本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

代行運転手の話

2018-11-23 09:53:26 | Weblog
 ふぐコースを堪能したあと運転代行を頼む。市の周辺部に住んでいると、飲み屋街に往きは自ら車を運転し、還りは代行の運転が一般的なのだ。つまり、代行料金(ウチの場合は3千円ほど)が発生するので、市内に出かけて飲む回数が制限される。

 それはともかく、福岡県田川市生まれの代行運転手と話が弾んだ。田川はかつて有数の生産量を誇る炭鉱の町だったそうだ。

 聞けば、父親も祖父母も炭鉱労務者だった。なんでおじいさんはふんどし一丁で石炭を掘り、ばあさんは腰巻ひとつで掘られた石炭を運んだという。もちろん、じいさんばあさんは当時若かった。「ばあさんは上(上半身)はトップレスでした」と言ったことがおかしかった。仕事が終わると、浴場で真っ黒になって体を洗うわけだが、混浴だったそうだ。

 代行運転手は69歳というから、祖父母の話は明治の末か大正の始めのことだろう。
 これらの話は、世界記憶遺産になった山本作兵衛の炭鉱夫の絵に描かれたとおりだ。

 代行運転手の子ども時代、坂下の労務者の炭住と坂上の職員の社宅とは広さが大違いだった。その坂は百円坂と呼ばれていたそうだ。給与の格差を比喩的に語ったのかしらない。いつから言い出したのかしらないので100円の価値比較はできない。

 話が弾んだというよりずっと聞かされていた。家に無事に着いた。