小笠原諸島・母島ジャイアン ブログ  -GIAN'S HAPPY BLOG-小笠原諸島・母島で自然農&便利屋

小笠原諸島・母島で持続可能な暮らしを目指しています。

その中や暮らしで学んだことを紹介したいと思います♪

春に来た、べらぼうなマラカス台風がもたらしたもの

2022年04月16日 | 母島 日常 日記
■入学式を終えた4月。
なんとこんな時期に非常に強い台風1号が小笠原を襲いました。

その名もマラカス。
2000年の台風委員会で制定された台風のアジア名(国際名)のひとつで、
命名国はフィリピン。タガログ語で「強い」という意味だそうです。

なかなかの名前ぢゃね~か!

写真は台風通過後に潮枯れしたクサトベラです。
すぐに復活するのも多いですが、島中の色んな植物の葉がこのように枯れています。

そもそも4月に台風が来るなんてとても珍しいのに、
まさか950hPa、風速40m/sの規模で第1号が来るなんて、
僕の20年の小笠原暮らしで初の事でした。

案の定、4月の観測史上最高の記録を出したらしく、
父島では最大瞬間風速46.5m/sを記録したそうです。
(3年前の台風は風速計を飛ばしていて60m/s以上と言われています)

TVの報道もすごかったらしく、
多くの内地の友人・知人からも心配を頂いていました。
本当にありがとうございました!

こちらは月桃の花です。台風通過後も無事でした♪
力強さと可憐さ、そして何とも言えない香りがあって、好きな花のひとつです。
葉っぱなど料理にも使えます(#^.^#
)


■4月に赴任したばかりの方は、こんなにすぐに南の島の洗礼を受けるとは思っていなかったでしょう。
農業の被害はそれなりにあると思います。
実際、ハーブ系など枯れたのも多かったです。

しかし不思議なものです。
植えたてのまだ若い苗が塩枯れしている様をみて、
なんと春の作付けが遅れに遅れているのが功を奏したと思ったりしちゃいました(^^♪
色んな目線があるものですね☆
これから夏野菜の種まきを頑張ります!

圧倒的な暴風雨が通り過ぎた後は、
スッキリとした夏のような雲と青空が広がっていました☆
まさにデフォルト状態。

家の周りに散らかっていたものも、
この機会に片付けることが出来たし、
冬というリセットのタイミングを知らない島の植物にとっては、
伸びすぎた枝を選定し、葉を作り直すには台風の存在が欠かせません。

今回、有難いことに母島は停電になりませんでしたが、
隣の父島では大村地区以外は長い時間の停電になったそうです。
そんな時、電気の有難みが再確認できるし、
ロウソクや電気のない時だからこ、その過ごし方ができるいい機会とも言える部分があったのではないでしょうか?

我が家は家族で久々にゆっくり映画を観ました。
「きっと、うまくいく」
妻が朝に「これを観ろって降りてきた!!」というお告げがあり(笑)、みんなで観たら、まあ最高に良かった♡

「All izz well」と歌と口笛で進むストーリー。
成績や進路、競争ばかりのエンジニアの学校で繰り広げられる、本当の学びということ。
知らないことを知るって、本当は楽しいもので成績や評価を気にするものではない♪
親や他人が決めた進路ではなく、自分がやりたいことをやって生きていく意味。

そんなテーマをインド映画の絶妙なセンスとテンポのいい展開で、安心して魅せてくれました☆
インドにおける学歴至上主義、それによる自殺数の多さの社会問題もテーマにしています。
最後の圧倒的な店舗での伏線の回収は凄まじかったです!
ステキな映画をありがとうございました(^^♪


■3年前の10月。
台風21号ブアローイが島にもたらした被害は甚大なものでした。

今回の台風1号マラカスはなんと同じ規模の950hPaです。
しかも台風接近の2日前にSUPで海に入ったら、なんと沖で26℃の水温!
これは台風が弱まらないで行ってしまいそうな条件でした。

そんなわけで事前にかなりビビっていました。

漁師さんたちのあまりに芸術的なロープワークにうっとりしちゃいますが、
そんな場合でないほどの養生であるということです(汗っ)!

毎回、この陸揚げげされた漁船の見事なさまで感動しつつ、
その養生具合で台風の備えを覚悟します。

家の周囲、
バイクや自転車、
畑に職場周辺、
独居の高齢者のお宅。

色んな養生を済まして、
まさに「人事を尽くして天命を待つ」状態でした。

脇浜の春の風物詩、
ネムリブカダンゴもこの時期の台風には驚いたことでしょう(#^^#)



■避難所も開設され、やれることをやった後は、無事の通過を祈るだけです。
夜が明けて、そろそろ暴風圏に入るかな?の直前。
畑の家畜の世話にダッシュで行きつつ、前浜の状況を撮影してきました。

この時点でも物凄い雨と風のセレナーデです。
この後は危険なので外に出れる状況じゃありません。

もの凄い風の音でした。
これがもっと強くなって、強くなったらヤバいという感じでした。

有難いことに停電していなかったので、
家族で感動の映画を見てお昼ご飯を食べた後くらいに、
風が少し弱まりました。

ネットで確認すると、大方の予想を覆し、
直撃ではなく、少し西を通り過ぎて行った感じでした。

吹き返し後半は集落は風向きが丁度よく、
そよ風程度になったので、高齢者のお宅をチェインソーを持って周りましたが、
今回は3年前ほど深刻な倒木などはありませんでした。

去年から枯れていたママキ(ウラジロエノキ)が光ファイバーの線に引っかかっていました。
村に急いで報告し、
こちらはその後の復旧作業となり、僕も少し手伝いました(#^.^#)


母島の二戸建て都住のシンボル的な寒緋桜が根元からボッキリ折れていました。
これはかなりショックでしたが、折れた根元を見ると、少し傷んでいる感じもあり、
結構限界だったんだなあと思わされました。

今年の春に素晴らしい花を魅せてくれていただけに、とても寂しかったです。
今まで沢山の喜びをありがとう!


新村民会館を建てるエリア(旧:赤間建設跡地)からは大量の砂利が流出しており、
その片付けに追われていました。
これは杉田建設から学校まで長く続いていました。


深刻な倒木は少なかったですが、幾つかはもちろん見かけました。
今回は、3年前に比べると時間もコースもラッキーだったと言えます。


養生していたカヌーも無事で、心底ホッとしました。
3年前の台風では損傷してしまっていただけに、ずっと気がかりでした。
カノー部のみんなも心配していたので、みんなで喜んでいました(#^.^#)


丁度、潮汐も大潮で高潮が心配されましたが、母島はどうにか無事でした。
父島は雨なのか高潮なのか、冠水している映像が見えて、
昔住んでいた奥村が見たこともないような光景になっていてビックリしました☆

そして夜通し避難所を開設してくれていた役場の皆さんに感謝でした!
停電時に備えて、東電も色々と準備してくれていましたし、通過後も様々な対応をしていました!
父島が停電と聞いていましたが、暴風雨の最中でも復旧した個所があると聞くと、
あんな状況でも復旧作業をしてくれているのだと思うと頭が下がります。
その他各インフラも色んな組織の方が台風襲来に備えてくれていました。
本当に感謝です!!

通過後にみんなが片付け作業をしていて、
母島の力強さを再確認しました☆


■台風の接近は色んな被害や災害を覚悟して、消耗しますが、
逆に楽しみな面もあったりします。

それは鳥です。

いつも台風後はグンカンドリなど珍しい鳥を確認できたりします。
今回はなんとオオソリハシシギらしき鳥を発見しました♪

レギュラーのムナグロに混じって、真ん中ですました顔をしている子です。


チュウジャクシギちゃんも来ていました☆


なかなかいい腰つきのムナグロさんもお見掛けしました(#^.^#)

こんなイレギュラーな出会いも台風ならではのものだと思います。


■島では色んな大変な被害をもたらす台風ですが、
色んな観点から見ると、やはり必要な存在だと思います。

この時期の直撃は、
路地の野菜やパッションを全滅させる物凄い災害ですが、
同時に大地に海のミネラルを戻してくれる大きな仕事もしています。

今回は少し霞がかかっていた景色を、一気にクリアにしてくれました。
まるで夏と錯覚してしまうほど、今日の空と海は青かったです!

これはキョウジョシギ。
京都の女性の着物の共な美しい鴫で、京女鴫。
台風後もいつも通り群れを成して漁港を歩いていて、癒されました♪

今回の台風が大きな被害をもたらす結果でなくて本当にホッとしました。
この台風を糧に今後も頑張って行こうと思います☆

月桃風呂にでも入りながら♡