坊主の家計簿

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 思いを伝えてよ 何も始まらないからね

蟹工船の宿業

2009年09月11日 | 坊主の家計簿
 釋歎我さん来寺。
 真宗同朋会運動を課題にして念仏申す為に得度した人や、教団問題を課題にして念仏申す為に住職になったり、役僧&寺族問題を課題にして念仏申す為に寺族になった人は多くいるだろうが、釋歎我さんは永代供養等の仏事ビジネスを課題にして念仏申す為に得度なさった(まあ、それだけではないやろうけど。。。)珍しい方である。要するに私の仏事革命の同士である。

 「同士諸君!我々は~」

 あ、っちゅう事で、昨日買った蟹工船を読んでた。何やら私が買ったのは新装版(古本だが)だったみたいであり、『新装版にあたって』っちゅう事で、雨宮処凛が一文を書いてた。
 どうでもエエけど、雨宮処凛が大谷派の機関誌に取り上げられる、っちゅうのはどういう事やねん。まあ、『夜回り先生』も取り上げられたし、いかにも「私ら世間の流行に魂売り渡してます」っちゅう感じで軽薄で、ミーハーで、わけ解らん。

【新自由主義のもとでは、「生産性のない」人間は「生きる価値なし」と判断され、「自己責任」という言葉で切り捨てられること。】(蟹工船『新装版あとがき』より)

 当然、『言いたい事は』賛成である。んが、それは別に『新自由主義』だけの問題ではない。『新自由主義、あるいは小泉改革のせい』にする幼稚さが納得できん。そして『新自由主義、あるいは小泉改革のせい』にするから自己責任がない。自己責任とは

【二十一世紀の「蟹工船」で、私たちは、自らの手で新しい社会を描こうとしているのだ】(蟹工船『新装版あとがき』より)

 という事である。
 「親任せ」→「学校任せ」→「社会任せ」は、
 「親が悪い」→「学校が悪い」→「社会が悪い」である。
 自己不在である。自己不在が故に「運動家任せ」「運動家が悪い」になる。
 あえて使うが『落ちこぼれた』のは誰が悪いのでもなく、本人の責任である。んなもん、他人が最後まで面倒見てくれるわけがない。自分の人生である以上、本人が主人公にならなければ誰が主人公になるのか?責任まで奪ったるな、っちゅうねん。まあ、過保護の無痛文明なんだろうが。

 蟹工船の中に、葬儀のシーンがある。

【八時頃になって、ようやく一通りの用意が出来、線香や蝋燭をつけて、皆がその前に坐った。監督はとうとう来なかった。船長と船医が、それでも一時間位坐っていた。片言のように――切れ切れに、お経の文句を覚えていた漁夫が「それでいい、心が通じる」そう皆に云われて、お経をあげることになった。お経の間、シーンとしていた。誰か鼻をすすり上げている。終りに近くなるとそれが何人もに殖えて行った。
 お経が終ると、一人々々焼香をした。それから坐を崩して、各々一かたまり、一かたまりになった。仲間の死んだことから、生きているーーー然し、よく考えてみればまるで危く生きている自分達のことに、それ等の話がなった。船長と船医が帰ってから、吃りの漁夫が線香とローソクの立っている死体の側のテーブルに出て行った。
 「俺はお経は知らない。お経をあげて山田君の霊を慰めてやることは出来ない。然し僕はよく考えて、こう思うんです。山田君はどんなに死にたくなかったべか、とな。ーーーイヤ、本当のことを云えば、どんなに殺されたくなかったか、と。確に山田君は殺されたのです」
 聞いている者達は、抑えられたように静かになった。
「では、誰が殺したか? ーーー云わなくたって分っているべよ! 僕はお経でもって、山田君の霊を慰めてやることは出来ない。然し僕等は、山田君を殺したものの仇をとることによって、山田君を慰めてやることが出来るのだ。ーーーこの事を、今こそ、山田君の霊に僕等は誓わなければならないと思う・・・・」】(蟹工船より)

 小説の中で決起するにあたって重要なキーワードになるシーンである。
 『仇』という言葉は別にして、『霊を慰める』のではなく、『霊に誓う』っちゅうのはエエのぉ。。。

【この世のならいにて、念仏をさまたげんひとは、そのところの領家・地頭・名主のようあることにてこそそうらわめ。とかくもうすべきにあらず。念仏せんひとびとは、かのさまたげをなさんひとをば、あわれみをなし、不便におもうて、念仏をもねんごろにもうして、さまたげなさんを、たすけさせたまうべしとこそ、ふるきひとはもうされそうらいしか。よくよく御たずねあるべきことなり。】(親鸞)

【聖人の廿五日の御念仏も、詮ずるところは、かようの邪見のものをたすけん料にこそもうしあわせたまえと、もうすことにてそうらえば、よくよく、念仏そしらんひとをたすかれとおぼしめして、念仏しあわせたまうべくそうろう。】(親鸞)

 
 ああ、耳垂れ辛い。。。
 あ、蟹工船は古本屋で190円で買わんでも、ネットに落ちてました。
 http://www.aozora.gr.jp/cards/000156/files/1465_16805.html
 190円損した気分なんだが、寝転びながら読めたし、まあエエわ。


 ついでに『檀家制度という宿業』。
 え~。。。耳垂れ辛いので気合いがでんなぁ。。。

 「うちは先祖代々大谷派」
 「うちは先祖代々○○宗」
 それはそうと、お前は誰やねん?
 何を諦めとるねん。
 『檀家制度』からの解放が、『檀家制度』で生きて来た『寺』の解放にも繋がりまんねんで。

 
 ああ、耳垂れが。。。マキロン&オロナイン塗ろ。

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