(この記事は、2009年9月20日に私のYahoo!ブログに掲載したものです。
Yahoo!ブログが本年12月にサービスを終了するため、こちらに転載するものです。
引用部分の表示の仕方がYahoo!ブログとgooブログでは異なるため、そのままではわかりにくい箇所があるので、本文を若干修正しました。
文中敬称略)
(前回の記事はこちら)
さて、問題とされている12月4日の参議院の法務委員会での発言阻止ですが、この記事中の賛成派議員による
《賛成派議員 「理事会で決まってんでしょ」》
《賛成派議員 「自民党どうするんですか!国対委員長!国対で話し合ったでしょ !」
賛成派議員 「理事会で決まってるでしょ!国対委員長!委員長しっかりしなさいよ!」》
といった発言からは、法務委員会の理事会や、各党の国会対策委員長による協議により、既に結論は出ており、採決を待つばかりという段階だったことがうかがえます。
なお、この改正案に対する質疑は、11月27日に行われています。
その内容は、国会会議録検索システムで確認することができます(丸山和也議員も発言しています)。
無宗ださんは、このパピヨンさんの記事を転載した自分のブログで、
とコメントしていますが、言論の自由とは、いつなんどきでも、いかなる場所においても、自由に発言できるという趣旨ではないことは言うまでもありません。
この法務委員会では、記事にあるように、改正案は全会一致で可決されました。ということは、丸山和也議員も賛成しているわけです。何かしら、発言したいことはあったのでしょうが、反対意見を封殺されたというわけではなさそうです。
記事がリンクを張っているYouTubeの動画のタイトルには「「音声とめて!」 民主党、千葉景子が国籍法をゴリ押し」とありますが、自民党の反対を押し切って民主党が採決を強行したというわけではなく、単に予定外の発言を封じたというだけですから、「国籍法をゴリ押し」という表現は不適切でしょうし、仮に発言封じを批判するにしても、その責任は議事進行役である澤雄二委員長(公明党)にあります。千葉批判は筋違いです。
可決後、この動画にも収録されているように、理事である千葉景子が、附帯決議案を提案しています。これは、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党、公明党の各派共同提案です。
この附帯決議の全文は、次のとおりです。
前回引用した衆議院での附帯決議と比較すると、趣旨は基本的に同じであり、かつ偽装認知防止策について強化したものであることがわかります。
この附帯決議も賛成多数で可決されました(全会一致ではない)。
法案は、翌12月5日に参議院本会議で可決、成立しました。
その投票結果は、会議録によると、
投票総数 229
賛成 220
反対 9
だったそうです。反対者の内訳はわかりませんが、自民党も大多数は賛成していることがわかります。
パピヨンさんの記事の本文に戻ります。
上記の最高裁判決は、いくつかの事例についてまとめて違憲だと認めたものですが、いずれも母はフィリピン人です。
ウィキペディアには現在〔転載者註:2009年9月20日当時〕「国籍法改正騒動」という項目があり、その中で偽装認知を試み逮捕された事例があったと書かれていますが、その外国人とはペルー人です。
この記事の筆者の頭の中には、日本国籍を取得したい外国人といえば中韓朝の3か国しか思い浮かばないようです。
この3か国の国民に日本国籍を与えることに反対なのであって、それ以外の国民による偽装認知はどうでもいいようにも受け取れます。
記事にはこうもあります。
繰り返しますが、内閣提出法案ですから、当然麻生内閣に責任があるのです。
それでも自民党は悪くないと言い張るこの記事の筆者の姿勢からは、問題の本質を理解する意志はなく(能力もないのかもしれませんが)、ただ民主党・公明党叩きと外国人排斥ムードを作り出すためにこの騒ぎを利用したいだけだという意図が読み取れます。
さて、偽装認知の問題は確かにありますし、それへの厳正な対処は必要でしょう。
しかし、ではDNA鑑定を要件とすべきだったのでしょうか。
この騒動の当時、衆議院の法務委員会のメンバーだった自民党の稲田朋美議員(弁護士)は、2008年11月27日付産経新聞「正論」欄で、最高裁判決を批判しながらも、DNA鑑定を要件にすることには慎重な姿勢を示しています。
私はこの稲田の記事を読むまで考えもしなかったことなのですが、要するに、わが国では法律上の親子関係は必ずしも生物学的に親子であることを意味しない(ということは、そうでない実例があるということなのだろう)から、そうした現状に波及しかねないDNA鑑定の要件は妥当ではないというのです。
もっともな話だと思います。
私もこの稲田の結論に同意します。
Yahoo!ブログが本年12月にサービスを終了するため、こちらに転載するものです。
引用部分の表示の仕方がYahoo!ブログとgooブログでは異なるため、そのままではわかりにくい箇所があるので、本文を若干修正しました。
文中敬称略)
(前回の記事はこちら)
さて、問題とされている12月4日の参議院の法務委員会での発言阻止ですが、この記事中の賛成派議員による
《賛成派議員 「理事会で決まってんでしょ」》
《賛成派議員 「自民党どうするんですか!国対委員長!国対で話し合ったでしょ !」
賛成派議員 「理事会で決まってるでしょ!国対委員長!委員長しっかりしなさいよ!」》
といった発言からは、法務委員会の理事会や、各党の国会対策委員長による協議により、既に結論は出ており、採決を待つばかりという段階だったことがうかがえます。
なお、この改正案に対する質疑は、11月27日に行われています。
その内容は、国会会議録検索システムで確認することができます(丸山和也議員も発言しています)。
無宗ださんは、このパピヨンさんの記事を転載した自分のブログで、
日本には言論の自由があったはずだが…
とコメントしていますが、言論の自由とは、いつなんどきでも、いかなる場所においても、自由に発言できるという趣旨ではないことは言うまでもありません。
この法務委員会では、記事にあるように、改正案は全会一致で可決されました。ということは、丸山和也議員も賛成しているわけです。何かしら、発言したいことはあったのでしょうが、反対意見を封殺されたというわけではなさそうです。
記事がリンクを張っているYouTubeの動画のタイトルには「「音声とめて!」 民主党、千葉景子が国籍法をゴリ押し」とありますが、自民党の反対を押し切って民主党が採決を強行したというわけではなく、単に予定外の発言を封じたというだけですから、「国籍法をゴリ押し」という表現は不適切でしょうし、仮に発言封じを批判するにしても、その責任は議事進行役である澤雄二委員長(公明党)にあります。千葉批判は筋違いです。
可決後、この動画にも収録されているように、理事である千葉景子が、附帯決議案を提案しています。これは、民主党・新緑風会・国民新・日本、自由民主党、公明党の各派共同提案です。
この附帯決議の全文は、次のとおりです。
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一 本法の施行により、生後認知された子も胎児認知された子と同様、届出のみで我が国の国籍を取得することができることとなることにかんがみ、本法の趣旨について十分な周知徹底に努めること。
二 我が国の国籍を取得することを目的とする虚偽の認知が行われることがあってはならないことを踏まえ、国籍取得の届出に疑義がある場合に調査を行うに当たっては、その認知が真正なものであることを十分に確認するため、認知した父親に対する聞取調査をできる限り実施すること、当該父親と認知された子が一緒に写った写真の提出をできる限り求めること、出入国記録の調査を的確に行うこと等につき、調査の方法を通達で定めること等により、調査のための万全な措置を講ずるよう努めること。
三 本法の施行後、改正後の国籍法の施行状況について、当分の間半年ごとに当委員会に対し報告するとともに、その施行状況を踏まえ、父子関係の科学的な確認方法を導入することの要否及び当否について検討する等、虚偽の届出を防止するために必要な措置を講ずること。
四 ブローカー等が介在して組織的に行われる虚偽の認知による不法な国籍取得の動きが生じてはならないことを踏まえ、入国管理局、警察等関係当局が緊密に連携し、情報収集体制の構築に努めるとともに、適切な捜査を行い、虚偽の届出を行った者に対する制裁が実効的なものとなるよう努めること。
五 本改正により、重国籍となる子供が増加する事態が起こり得ることにかんがみ、重国籍に関する諸外国の動向を注視するとともに、我が国における在り方について検討を行うこと。
右決議する。
前回引用した衆議院での附帯決議と比較すると、趣旨は基本的に同じであり、かつ偽装認知防止策について強化したものであることがわかります。
この附帯決議も賛成多数で可決されました(全会一致ではない)。
法案は、翌12月5日に参議院本会議で可決、成立しました。
その投票結果は、会議録によると、
投票総数 229
賛成 220
反対 9
だったそうです。反対者の内訳はわかりませんが、自民党も大多数は賛成していることがわかります。
パピヨンさんの記事の本文に戻ります。
民主党・公明党は、どうしても在日韓国・朝鮮人・中国人、つまり特定アジア・反日3カ国の人々に参政権を与えたいわけですね。
上記の最高裁判決は、いくつかの事例についてまとめて違憲だと認めたものですが、いずれも母はフィリピン人です。
ウィキペディアには現在〔転載者註:2009年9月20日当時〕「国籍法改正騒動」という項目があり、その中で偽装認知を試み逮捕された事例があったと書かれていますが、その外国人とはペルー人です。
この記事の筆者の頭の中には、日本国籍を取得したい外国人といえば中韓朝の3か国しか思い浮かばないようです。
この3か国の国民に日本国籍を与えることに反対なのであって、それ以外の国民による偽装認知はどうでもいいようにも受け取れます。
記事にはこうもあります。
麻生内閣が議論もせずに通してしまったように言っていますが、例によって売国政策を推進する民主党と公明党が主導なので、自民党が悪いわけではありません。
繰り返しますが、内閣提出法案ですから、当然麻生内閣に責任があるのです。
それでも自民党は悪くないと言い張るこの記事の筆者の姿勢からは、問題の本質を理解する意志はなく(能力もないのかもしれませんが)、ただ民主党・公明党叩きと外国人排斥ムードを作り出すためにこの騒ぎを利用したいだけだという意図が読み取れます。
さて、偽装認知の問題は確かにありますし、それへの厳正な対処は必要でしょう。
しかし、ではDNA鑑定を要件とすべきだったのでしょうか。
この騒動の当時、衆議院の法務委員会のメンバーだった自民党の稲田朋美議員(弁護士)は、2008年11月27日付産経新聞「正論」欄で、最高裁判決を批判しながらも、DNA鑑定を要件にすることには慎重な姿勢を示しています。
【正論】「国籍付与」は国会の重い課題
〔前略〕
今回改正について多くの反対意見が寄せられた。ほとんどが偽装認知の横行への不安から、DNA鑑定を必須条件にせよというものだ。偽装認知は防がなければならない。だがDNA鑑定を要件とするのは、日本の家族法制度に変容をきたす恐れがないか慎重に検討しなければならない。
昨年自民党内で民法772条の300日規定が見直されようとしたとき、私はDNA鑑定を法制度にもちこむことの危険性を主張した(昨年4月17日本欄)。民法は「親子関係=生物学的親子」という考え方をとっておらず、法的親子関係は子の安全な成長を確保するための法制度である。安易にDNA鑑定を取り入れることは、生物学的親子関係をすべてとする風潮につながりかねない。
これに対し、国籍付与の前提としての認知にDNA鑑定を行うことは「血統主義」をとる我が国では当然であり、民法の親子関係に直接影響を与えるものではないと主張する人もいる。
しかし仮にDNA鑑定を要件とすれば、今までなら父の認知後、父母が婚姻をして準正により当然に国籍を付与した場合にも鑑定を要件としなければ平仄(ひょうそく)が合わない。なぜなら最高裁は「父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得するか否かは、子にとっては自らの意思や努力では変えることのできない身分行為」である。これによって区別することは憲法14条の差別としたのだから、認知しただけの非嫡出子にDNA鑑定を要件とするのなら、父母が結婚した嫡出子にも鑑定を要件としなければ再度憲法違反をいわれる恐れが大きいからだ。
しかし、父母が結婚している場合にまでDNA鑑定を要件とすることは、婚姻中に妻が懐胎した子を夫の子と推定している民法772条についても、真実の父を確定するためのDNA鑑定を持ち込まないとつじつまがあわなくなる恐れがある。
そもそも国籍法上の「血統主義」は子の出生時に母または父が日本国籍であることを要求することである。そこにいう「父」は生物学上の父ではなく法律上の親子関係の発生した父を指す。つまり血統主義だから鑑定を義務付けるのが当然とはならない。
むしろ国籍付与の条件としての父子関係と民法上の父子関係とは違うとして、国籍付与の場合にのみ鑑定を要件とするという考え方は、法的父子関係を複雑にし、理論上はありえても法制度として妥当とは言いがたい。
私はこの稲田の記事を読むまで考えもしなかったことなのですが、要するに、わが国では法律上の親子関係は必ずしも生物学的に親子であることを意味しない(ということは、そうでない実例があるということなのだろう)から、そうした現状に波及しかねないDNA鑑定の要件は妥当ではないというのです。
もっともな話だと思います。
DNA鑑定を要件とすることによる偽装の防止と、民法の家族制度のあり方への影響は慎重に検討しなければならない。衆議院の付帯決議には課題として『父子関係の科学的確認を導入することの要否、当否を検討する』との文言が入った。現時点では届け出の際認知した日本人男性との面談を義務付け、母と知り合った経過を確認するなどして運用面での偽装防止策を充実させる方途を模索すべきである。
私もこの稲田の結論に同意します。