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リヒテルのベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」

2009-08-01 01:38:28 | 協奏曲
 スヴャトスラフ・リヒテル(Sviatoslav Richter/1915~1997)はその抜群の演奏テクニックから20世紀最高のピアニストと称され1970年の初来日まで日本では「幻のピアニスト」とまで言われた。筆者が彼の演奏を初めてレコードで聴いたのは1958年2月に彼がブルガリアの首都ソフィアで行ったリサイタルのライヴ、ムソルグスキー組曲「展覧会の絵」のモノラル録音であった。録音状態は決して良好とは言い難かったが彼の演奏が西側諸国に伝わった最初のものではなかったかと思う。その彼のベートーヴェンのピアノ協奏曲の録音は意外なことに第1番ハ長調作品15と今日紹介する第3番ハ短調作品37の2曲しかない。
 第3番については1978年の「レコード・アカデミー賞」を受賞したリッカルド・ムティー/フィルハーモニア管弦楽団との1977年の録音盤(EMI)が有名だが筆者は1962年9月にウィーン楽友協会大ホールで録音されたクルト・ザンデルリンク/ウィーン交響楽団との演奏(写真/CD-DG盤)も捨てがたい。彼はこの古典様式にロマン様式が折衷されたこの名曲を実に巧く情感をこめて演奏している。特に第2楽章ラルゴが美しい。この演奏を聴くと彼が第4番や第5番の録音をしなかったことが悔やまれる。
 尚、このCDには1959年録音のスタニスラフ・ヴぃスロッキ/ワルシャワ・フィルとのモーツアルトのピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466も収録されておりこちらも聴きものである。