ひとこと・ふたこと・時どき多言(たこと)

〈ゴマメのばーば〉の、日々訪れる想い・あれこれ

「一匹の鬼を飼いながら・・・」

2020-01-18 06:23:26 | 日記
阪神大震災は、25年を迎えました。
灯された鎮魂と復興のロウソクの内にも、まだまだ悲しみと痛みが溢れていることでしょう。
謹んで、黙とういたします。

死んだゾウの牙を国外へ持ち出そうとして成田空港で「御用!」となった元飼育員男性の
記事が報じられました。
国際的に禁じられているものですから、法に触れ逮捕されることは当然ではありましょう。
また、大の男が「箱」に入っての逃亡劇などもありました。
併せ考えますと、やっぱり「ヤマブキ色」の威力は古今東西を問わずスゴイ!と言わざる
を得ません。
逃亡劇は、決して美しいモノとは思えませんでした。

美しい人と言えば、歌人の馬場あき子さん。
NHK『心の時代』 ー歌詠みとして今を生きるー (1月11日放送)を観て、以前から
好きな方でしたが、その佇まいの美しさに圧倒されました。
馬場あき子さんが書かれた『鬼の研究』(三一書房 1971年版)は、私の読書歴では忘
れられないインパクトを与えられた作品の一つです。
当時も、美しい方だと思っていましたが、91歳の馬場あき子さんは、年齢がその美しさを
深化させた様に見えました。
番組では、月一回開催される歌誌「かりんの会」の模様も収録されていました。

『鬼の研究』では、その「あとがき」にも記されていますが、
 《鬼とは、人のなれの果て。・・・王朝の繁栄のかげで破滅に追いやられながらも現実を
  生き抜いた人の意志や姿が鬼として語り継がれた・・・・・・》と。
私も民話の語りなどをしていましたが、「みちのくの哀しい鬼たち」の伝説を沢山知ってい
ます。
鬼の持つ表情の哀切さ、人の持つ鬼の部分…情念を熱く語りながら、「一匹の鬼を飼いなが
ら歌人であり続けたい」と話された歌人・馬場あき子さんに、憧れにも似た羨望を覚えた私
でした。

そして、また、
『日本が植民地を持った時、その国の「コトバ」を奪ったのは卑劣な政策だった』と語り、
自分のことばを大切に守って行きたいとも語られたのです。
馬場あき子さんの語る「日本語を磨く」という思いに深く共感、共鳴を覚え、一つ、深い
息を吐いた暖冬の日差しが明るい午後のひと時でした。
能舞台を背景にした一人の歌詠みの和服姿は、美しく凛としていました。
番組で紹介されていた歌のうち、心に沁み入った歌、二つです。

     ❀ たし算の家 引き算の家ありて
       ひとり残れし家しぐれする

     ❀ さくら花 幾春かけて 老いゆかん
       身に水流の 音ひびくなり
コメント
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