私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

「落語レコード・コレクションから」-志ん朝、「船徳」・「黄金餅」

2011-07-16 11:07:03 | 落語

 今日はちょっと気分を変えて私の「落語レコード・コレクション」から1枚を取り上げてみたい。筆者は「クラシック音楽レコード」と並行して「落語」のレコードも学生時代から収集し始め東京の「定席」・「ホール落語」等にも時間が許す限り「コンサート」の合間をぬって現在も足を運んでいる。
 写真のLPレコードは筆者が一番ひいきにしていた「古今亭志ん朝師」の「船徳」と「黄金餅」が収録された1枚である。(CBSソニー/22AG768、ステレオ/1981年発売)この録音はその当時「志ん朝師」が現在はその姿を消した千石の「三百人劇場」で開催していた「志ん朝の会」からのライヴである。因みにこれは1979年7月5日の口演を収録したものである。当時師匠41歳、筆者は会場でその芸風に陶酔してしまった思い出がある。「船徳」の主人公、若旦那の江戸前の粋な「語り口」・「しぐさ」はまさに「志ん朝」ならではの「独擅場」である。この噺は浅草観音の「四万六千日」の真夏の暑い盛りが舞台なのでまさに今の時期に聴くのにピッタリである。またレコード第ニ面に収録された「黄金餅」は下谷山崎町の貧乏長屋に住むシワイや乞食坊主「西念」の弔いにまつわる噺だがこれもよく高座で取り上げた。このレコードでも志ん朝の興味深い工夫が聴き取れる。一例をあげればこのレコードの解説にもあるが乞食坊主「西念」の人物像紹介で「頭陀袋」の表裏が「念仏」と「題目」の兼用になっているところに続いて背中には「十字架」が描いてあるという表現は「志ん朝」ならではの演出であろう。
 今年2011年は「志ん朝師」が亡くなって早や10年である。筆者は「師」の生の口演に数多く接することができ幸せな時代に生まれてきたとつくづく感じている。まだこれからさらに「師」の円熟した芸風が聴けると思っていた矢先の訃報であった。しかし最近では「師」のこれまで未発表音源もCD化され我々「志ん朝ファン」の興味はつきない。
 今後も数百枚ある「落語・演芸」のレコード・CDコレクションから紹介していきたいと思っている。

(終演後に扇に入れてもらった「志ん朝師直筆サイン」)