今週の東洋経済は矢張りサブ特集「能登半島地震の警告」が良い。
「株特集で「4万円時代」と掲げたのが皮肉で日経先物は現在暴落中。。」
「重要なのはサブの「地震と原発災害」の方」
と先週に書いた通りではないか。
震源域すぐ近くの珠洲に危うく原発ができるところだったという
恐ろしい話は既に知られていたが、活断層だらけの能登半島で
そもそも原発立地としては論外である上に、志賀原発からの避難先に
今回の震源域が含まれていたというとんでもないお粗末さは重要である。
意外に風力の適地が少ない地域なので対策は容易でないが
(福井の方が敦賀周辺など風力発電に向く場所が多い)
震災からの復興には七尾や穴水近辺へのガスパイプライン設置、
コージェネ促進を含めた製造業の立て直しが不可欠となろう。
何より、リスクでしかない原発を完全排除して考えることが重要である。
あ、そうそう、逆指標になってしまったメイン特集も良いところはある。
米国だけでなくインド株のパフォーマンスが一目瞭然になっている点だ。
当ウェブログは数年前に「中国の時代は終わり、インドの時代が来る」と
予言していたが、まさにその通りの展開である。
『週刊東洋経済』 2024年3/16号 (株の道場 4万円時代に買える株)
今週、最も宜しくなかったのは東洋経済のコラムニスト、
野村明弘氏による「専業主婦「年金三号」は公平で正当性ある制度」だ。
これは大学生でも分かるような論理のすり替えであり、
年金財政に話を限定することによって公平であるかのように装っている。
このような内容を堂々と氏名入りで出してしまうのは勇敢なのではなく
単なる見落としか、或いは何らかの思惑による情報操作だろう。
専業主婦だけが給与所得者の夫を「内助の功」で助けている訳ではなく、
それを認めるなら自営業でも共働きでも「内助の功」で3号を認めるべきだ。
それがまず第一の欺瞞で、厚労省の古い制度を庇う贔屓の引き倒しである。
次に、問題は年金財政だけではなく、意図的に問題を矮小化している。
より働いた方が負担が重くなり、可処分所得が大きく減らされるからこそ
「不公平」という議論になるのである。本当に働けないのは少数派で、
多くは年収の壁を口実に就労調整を行っているのが実態なのである。
そもそも、第三号は男女平等に反し一人親家庭を完全に排除する差別制度だ。
加えて、日本の社会保障は支え手を増やさないと制度の持続可能性が危ういから
女性は男性より平均寿命が長く、第三号の擁護や温存は「毒饅頭」に他ならない。
いま楽をすると、必ず後でツケが回ってくることを忘れてはならない。
就労を促進し、イデコ等で積立を増やしておくことが真に女性達のためになる。
◇ ◇ ◇ ◇
ダイヤモンドの株式特集はほぼ想定内か。。
東洋経済同様に逆指標となりかけており、
株価を経営者の通信簿としている記事は評価できるのだが
(矢張りM&A巧者のニデックの優秀さが分かる)
野村総研の木内氏の警告は熟読した方が良い。
それより「数字は語る」で榎並氏が
「デジタル化に好意的なのは若者よりも高齢者」という
驚愕の調査結果を紹介していて非常に興味深い。しかも
デジタル行政サービスについて最も不信感が強いのは30代女性というのも
日本政府のデジタル化の失敗の証左であり見逃せない数値だ。
今週、最も宜しくないのは佐藤優氏の連載だった。
池上氏との対談形式にして弊害は薄れた印象だが、
現下の世界情勢について米国と欧州は弱体化、
中ロ北は強くなるから日本は不利という意味不明な分析をしている。
中国経済の急減速と日本以上の絶望的な少子化を見れば、
米国より中国の方が不利になっているのは歴然としている。
また、ロシアは多くの兵士を死なせ、高学歴の若者を国外流出させた。
ウクライナと完全に敵対関係になり、北欧東欧との関係を破壊したから
対内投資による産業振興は難しくなり中国企業に牛耳られてしまうから
ロシアが戦略的・軍事的失敗によって最も不利になったことは明白だ。
アフガン侵攻の際の国力は既になく、「スターリン批判」の再来は不可避だ。
ロシア史を研究して客観的な分析をすべきではないか。
◇ ◇ ◇ ◇
エコノミストの株式特集は普通だったが後半のところでしっかり、
「エンゲル係数は過去最高」と書いている。
円安バブルは歴然であり賢明な読者は寧ろ警戒した方が良い。
市岡繁男氏は2020年のフィナンシャル・タイムズ紙の記事を挙げ、
年初からの日本株の急騰はスペックが巨額の先物・オプションを買い集めた
余波ではないかと推測しており(値動きからするとその可能性はある)、
FRBの利下げと円高転換が迫っている今、要警戒であろう。
後半ではアメリカでの拝金主義の強まりが
米アカデミー報告で批判されているとの記事もある。
対照的に佐藤優氏はダイヤモンド誌の書評でアメリカの福音派が
拝金主義の歯止めになっているかのような奇妙な説を唱えているが、
賢明な読者ならよく比較して言説の優劣を見抜けるだろう。
◇ ◇ ◇ ◇
次週は東洋経済に注目、サブ特集の「緊迫度増す米大統領選挙 トランプ復活の恐怖」を見ておきたい。
▽ 「資生堂を襲った2つの誤算 1500人早期退職の深刻」も興味深い(働き方改革が通用しなかった!)
▽ ダイヤモンドでは熊野英生氏が「日経平均4万円台の「虚の部分」」を論じている
「企業不祥事を調べる調査委員会が乱立」や「「お手盛り委員会」量産」は日本の経済界の緩みを感じる。。
「株特集で「4万円時代」と掲げたのが皮肉で日経先物は現在暴落中。。」
「重要なのはサブの「地震と原発災害」の方」
と先週に書いた通りではないか。
震源域すぐ近くの珠洲に危うく原発ができるところだったという
恐ろしい話は既に知られていたが、活断層だらけの能登半島で
そもそも原発立地としては論外である上に、志賀原発からの避難先に
今回の震源域が含まれていたというとんでもないお粗末さは重要である。
意外に風力の適地が少ない地域なので対策は容易でないが
(福井の方が敦賀周辺など風力発電に向く場所が多い)
震災からの復興には七尾や穴水近辺へのガスパイプライン設置、
コージェネ促進を含めた製造業の立て直しが不可欠となろう。
何より、リスクでしかない原発を完全排除して考えることが重要である。
あ、そうそう、逆指標になってしまったメイン特集も良いところはある。
米国だけでなくインド株のパフォーマンスが一目瞭然になっている点だ。
当ウェブログは数年前に「中国の時代は終わり、インドの時代が来る」と
予言していたが、まさにその通りの展開である。
今週、最も宜しくなかったのは東洋経済のコラムニスト、
野村明弘氏による「専業主婦「年金三号」は公平で正当性ある制度」だ。
これは大学生でも分かるような論理のすり替えであり、
年金財政に話を限定することによって公平であるかのように装っている。
このような内容を堂々と氏名入りで出してしまうのは勇敢なのではなく
単なる見落としか、或いは何らかの思惑による情報操作だろう。
専業主婦だけが給与所得者の夫を「内助の功」で助けている訳ではなく、
それを認めるなら自営業でも共働きでも「内助の功」で3号を認めるべきだ。
それがまず第一の欺瞞で、厚労省の古い制度を庇う贔屓の引き倒しである。
次に、問題は年金財政だけではなく、意図的に問題を矮小化している。
より働いた方が負担が重くなり、可処分所得が大きく減らされるからこそ
「不公平」という議論になるのである。本当に働けないのは少数派で、
多くは年収の壁を口実に就労調整を行っているのが実態なのである。
そもそも、第三号は男女平等に反し一人親家庭を完全に排除する差別制度だ。
加えて、日本の社会保障は支え手を増やさないと制度の持続可能性が危ういから
女性は男性より平均寿命が長く、第三号の擁護や温存は「毒饅頭」に他ならない。
いま楽をすると、必ず後でツケが回ってくることを忘れてはならない。
就労を促進し、イデコ等で積立を増やしておくことが真に女性達のためになる。
◇ ◇ ◇ ◇
ダイヤモンドの株式特集はほぼ想定内か。。
東洋経済同様に逆指標となりかけており、
株価を経営者の通信簿としている記事は評価できるのだが
(矢張りM&A巧者のニデックの優秀さが分かる)
野村総研の木内氏の警告は熟読した方が良い。
それより「数字は語る」で榎並氏が
「デジタル化に好意的なのは若者よりも高齢者」という
驚愕の調査結果を紹介していて非常に興味深い。しかも
デジタル行政サービスについて最も不信感が強いのは30代女性というのも
日本政府のデジタル化の失敗の証左であり見逃せない数値だ。
『週刊ダイヤモンド』2024年3/16号 (日本株 沸騰!) |
今週、最も宜しくないのは佐藤優氏の連載だった。
池上氏との対談形式にして弊害は薄れた印象だが、
現下の世界情勢について米国と欧州は弱体化、
中ロ北は強くなるから日本は不利という意味不明な分析をしている。
中国経済の急減速と日本以上の絶望的な少子化を見れば、
米国より中国の方が不利になっているのは歴然としている。
また、ロシアは多くの兵士を死なせ、高学歴の若者を国外流出させた。
ウクライナと完全に敵対関係になり、北欧東欧との関係を破壊したから
対内投資による産業振興は難しくなり中国企業に牛耳られてしまうから
ロシアが戦略的・軍事的失敗によって最も不利になったことは明白だ。
アフガン侵攻の際の国力は既になく、「スターリン批判」の再来は不可避だ。
ロシア史を研究して客観的な分析をすべきではないか。
◇ ◇ ◇ ◇
エコノミストの株式特集は普通だったが後半のところでしっかり、
「エンゲル係数は過去最高」と書いている。
円安バブルは歴然であり賢明な読者は寧ろ警戒した方が良い。
市岡繁男氏は2020年のフィナンシャル・タイムズ紙の記事を挙げ、
年初からの日本株の急騰はスペックが巨額の先物・オプションを買い集めた
余波ではないかと推測しており(値動きからするとその可能性はある)、
FRBの利下げと円高転換が迫っている今、要警戒であろう。
『週刊エコノミスト』 2024年3/19・26合併号【特集:株価4万円突破! 勝つ投資】 |
後半ではアメリカでの拝金主義の強まりが
米アカデミー報告で批判されているとの記事もある。
対照的に佐藤優氏はダイヤモンド誌の書評でアメリカの福音派が
拝金主義の歯止めになっているかのような奇妙な説を唱えているが、
賢明な読者ならよく比較して言説の優劣を見抜けるだろう。
◇ ◇ ◇ ◇
次週は東洋経済に注目、サブ特集の「緊迫度増す米大統領選挙 トランプ復活の恐怖」を見ておきたい。
▽ 「資生堂を襲った2つの誤算 1500人早期退職の深刻」も興味深い(働き方改革が通用しなかった!)
『週刊東洋経済』2024年3/23号 (絶頂トヨタの試練) |
▽ ダイヤモンドでは熊野英生氏が「日経平均4万円台の「虚の部分」」を論じている
「企業不祥事を調べる調査委員会が乱立」や「「お手盛り委員会」量産」は日本の経済界の緩みを感じる。。