を使っているようだ。「婦系図」で「串戯じゃねぇ」のセリフがある。これを仮名で「じょうだん」と振っていた。鏡花は勝手に拵えた訓読みかしら。
 では、鏡花と同時代生まれの藤村や一葉が使った「串談」の「じょうだん」読みは誰が最初に用いたか。

 「串戯」は漢和辞典にあるが、「日本語大辞典」や「大辞泉」には載っていない。泉鏡花の小説に用例があるのだから、日本の辞書に収録してもよいではないか。ただし、「かんぎ」として。

コメントを投稿