民俗断想

民俗学を中心に、学校教育や社会問題について論評します。

温泉巡り 駒ヶ根へ1

2016-12-10 10:32:39 | その他

 女房の持病の腰痛がこのところ思わしくなく、最近は月に一度は一泊で長野県内の温泉に行ってます。お陰様で長野県にはたくさんの温泉があり、少し探せば行き先に困るということはありません。一泊してその近くの文化財などを見学して帰ってきます。先日は駒ケ根の早太郎温泉にある、「二人静」というホテルに泊まりました。以前に職員の結婚式で行ったことがあり、一度は泊まってみたいと思っていました。ゆったりとした雰囲気で景色もよく湯量も豊富で満足しました。

帰りにまず寄ったのは、光前寺です。この寺は「早太郎」伝説で知られ、境内には早太郎の像まで作られ、苔むした早太郎の墓まであります。伝説とは、次のような話です。昔、光前寺に強い山犬が飼われていました。そのころ、遠州見付(現静岡県磐田市)では、毎年祭りの日に白羽の矢が立った家の娘を、人身御供として神に捧げていました。ある年、旅の坊さんが神様がそんな悪いことをするはずがないと思い、祭りの夜に様子をうかがっていると大きなヒヒが現れ、信州の早太郎はおるまいな、早太郎には知られるなと言いながら、娘をさらっていった。そこで坊さんは早太郎を探しに信州を訪れ、光前寺の早太郎を探し出すと、寺から借りて見付へ戻りました。次の祭りの日に娘の身代わりとなった早太郎は、傷つきながらもヒヒと戦い退治しました。ようように、光前寺まで帰り着いた早太郎は息をひきとりました。 これを縁として、駒ケ根市と磐田市は姉妹都市となっています。この話は、磐田市では次のように伝えられています。(磐田市HPより)

 昔、昔のその昔、遠州見付には、8月10日に若い娘を見付天神へお供えする人身御供の習慣がありました。ある年、見付に来た雲水(僧)がこれを救おうと神仏に祈願したところ、この習慣が怪物の仕業であること、怪物が信濃国(現在の長野県)の悉平太郎を恐れていることがわかりました。雲水は早速、怪物を退治するため、悉平太郎を尋ねる旅に出ました。
 信濃国を探しても悉平太郎という人はおらず、あきらめかけていた時、光前寺(駒ヶ根市)に飼われている犬が悉平太郎であることを知り、雲水はこれを借り受け、見付に戻りました。
 次の年、柩へ娘の代わりに悉平太郎を入れて、見付天神に運びました。その日の夜、妖怪と悉平太郎の凄まじい格闘が繰り広げられました。翌朝、見付天神には巨大な狒狒が横たわり、その横では負傷した悉平太郎の姿がありました。
 その後の悉平太郎は、村人によって光前寺に届けられたとも、重傷を負いこの地に倒れたとも、秋葉街道の帰路に死亡したともさまざまな話が伝わっています。光前寺に伝わる話では光前寺まで帰り、力尽きたと言われています。(悉平太郎は信州では早太郎と呼ばれています) 

 

二つの地域で同じ話が伝承されていることが面白く、伝播者がいたことが予想されます。この伝説については先行研究がいくつかあります。