本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

読み手はどんな人か

2006-06-11 15:11:10 | Weblog
 ここに、二つの英文和訳のコンピュータ言語のマニュアルの抜粋がある。どちらも同じ内容のものだが、仮にその二つをAとBとすれば、Aは生硬で難解な訳文、Bはそれを分かりやすくした訳文という。さる知人からAをリライトしてBにしたい。ついては監修してほしいとのことだ。
 テクニカルタームが頻発することもさりながら、私はそもそもコンピュータ言語なんぞに無知だから、字面を追っただけではどちらの訳文でも内容が理解できない。つまり、内容を理解できない素人には、BはAより若干表現的に気配りしている程度にすぎないということだ。裏返しに言えば、その気配りによってどれだけ理解度が増幅するのか素人には判断つかないのだ。かくて、監修お断りとなる。
 
 この種のマニュアルは難解な表現が多いといわれるが、多分、噛み砕いて表現することに限界があるのだろう。それでも、読み手(私のような素人ではなく、実際にその知識を必要とする者)から悪評が高いのは、読み手のレベルを高くしているか、あるいは全く考慮していないかのどちらかであろうと思う。
 テクニカル文書作りは「てにをは」の表現上の問題以前に、対象となる読み手のリテラシーを見据えることだろう。