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志ん朝の「鰻の幇間」・「酢豆腐」

2011-07-19 01:29:51 | 落語

 土用の丑の日が近づいてきた。この時節にピッタリの落語と言えば「鰻の幇間」、「酢豆腐」あたりが思いつく。ついては今回も志ん朝のライヴ盤から紹介してみたい。
 写真は2002年に「志ん朝復活」と題して千石「三百人劇場」の未発表ライヴ音源を中心に初CD化されたシリーズの1枚である。(Sony Music-SICL13)因みに「鰻の幇間」が1976年9月27日第1回「志ん朝の会」、「酢豆腐」は1977年6月22日第4回「志ん朝の会」におけるライヴである。いずれの演目も古くは八代目桂 文楽の十八番であったが志ん朝師は「鰻の幇間」の枕で現代の若者には馴染みが薄い人の機嫌をとる「幇間」という仕事の難しさを興味深く説明をするなど心配りもうかがえる。しがない野幇間の「一八」が通りでひっかけたつもりの男に逆に鰻屋ですっかり騙されてしまうやりとりが「志ん朝流」のテンポ運びで聴き手は自然に噺の世界にすい込まれてしまう。
 また「酢豆腐」では超キザな若旦那が知ったかぶりをするそのキザな口調に「志ん朝」ならでは芸風が光る。CDでは町内の若い連中におだてられ腐った豆腐を口に入れてしまうキザな若旦那の途轍もなく滑稽な苦痛な表情はイメージするしかないが実演ではいつも会場から聴衆の笑いと拍手喝采がわき起こっていたのを思い出す。