国道270号に面して建つ木造平屋のこの建物は、大学を卒業後にこの地で開業した施主により大正初期に建てられたものと伝わります。 その後、御子息が跡を継ぎましたが平成12(2000)年に閉院し、以来内部はそのままに残されて今日に至っているそうです。 鹿児島県日置市東市来町伊作田 12年01月上旬
※参考『鹿児島県の近代化遺産』 2004
積年の風雨に晒され表札の文字もかすむ。
窓枠や扉が変更されているのも已む無しです。
内部は和風の造りになってるよう。 さすがに敷地内に立ち入って中を覗くのは憚られます。
大正元年は1912年。 一世紀にも渡る時の重みが建物にまつわりつく。
白髪混じりのお髭が特徴でどんな病気でも治して下さる・・
なんて一人で想像してしまいそうな病院。
朝になったら沖に船を出し、の生活がもう何年も何十年も続いているような小さな町。
その中で親子2代、80年くらいにも続いた診療活動は地域愛、人間愛などによって支えられたものだったんでしょうね。
そんな勝手な想像をしてしまいます。
『この十数年医者が不在だった日置市東市来町伊作田に5月初め、診療所が開業した。長年地元の医療を支えてきた築約100年の医院跡の建物に、鹿児島市の医師夫妻が入り再開させた。(中略) 建物は1914(大正3)年ごろに建築、地元では永井医院として親しまれてき… (南日本新聞2013年5月23日)』
建物がまた現役で(しかも診療所として)活躍しているのを聞いてうれしくなり、ご存知かとは思いながらも書かせていただきました。