小笠原諸島・母島ジャイアン ブログ  -GIAN'S HAPPY BLOG-小笠原諸島・母島で自然農&便利屋

小笠原諸島・母島で持続可能な暮らしを目指しています。

その中や暮らしで学んだことを紹介したいと思います♪

子供の遊ぶ場所

2021年03月06日 | 母島 暮らし 子供
■母島で見る「ゆり丸」が小笠原最終航海を迎える頃、
母島の前浜で壮大な芸術作品の数々が姿を現しました。

島の子供達が何時間、何日もかけて、
石や流木を集めて、
様々な秘密基地(秘密なのかw?)を作っていました。

普段、子ども達が小型のゲームばかりやっていて、
なんだかなぁと思ってる親たちも、
これにはとっても微笑ましく眺めています♡

僕も畑に向かう通りすがりで、
活き活きとした子供たちの芸術作品の建設風景に出逢い、
嬉しくて、感動をして、沢山写真を撮りました。

これはなあに?と聞くと、一生懸命説明してくれます。
「これは巨人のトイレ!」(笑)
「ひみつの落とし穴!!」←秘密ぢゃねーぢゃん(^_-)-☆
などなど

なんて自由な思い思いの作品ばかりなのだろう(*^_^*)
保育園児から小学6年生までが一緒になって作っているこの光景が、
たまらなく愛おしい♡



■しかし、そんな親や子供の笑顔の裏側で、
こんな話が学校の朝礼でされたそうです。
「子ども達が前浜に作ったやつ、ウミガメの産卵の邪魔になるので、すみやかに片付けて下さい」

そして、朝礼後の子供達の反応。
「なんで!?ウミガメの産卵は今の時期じゃないじゃん!(夏です)」
その日は雨だったので、その翌日に先生も一緒に前浜の芸術的なオブジェは早々に撤去ということになりました。

納得いかない、子供達は思いっきり憤慨します。
もちろん、親もです。
うちの次女ももちろんです(*^_^*)

これには大人の事情があったようです。
島民から、ウミガメの産卵を理由に苦情があったようです。

学校はそのまま子供達に伝えた様で、納得がいかなかったようです。

確かに、前浜は公の場所です。
誰かがそこを利用したら、片付けるのが筋です。
そこに1ミリも反論はないと思います。

しかし、そこにもっと道徳的に配慮して子供達に伝えれなかったのか?と思いました。

これは学校にも伝えた事ですが、
まずは島民に言われたことをそのまま子供達に伝え、
しかも“先生も一緒に片付けた”というのが、とてももったいない所に思えました。

僕が先生ならば、
まずは子ども達のその芸術性の高さを思いっきり褒めます。(実際に感動したし!)

そして、前浜は公共の場所だし、野生動物も人もみんなが使う所だから、
今は冬で子供以外誰も使ってないからいいけど、
1週間くらいしたら片付けようね。
あんまり大変なら俺も手伝うよ。
と、言ってます。

そして、
苦情を言って来た島民の言葉を鵜呑みにするだけでなく、
しっかりと当事者と対話し、
できれば子供たちとも話す場を作って、
お互いの気持ちを確かめる作業をします。

それこそが道徳なのではないか?と思うのです。
教科書だけでなく、リアルないい機会ではないのか?と思うのです。
勿体ない機会と感じました。

先日の次女の学校の保護者会でもこんな話題がでました(*^_^*)



■現代の様に車も多くなり、安全管理を謳われる前は、
もっと子供達は自由に遊んでいました。

僕の子どもの頃過ごした、仙台の八軒小路も、
裏路地には車の通らない細い道があって、
子供達はボール遊びや、道路に落書きなど、
自由にのびのびと遊んでいました。

母島でも子供達は自由に海に川に山に遊んでいて、
先輩に習いつつ、
先輩も「この子なら大丈夫」と判断して、少し危険な場所に後輩を連れていき、
遊びの伝授をしていました。

転勤でいきなり島に来た子や、
島っ子でもその場を乗り切るには能力が足りないと思う場合は、
誘わなかったそうです。
さすが、島っ子。
素晴らしい判断だと思います。

しかし、月日と共に安全管理、責任が問題となり、
子供が勝手に遊ぶよりも、
安全で楽なゲームやTVで遊ぶように親も誘導して来たと思います。

“何かあったら”そんなキーワードで、
子供達はどんどん窮屈になってきている事実は否めません。

これも核家族化が進む現代では仕方がないかも知れません。

公園しか子供の居場所がないというのは、
あまりにも寂しい気がするのです。



■小笠原は有難いことに大自然に囲まれて、レジャーランドなんて皆無です(笑)。
昔に比べて、子ども達は自由に自然で遊ぶのはしにくくなってはいると思います。

もちろん、ゲームや漫画にふける姿も目にしますが、
夏場は圧倒的に子供達は海で遊んでいます。

やっぱり、
あの気持ち良さ、
楽しさ、
そして、
少しの怖さ、
スリル。

子供達は色んな失敗を重ねて成長し、
生きるすべを遊びから見出していると思います。

大人はそんな子供の学ぶ場所を奪っていないか?
少し考える機会かもしれません。

自分が子供の頃、
どんな事でワクワクしたのか思い出してみませんか?

僕は近所の堀の近くで作った秘密基地、
広瀬川で遊んだ堰(せき)の周り、
5階建てマンションをフルに使った水鉄砲大作戦、
色んな事を思い出しました。



もちろん、小学校高学年からゲームや漫画に没頭しました。
大人が子供を楽しませるために考え出した娯楽は楽しくないわけはありません。

だけど、大人の及ばない子供の創造の世界も、
ワクワクして楽しいものであるという事実。
この場所を大人は残していかなければいけない気がしています。

あの頃は後先や責任なんて考えず、
好奇心と野望の赴くままに、突き進んでいました(今も変わらない!?w)


■返還後にPTAで植えたという前浜のココヤシ。
40年前頃の写真を見ると、大人の背丈くらいの背の低さです。

このヤシたちがずっと眺めてきた、島の子供達の遊び。
時代と共にどんな変容をしてきたのでしょうか?

昔の前浜は漁師がカヌーでカツオを獲って来て、
水揚げする場所でした。

その頃と今は変わらず活き活きとしているでしょうか?


昔も子供の遊びにとやかく言う場面はもちろんあったでしょう。
放っておくと人様に迷惑をかけることになりまくりです。

昔は大人が日常の仕事が忙しすぎて、
子供の遊びを眺めている暇はなく、
子供の年上がみんなの面倒を見ていた時代です。

今とはまた違う生活のスタイルですね。
昔に戻れとは思いませんが、
昔を参考に、より良い今を作って行ければと思います。




■最後に3月は島のお別れシーズンです。
コロナ禍の今年も、この春に卒業したり、親の離任で島を離れる子供たちがいます。

母島で過ごした時間は、
間違いなくかけがえのないものになります。

内地で暮らして、
どこか人間らしさを見失ったときに、
母島での生活を思い出してほしいです。

当たり前にすれ違いで挨拶する風景、
多年齢で遊ぶこと、
親ではない他の大人に叱られるということ、
思いっきり飛び込める海があるということ、
自然にはたまらない魅力があり、敵わないと思い知らされること、
そんな事を忘れないでほしい。

先日、子供フラのお別れ会で、子ども達の可愛いフラを眺めてそう思いました。

改めて、こういう場を支えてくれる島の大人たちの姿勢に感謝です。

こういう環境ですくすくと母島の子供達は育って行きます。
それと同時に大人達も育って行きます。

いつまでも、
こんな人の為に自分の時間と労力をさけることを厭わない地域であり続けたいものです。

みなさん、本当にありがとうございます。