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そもそも「共産党」とは何か-コミンテルンへの21箇条の加入条件

2023-03-07 17:26:28 | 日本共産党
 以前の記事で、『日本共産党綱領集』(新日本出版社、1957)に収録された、コミンテルンへの21箇条の加入条件を引用した。
 この条件については、概要は知っていたが、原文を見るのは初めてだった。
 現在ではそんなに流布していない資料ではないかと思われるので、ここに全文を挙げておく。
 特に重要と思われる箇所は太字にした。

 以前にも述べたように、1917年のロシア革命の後、世界各国に共産党が生まれたが、これらは、各国の共産主義者が独自に結成したものではない。
 共産主義運動の国際組織であるコミンテルン(共産主義インターナショナル)が加入条件を定め、それを受け入れて各国の共産主義者が党を結成し、そのコミンテルンへの加入が承認されることにより、はじめて各国に共産党が成立したのである。
 日本共産党だけでない。中国共産党も、朝鮮共産党も、アメリカ共産党も、イギリス共産党も、フランスも、イタリアも、スペインも、皆そうである(ドイツだけは事情が異なり、独自に共産党が結成されたが、後にコミンテルンに加入した)。
 この加入条件を読めば、何故共産党が各国で敵視されたか、何故わが国に治安維持法が必要とされたか、何故かつての社会党が共産党との協力に消極的であったか、理解できるのではないだろうか。

 もちろん、コミンテルンは1943年に解散し、現在の共産党がこの加入条件に支配されているわけではない。
 だが、各国の共産党がもともとこうした政治集団として発足したものであること、そして日本共産党においても民主集中制のように現在まで尾を引いている部分があることは、記憶しておく必要があるだろう。

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第二回コミンテルン大会で採択された共産主義インタナショナルへの加入條件
                          一九二〇年八月六日

 共産主義インタナショナルの第一回大会は、第二インタナショナルに個々の党を入れるための、通確な諸条項を、作成しなかった。
 第一回大会が招集されたころには、多数の国々では、ただ共産主義的な諸傾向と諸グループだけがあったのである。
 共産主義インタナショナルの第二回大会は、以前とはちがった情況の中にひらかれている。現在、大部分の国々では、すでに、共産主義的な諸傾向や諸潮流だけでなく、共産主義的な諸党派や諸組織も、あるのである。
 最近まて、まだ第二インタナショナルに所属していて、実際上は、共産主義的なものになっていない諸党派や諸グループで、共産主義インタ+ショナルヘの加入を希望しているものが、いまではますますふえてきている。
 第二インタナショナルはついに粉砕された。中間的な諸党派や「中央派」の諸グループは、第二インタナショナルの、まったくの絶望状態を見きわめたあげく、着実に強くなってゆく共産主義インタナショナルに、よりかかろうと、くわだてている。だが、そうしながらも、かれらは、今までどおりの日より見主義的な、あるいは「中央派」的な政策を、つづける可能性をあたえてくれるような「自治」を、保留したいと、希望しているのである。共産主義インタナショナルは、ちよっと流行物となったようにみえる。
 「中央派」のいくつかの指導的グループが、共産主義インタナショナルに加入したいと、望んでいることは、 コミンテルンが全世界の階級意識のある労働者の圧倒的大多数の同情を、かくとくして、日ましに、ますます強大な力となってきていることを、間接に確証しているものである。
 第二インタナショナルのイデオロギーをまだきっばりとすてきっていない、不安定で、ぐらついている諸グループによって、共産主義インタナショナルが弱くされる危険性がありうる。
 それからまた、その大部分が共産主義的な土台にたっているいくつかの党(イタリア、スウェーデン、ノルウェー、ユーゴスラヴィアその他)では、今日でさえ、なお、改良主義的な、あるいは社会平和主義的な部分がのこっている。かれらは、ふたたびその頭をもたげ、プロレタリア革命の積極的なサボタージュをはじめ、それによってブルジョアジーと第二インタナショナルを助けるためのよい機会を、ねらっているにすぎない。
 共産主義者は、ハンガリー革命の教訓を、けっしてわすれてはならない。ハンガリーのプロレタリアートにとって、ハンガリー共産主義者と、いわゆる「左翼」社会民主主義者との合同は、高価なものについたのだ。したがって、共産主義第二インタナショナル第二回世界大会は、新たな諸党の加入条件を、完全に、適確に、決定し、同時にまた、すでにコミンテルンに加入している諸党にたいして、それらの党が負うべき義務を、指示することを、必要と考える。
 共産主義インタナショナル第二回大会は、共産主義インタナショナルヘの加盟条件を、次のように決定する。
 一 宣伝と陽動は、みなほんとうに共産主義的な性格をもったもの、そして、共産主義インタナショナルの綱領と諸決定にしたがったものでなければならない。党のすべての出版物は、プロレタリアートの事業にたいする献身を、実証してきた、信頼てきる共産主義者によって、編集されねばならぬ。プロレタリアートの独裁については、捧暗記のおきまり文何をくりかえすように、単調に説明されてはならない。あたりまえの労働者、労働婦人、兵士、農民のすべてに、プロレタリアートの独裁の必要性は、われわれの出版物で日々に体系的に報告され、とりあげられているところの、かれらの生活上の事実から発生したものであることを、理解させるような方法で、宣伝されなければならぬ。
 定期の刊行物やその他の出版物や、すべての党出版所は、そのとき党が全体として合法であるか、非合法であるかを問わず、完全に党中央委員会に従属しなければならない。出版所が、自分の自治を悪用して、党の政策に完全には一致していない政策を実行することは、許されてはならない。
 新聞紙の紙両、大衆集会、労働組合、協同組合などのように、共産主義インタナショナルの加盟者が入りこめるようなところなら、どこででも、ブルジョアジーだけでなく、その助力者であるすべての色合の改良主義者をも、体系的に、容赦なく、攻撃することが必要である。
 二 共産主義インタナショナルヘの加盟を希望する各組織は、労働者の運動の中でのあらゆる責任ある地位(党組織、編集局、労働組合、議会フラクション、協同組合、地方向治体など)から、改良主義者や「中央派」の人々を、計画的なやり方で、しりぞけてゆくようにしなければならない。そして、はじめのうちは、ときとして、「経験に富んだ」日より見主義者のかわりに、あたりまえの労働者を入れかえなければならないことになってもよいから、日より見主義者たちを、信頼できる共産主義者と、とりかえなければならない。
 三 ヨーロッパとアメリカのほとんどすべての国々で、階級闘争は、内乱の段階に突入した。このような情勢の中では、共産主義者は、ブルジョア的な合法性を信頼することはできない。共産主義者は、あらゆるところに、平行的な非合法機関をつくりだす義務がある。それは、決定的な瞬間に、党が、革命にたいする自分の義務をやっていくのを、援助するであろう。戒厳状態、あるいは特別法のために、共産主義者がそのすべての仕事を合法的にやれないような、すべての国では、合法活動と非合法活動とを結合することが、絶対に必要である。
 四 共産主義の諸理念を普及させる義務の中には、軍隊内部における組織的で、精力的な宣伝をやりとげる、特別に必要な義務がふくまれている。このような煽動が、特別法によって禁止されているところでは、それは非合法的にやられなければならない。このような仕事を拒否することは、革命的義務を放棄するのと同じことで、それと、共産主義インタナショナルに所属していることとは、両立できない。
 五 組織的で、よく計画された場動が、農村でやられなければならない。労働者階級は、自分の背後に、その政策によって、農村の農業労働者や貧農から、たとえその一部分であろうと、支持をうけないかぎりは、また、そのほかの農村の一部分の人々を中立させることができないかぎりは、自分の勝利を確保できないのである。現在、農村での共産主義の活動は、第一義的な重要性をもってきている。それは、主として、農村と密接なつながりをもつ、革命的で、共産主義的な都市労働者と農村労働者の援助でなされなければならない。このような活動を拒否すること、あるいは、これを、信頼するにたらぬ半改良主義的な人々の手にわたすことは、プロレタリア革命を拒否するのと同じことだ。
 六 共産主義インタナショナルヘの加盟を希望する党は、公然たる社会愛国主義はもとより、さらに社会平和主義の不誠実と偽善をもバクロする義務がある。すなわち、資本主義を革命的にうち倒さないかぎり、どんな国際裁判所も、どんな軍縮条約も 国際連盟のどんな「民主的」改組も、新らしい帝国主義戦争を防止することはできない、ということを、労働者に系統的に説得して、確信させる義務がある。
 七 共産主義インタナショナルヘの加盟を希望する党は、改良主義と「中央派」の政策と、完全に、そして絶対的に絶縁する必要があることを,承認し、しかも、この絶縁を、その党員のあいだに、できるかぎり広く、宣伝する義務がある。これをやらないかぎり、一貫した共産主義政策はなりたたないのである。共産主義インタナショナルは、この絶縁をできるだけはやく、やりとげることを、無条件に、そして、絶対的に要求する。共産主義インタナショナルは、ツラチ、モディリヤニ、カウツキー、ヒルファーディング、ヒルキット、ロング、マクドナルド、その他のような、まぎれもない日より見主義者に、コミンテルンの成員とみなさるべき権利がある、という意見には同意できない。もしそれに同意するなら、やがて共産主義インタナショナルが、つぶれてしまった第二インタナショ+ルと、多くの点で似たようなものになってしまうであろう。
 八 植民地と被圧迫民族の問題についての、とくにはっきりした態度が、その国のブルジョアジーが植民地をもち、他民族をおさえつけている国の党にとって、必要である。
 共産主義インタナショナルヘの加盟を希望する党は、植民地での「自国」の帝国主義者の策謀をバクロし、すべての植民地解放運動を、ただ言葉の上だけでなく、行動でもって支持し、これらの植民地から自国の帝国主義者を追っばらうことを、要求し、植民地と被圧迫民族の勤労人民にたいする、ほんとうに友愛的な態度を、自国の労働者に教え、自国の軍隊内に、植民地人民をおさえつけることに、いっさい反対する、系統的な場動をやる義務がある。
 九 共産主義インタナショナルヘの加盟を希望する党は、労働組合、労働者協議会、工場委員会、協同組合、またその他の大衆団体の中で、系統的で、ねばりづよい共産主義の活動を、やらなければならない。これらの組織の中に、細胞を組織しなければならない。その細胞は、たゆみのない一貫した活動によって、労働組合等々を、共産主義の事業のために、かくとくしなければならない。日々の活動の中で、細胞は、社会愛国主義者の裏切りと「中央派」の動揺ぶりを、あらゆる機会にバクロしなければならない。共産主義細胞は、完全に、全体としての党に従属しなければならない。
 一〇 共産主義インタナショナルに所属する党は、黄色労働組合のアムステルダム・「インタナョナル」にたいする、ねばりづよい闘争をやる義務がある。各党は、労働組合員のあいだに、黄色アムステルダム・インタナショナルと手をきる必要を、もっとも頑強に宣伝しなければないない。各党は、共産主義インタナショナル加盟の赤色労働組合のあいだに、形成されつつある国際的統一を、あらゆる手段をつくして、支持しなければならない。
 一一 共産主義インタナショナルヘの加盟を希望する党は、その議会グループの構成分子を再検討し、信頼しがたい分子を、グループから一掃し、言葉の上でなくて、実行によって、これらのグループを党中央委員会に従属させ、共産党代議士の一人一人にたいして、その全活動をほんとうに革命的な宣伝賜動のために従属させるよう、要求する義務がある。
 一二 共産主義インタナショナル加盟の各党は、「民主的中央集権」の原則によって、つくられなければならない。はげしい内乱の現段階で、共産党が自己の義務をやりとげることができるのは、その組織がもつとも中央集権化され、鉄の規律が支配し、党中央が、党員の信頼に支えられて、力と権威を保持し、はば広い全権をもつている場合だけである。
 一三 共産主義者が合法的に活動している国の共産党は、党の中に入りこんだ小ブルジョア分子を、とりのぞくために、ときどき党員の清掃(再登録)をしなければならない。
 一四 共産主義インタナショナルヘの加入を希望する党は、反革命的諸勢力にたいして闘争する各ソヴェト共和国に、無条件的な支持をあたえる義務がある。ソヴェト共和国の敵にたいして転送される軍需物資の移動を、妨害するために、力づよい宣伝をおこなわねばならない。また、労働者共和国をしめ殺すために派遣される軍隊の中に、合法または非合法のあらゆる手段で、宣伝をやらなければならない。
 一五 今日までいまだに古い社会民主主義的な綱領をのこしている諸党は、できるだけはやく、それを再検討し、共産主義インタナショナルの諸決定にしたがって、自国の特殊条件に合致した、新しい共産主義的綱領を、つくりだす義務がある。共産主義インタナショナルに所属する各党の綱領は、原則として、共産主義インタナショナルの定期大会、あるいは執行委員会によって確認されなければならない。党の綱領が、コミンテルン執行委員会によって確認されない場合には、その党は共産主義インタナショナルの大会に提訴する権利をもつ。
 一六 共産主義インタナショナルの諸大会と執行委員会のあらゆる決定は、共産主義インタナショナルに所属するすべての党にたいし、拘束力をもつ。はげしい内乱の情勢の中で活動している共産主義インタナショナルは、第二インタナショナルの場合よりも、はるかに、より中央集権的に組織されなければないない。共産主義インタナショナルとその執行委員会のすべての活動には、それぞれの党が、闘争し、活動しなければならぬ場合の、多様な諸条件にたいする考慮が当然なされなければならぬ。そして、普遍妥当的な諸決定を下すことが、可能なときにだけ、決定を下すようにしなければならない。
 一七 これと関連して、共産主義インタナショナルヘの加入を希望する党は、その党名を変えなければならない。共産主義インタナショナルヘの加入を希望する党は、どこどこの国の共産党(共産主義インタナショナル支部)と呼ばれなければならない。名称の問題は、ただ形式的な問題ではなく、本来、さらに大きな重要性をもつ政治的問題なのである。共産主義インタナショナルは、全ブルジョア世界と全黄色・社会民主主義諸政党にむかってたたかいを宣言し、労働者階級の旗を裏切った、これまでの公認の「社会民主主義的」な、または「社会主義的」な諸党と、共産党とのあいだの区別が、あたりまえの労働者の誰にでも、はっきりわかっていなければならない。
 一人 あらゆる国でのすべての指導的な党出版機関は、共産主義インタナショナル執行委員会の公文書を全部出版する義務がある。
 一九 共産主義インタナショナルに所属する党と、共産主義インタナショナルへ加入する希望をあきらかにした党は、すべて、できるだけはやく、だが、どんな場合にも、共産主義インタナショナル第二回世界大会以後の四カ月以内に、これらすべての加入条件を審議するために、緊急大会を招集する義務がある。これと関連して、党中央部は、共産主義インタナショナル第二回大会の諸決定が、全地方組織に残りなく徹底させるように、配慮する必要がある、
 二0 いま共産主義インタナショナルへの加入を希望していながら、そのいままでの戦術を根本的に変えていない諸党は、共産主義インタナショナルに加入する前に、すでに共産主義インタナショナル第二回大会前、共産主義インタナショナルへの加入を公然と、はっきりと表明した同志で、党中央委員会と中央の指導部諸機関のメムバーの三分の二以上を構成するように、配慮しなければならぬ。例外は、共産主義インタナショナル執行委員会の確認を必要とする。共産主義インタナショナル執行委員会は、第七条にあげた「中央派」の代表たちにとっても、例外を設ける権利をもつ。
 二一 共産主義インタナショナルによって提示された諸条件と諸テーゼを、原理的に拒否する党員は、党から除名されるべきだ。このことは党の緊急大会の代議員にたいしても適用される。