私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

ストコフスキーが遺した名録音から

2009-08-05 02:58:17 | 管弦楽曲
 レコード録音史を語る上で指揮者レオポルド・ストコフスキー(Leopod Stokowski/1882~1977)の名を避けて通ることはできないだろう。彼は1917年の「ラッパ吹き込み」録音の時代から亡くなる2カ月前までの実に60年の歳月に渡りレコーディング活動を続けた人であった。筆者はもちろん彼の夥しい録音の全てを聴いたわけではないが今日は英デッカの「驚異のステレオ録音ーフェーズ4」シリーズの1枚、写真のLPを紹介したいと思う。
 このレコードは彼が1969年6月にイギリスのロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団・合唱団ほかとキングスズウェイホール(ロンドン)で録音したものである。収録曲はチャイコフスキー大序曲「1812年」、ボロディン歌劇「イーゴリ公」から「ダッタン人の踊りと合唱」、ストラヴィンスキー「田園曲」の3曲である。中でも「1812年」は以前にも紹介したアンタル・ドラティ/ミネアポリス響の録音(1958年)と同様、英国近衛砲兵隊による大砲実写音を使用しさらにフィナーレで高らかになる鐘の音もオーケストラのベルの音と共にスイス、チューリッヒの寺院の鐘、ヴァチカンの2つの鐘もミキシングしステレオ録音効果を演出している。いかにも音の魔術師ストコフスキーらしい。
 ボロディンの「ダッタン人の踊り」は単独でよくコンサートでとりあげられる名曲であるがこの録音では合唱が録音に花を添えている。ストラヴィンスキーの「田園曲(Pastorale )の原曲は「歌詞のない歌」としてソプラノとピアノのための小品でリムススキー=コルサコフの娘に献呈されたものである。このレコードでは後に出版されたヴァイオリン、オーボエ、コールアングレ、クラリネット、バスーンの5重奏曲に編曲された版を使用している。バックのオーケストラも美しい。