私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

クルト・マズアの「ブルッフ交響曲全集」

2010-07-18 11:48:10 | 交響曲
 昨日のブルッフの「ヴァイオリン協奏曲」に引き続き今日は彼の「交響曲」についてふれてみたい。ブルッフはヴァイオリン協奏曲と同様3つの交響曲を作曲しているが実際にコンサートで演奏される機会は少ない。しかし彼の交響曲作品には少なからずメンデルスゾーンやシューマン等の影響を受けたドイツ・ロマンの香りを漂わせている。因みに「第1番変ホ長調作品28」が1868年、「第2番ヘ長調作品36」が1871年、最後の「第3番ホ長調作品51」が1882年に作曲されている。
 写真のCDはクルト・マズアがライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の音楽監督時代の録音で1989年の発売当時は初の「ブルッフ交響曲全集」であった。(蘭フィリップス420932-2)筆者個人的には第2楽章ー「アダージョ楽章」が大変抒情的で美しい「第2番」が特に好きでこのマズアの全集盤でも素晴らしい演奏を聴かせている。またマズアはイタリアの名ヴァイオリニスト、サルヴァートレ・アッカルド共に同楽団とブルッフの「ヴァイオリン協奏曲」と「管弦楽」の作品全集の録音も行っており当時ブルッフの作品には強い関心あったようである。尚、この全集盤には「スウェーデン舞曲集作品63」から(オリジナルはヴァイオリンとピアノのために作曲、後に自身で管弦楽版に編曲)-序奏と7曲の舞曲も収録されている。(ジャケットのサインは指揮者マズアの直筆サイン)
 

クロエ・ハンスリップのブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第3番

2010-07-17 12:23:28 | 協奏曲
 ドイツの作曲家、指揮者としても活躍したマックス・ブルッフ(Max Bruch/1838~1920)の「ヴァイオリン協奏曲」は全部で3曲あるがコンサートでよく演奏される「第1番ト短調作品26」(1866年)は人気が高いがサラサーテに献呈された「第2番ニ短調作品44」(1877年)、今日紹介する「第3番ニ短調作品58」(1891年)は国内ではコンサートで演奏される機会も少なくその知名度はそれほど高くない。
 「第3番」は彼の友人でもあったヨーゼフ・ヨアヒムに献呈されているが作曲の当初は単一楽章の「コンサート・アレグローニ短調」ととして作曲されたもので後にヨアヒムのすすめもあり3楽章構成の協奏曲として完成させたものである。ブルッフのヴァイオリン協奏曲の中では「第1楽章」が演奏時間約20分を要する大曲でもある。
 今日紹介するイギリスの若手名女流ヴァイオリニスト、クロエ・ハンスリップが2002年、彼女が弱冠15歳の時にレコーディングした写真のCD(ワーナー・ミュージックUK、0927-45664-2)はポピュラーな「第1番」との組み合わせでさらにサラサーテの「二つヴァイオリンとオーケストラの「ナバーラ(Navarra)」(共演/ミハイル・オヴルツキー)も収録されている。指揮は1961年生まれのイギリスのマーティン・ブラヴィンズ、管弦楽はロンドン交響楽団による演奏である。
 15歳の若さでこの「第3番」のレコーディングに挑んだ彼女に驚きを感じた筆者であるがその完成度の高い演奏はこのCDリリースの翌年に「クラシック・ブリット・アワード2003」を受賞した彼女の実績からもうなづける。まだ日本国内ではそれほど彼女の知名度は高くないが現在はイギリス国内はもとより世界各地でコンサート活働に忙しい彼女で最近では筆者はまだ未聴だが2009年に「ナクソス」レーベルからハンガリーのイェネー・フーバイ(Jenö Hubay/1858~1937)の「ヴィオリン協奏曲第1番・第2番」ほかをリリースしている。




ダニエレ・ガッティのレスピーギ「ローマ」三部作

2010-07-15 23:23:26 | 管弦楽曲
 ダニエレ・ガッティ(Daniele Gatti/1961~ )も私の好きな指揮者のひとりである。彼が「ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団」の音楽監督時代にレコーディングしたレスピーギの「ローマ三部作」ー写真のCD(1996年録音)は当時「英コニファー・クラシックス」からリリースされた1枚である。この他同レーベルから「ロイヤル・フィル(英)」とのマーラー交響曲第5番やバルトーク「管弦楽のための協奏曲」などもリリースされていた。とりわけ今日紹介する「ローマ三部作」のCDは彼の名声を広めた最初のものであった。この演奏を耳にするとそのあたりは必然的にうなづける。特に「ローマの噴水」、「ローマの松」はまさに当時新進気鋭のマエストローガッティの本領が発揮された演奏と言えるであろう。
 筆者も彼が1998年10月「ボローニャ歌劇場」来日公演に続き翌99年6月「ロイヤル・フィル」を率いて2度目の来日した折、サントリー・ホールでプロコフィエフ舞踊音楽「ロメオとジュリエット」、ブラームス「交響曲第2番」を聴いたがその見事な深みのある演奏に感服した。



私のベスト・ワンLP!カラヤン/ベルリン・フィルのベートーヴェン「第9」(1962年録音)

2010-07-14 19:19:29 | ヘルベルト・フォン・カラヤン
 ヘルベルト・フォン・カラヤンの「ベートーヴェン/交響曲第9番」のレコードについてはこれまでに「レア盤」のライヴ盤も含め何枚となく紹介してきたが「私のベスト・ワン」となるとやはり写真の1962録音の「ドイツ・グラモフォン」への最初の全集録音からのLPである。このLPの国内盤(SLGM1305~06)は学生時代に購入したがその後ドイツ盤のオリジナル盤が欲しくなりドイツまでさがしに出かけた思い出がある。
 時すでに1970年代後半でフランクフルトをはじめ大都市のレコード店ではジークフリート・ラウターヴァッサー撮影のかっこいいカラヤンのこのジャケットLPがなかなか見つからずようやく地方都市マンハイムで写真LP2707 013(第8番との2LP)を見つけたがすでにドイツ盤は品切れで皮肉にもイギリス盤であった。従って表記もドイツ語ではなく英語になっている。価格も当時はなつかしい「ドイツ・マルク(DM)」で29マルク、日本円にして約1,800円前後といったところだった。
 演奏は今さら言うまでもなく当時54歳のカラヤンの溌剌とした指揮ぶりが想像できる名演である。また独唱陣は安定した歌いぶりで特にソプラノのグンドゥラ・ヤノヴィッツが素晴らしくバリトンのヴァルター・ベリーも魅力を感じさせる。カラヤンとは息の長い付き合いだったバックの合唱を受け持つ「ウィーン楽友協会合唱団」も見事である。
 カラヤンには非正規盤のライヴ盤等を含めるとおそらく十数種類の「第9」の録音が存在すると思われる。筆者もそれらの全てを聴いたわけではないがこの1962年のカラヤン初のオリジナル・ステレオ録音によるベルリン・フィルとのこの録音は筆者にとっては永遠に忘れることができない「第9」のベスト・ワン・レコードである。

FMエア・チェックオープン・テープ・コレクションから「1988年ルツェルン国際音楽祭」

2010-07-12 23:19:02 | FMエア・チェック
 今日は過去の「FM・エア・チェック」オープン・テープ・コレクションから久しぶりに「1988年ルツェルン国際音楽祭」ーレナード・バーンスタイン指揮ウィーン・フィルのコンサートを再生してみた。このコンサートは1988年9月8日ルツェルン湖畔の「クンスト・ハウス」で行われたもので当日のプログラムはベートーヴェン「レオノーレ」序曲第3番、バーンスタイン「フルート、弦楽オーケストラのためのノクターン<ハリル>」そして最後にブラームス「交響曲第4番ホ短調作品98」が演奏された。バーンスタイン自身の作品「ハリル(HALIL)」はヘブライ語でフルートを意味し独奏フルート、弦楽アンサンブル、打楽器のために書かれたもので1981年に完成され初演は同年5月テル・アヴィヴにおいてバーンスタイン自身の指揮、独奏フルートにジャン・ピエール・ランパルを招きイスラエル・フィルで行われている。筆者は1985年9月のバーンスタイン/イスラル・フィル来日公演で初めて生を耳にした。またこの作品のテーマは「平和」である。バーンスタインは19歳で戦死したひとりのイスラエルのフルーティストに感銘して作曲の筆をとったと言われている。このルツェルンのコンサートでは独奏フルートをウォルフガング・シュルツが受け持っている。
 メイン・プロのブラームスはバーンスタインが得意とするもので1981年~82年にかけてウィーン・フィルとライヴ録音による交響曲全集(DG)は誉れの高い名盤として輝いているがこのコンサートでも同様にスケールの大きい重厚なブラームスを聴かせている。やはり何度聴いても素晴らしいブラームスである。
 

バルビローリ/ハレ管弦楽団の「ヴォーン・ウィリアムズ/交響曲第2番&第8番」

2010-07-11 14:28:57 | 交響曲
 イギリスの「ダットン・ラボラトリーズーバルビローリ・ソサエティ(DUTTON LABORATORIES - THE Barbirolli Society)から2001年に久しぶりに再リリースされたサー・ジョン・バルビローリ(1899~1970)の名盤ヴォーン・ウィリアムズの交響曲第2番と第8番(写真/CDSJB1021)のCDを紹介したい。ヴォーン・ウィリアムズの交響曲については以前にも「第2番ーロンドン交響曲」をエードリアン・ボールト(1889~1983)指揮、ロンドン・フィルの名盤を紹介済みなので今回は特にバルビローリに献呈された「第8番ニ短調」にスポットをあててみたい。
 この「第8番」は前作の大作「第7番ー南極交響曲」と比較するばスケールは小さいが4楽章構成から成り終楽章ではグロッケンシュピールやゴングなど多彩な打楽器も活躍する興味深い作品である。作品の完成は1955年で初演は翌年1956年5月にこのCD盤と同じバルビローリ指揮ハレ管弦楽団の演奏でマンチェスターで行われている。因みにこのCDの録音(第8番)は初演の翌月にされている。カップリングされた「第2番」は1957年12月録音でいずれもステレオ最初期の録音でオリジナルはEMIからリリースされていたものであるがデジタル・リマスターにより音質も一段と向上している。
 バルビローリはこの後同楽団と「第2番」を1967年にEMIに再録音しているがヴォーン・ウィリアムズ全9曲の交響曲全集録音はしていない。現在、ライヴ盤を含め彼の指揮で聴くことができる作品は「第2番」・「第5番」・「第6番」・「第7番」・「第8番」のみである。




スウェーデン近代作曲家、ステンハンマルの傑作交響曲第2番

2010-07-10 14:44:56 | 交響曲
 スウェーデンの作曲家となると国内ではまだまだ馴染みが薄いが今回取り上げるヴィルヘルム・ステンハンマル(Willhelm Stenhammar/1871~1927)もそんなひとりではないかと思う。彼はピアニスト、指揮者としても活躍した人でストックホルムのコンサート・ホールの名称にもなっているフランツ・ベルヴァルド(Franz Berwald/1796~1868)と共にスゥェーデンの重要な位置を占める作曲家である。
 今日紹介したい彼の2つある交響曲作品の「第2番ト短調作品34」は彼がイタリア旅行をした際に1915年「ボルゲーゼ荘」で完成された傑作である。作品は4楽章からなり主調は「ト短調」だが古い「教会旋法」を用いた作品としても知られている。初演は作曲者自身が初代首席指揮者を務めていた「イェテボり交響楽団」で自身の指揮で行われている。
 私の愛聴盤はステンハンマルの作品を得意とするネーメ・ヤルヴィ(Neeme Järvi/1937~ )がこの作品を初演した同楽団の首席指揮者を務めていた時代に録音された写真のライヴ盤である。(BIS-CD251/1984年録音)彼は後に1990年代にも同楽団と「ドイツ・グラモフォン」にスタジオ再録音しているが「ライヴ」好きな筆者にとっては旧録のライヴ盤にひかれてしまう。カップリングされた演奏会用序曲「エクセルシオール(Excelsior)」作品13も好演である。

夭折、天才女流チェリストージャクリーヌ・デュ・プレのライヴ盤

2010-07-08 20:29:05 | 協奏曲
 過去に天才女流チェリスト、ジャクリーヌ・デュ・プレ(Jacqueline du Pré/1945~1987)が遺したスタジオ録音の名盤を紹介したが今日はライヴ録音から1枚取り上げてみたい。彼女の正規ライヴ盤はほとんどないため写真のCD盤ーサン=サーンス、チェロ協奏曲第1番イ短調作品33とドヴォルザーク、チェロ協奏曲ロ短調作品104を収めたライヴは大変貴重な1枚である。(独テルデック8573 85340-2)前者のサン=サーンスは夫のダニエル・バレンボイムが指揮、フィラデルフィア管弦楽団との1971年1月のコンサート・ライヴ、後者のドヴォルザークはセルジウ・チェリビダッケが指揮するスウエーデン放送交響楽団との1967年11月録音のコンサート・ライヴである。
 筆者は特に前者のサン・サーンスの演奏が気に入っている。この作品はサン=サーンスの二つチェロ協奏曲の中でも傑作と言われている情緒的色彩の濃い作品である。彼女はこの類の作品を大変得意としていた。曲は単一楽章で切れ目なく3つの部分から構成されているが彼女の情感あふれる演奏にはうっとりとさせれてしまう。彼女はこの作品をEMIに1968年にバレンボイムとスタジオ録音していたと思うがスタジオ盤とはまた一味違ったライヴならではの魅力を感じさせてくれる。


貴重盤! バレンボイム & チェリビダッケ共演ライヴ盤

2010-07-07 15:29:05 | 協奏曲
 ダニエル・バレンボイム(Daniel Barenboim/1942~ )がピアニストとしてセルジュ・チェリビダッケ(Sergiu Celibidache/1912~1996)指揮、ミュンヘン・フィルと共演した貴重なライヴ盤がある。(写真/英EMI-7243 5 57417 2)この録音は1991年、会場がことなる二つのコンサートからライヴ収録されたものでシューマンとチャイコフスキーのピアノ協奏曲が収められている。因みにシューマンが7月15日エアランゲンのシュタットハレ(Erlangen/Stadhalle)、チャイコフスキーが10月28日ミュンヘンのフィルハーモニー(Philharmonie, München)での収録である。
 バレンボイムにはこの他過去にも非正規盤ながらチェリビダッケと同オーケストラでベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番変ホ長調「皇帝」のライヴ盤も出ていた。これらの録音を聴く限り二人の合性はよくマッチしており特に今日紹介するシューマンとチャイコフスキーの作品は骨太でガッチリとした聴きごたえのある演奏である。またバレンボイムが弾くチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」の録音は確かこのチェリビダッケ盤のライヴ録音のみと思われるのでその観点からも大変貴重なものである。余談ながら調べてみるとこのCDは2003年度の「レコード芸術」、協奏曲の「準特選盤」にも選ばれている。

ベーム、不滅の名盤ー「ドレスデン・シュターツカペレ」との「フィデリオ」全曲盤

2010-07-05 22:45:59 | オペラ
 今日紹介したいレコードは巨匠カール・ベーム(Karl Böhm/1894~1981)が1970年の「ベートーヴェン生誕200年」を記念して当時東独の「ドレスデン・シュターツカペレ(Staatskapelle Dresden)」とレコーディングしたベートーヴェン唯一のオペラ、「フィデリオ」全曲盤である。(写真/ドイツ・グラモフォン原盤3LP-2721136)
 この録音は当時の東独レコード会社「ドイツ・シャルプラッテン(Deutsche Schallplatten)との共同制作で行われたものだがその魅力は充実した歌手陣の素晴らしさにあると思う。一例をあげればドン・フェルナンドを歌うマルッティ・タルヴェラ(Br)、ドン・ピツァロのテオ・アダム(Bs)、フロレスタンのジェームス・キング(T)、レオノーレのギネス・ジョーンズ(Sp)等々、往年の名歌手ぞろいである。オーケストラの響きも素朴で枯淡な味わいを感じる。またスタジオ録音ながらベームの気迫がこもった指揮ぶりも肌で感じさせてくれるライヴさながらの魅力も備えている。バックのドレスデン国立歌劇場合唱団やライプチヒ放送合唱団のアンサンブルも花を添えている。