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ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ブラック・ブレッド

2012-06-20 23:40:51 | は行

スペインは子どもをうまく使った
映画が多いなあ。

「ブラック・ブレッド」72点★★★★

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1940年代、スペイン内戦後のカタルーニャ。

少年アンドレウ(フランセスク・クルメ)は森のなかで
親子が惨殺されるのを目撃してしまう。

被害者はアンドレウに
「ピルトリウア・・・」と、謎の言葉を残して死んでいく。
ピルトリウアとは
森の洞窟に住む怪物の名前だった。

事件を調査した警察は
アンドレウの父親(ルジェ・カザマジョ)を容疑者と断定する。

父は左翼運動に関わり、
以前から警察に目をつけれられていたのだ。

父は姿を消し、アンドレウは
その後、驚きの真実を知ることになる――。

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アルモドバルの「私が、生きる肌」を押しのけて
米アカデミー賞外国語賞に選出された作品。

ファンタジーではなく
スペイン内戦を背景にしたミステリーで、

人が生きる糧とは、信念とは何か?といった
政治的、社会的な高潔を描いていて、深みがあります。

「理想を失ったとき、人は邪悪になる」という
アンドレウの父の言葉が
映画を貫いている。


なにより
スペインは子どもをうまく使った、
息を潜めるような映画が本当に得意なんだよなあ。


子どもたちは常に大人のウソを見抜き、
目と耳をそばたてて、
大人が隠しておきたい秘密を暴いてしまう。

お国柄なのか?

あるいは彼らは子どもの
あの特有のバンビのような瞳の奥に、
純真さよりも

全てを見透かされているような
居心地の悪さや、恐怖を感じるのかもしれない。


死の臭いが身近にあった時代を想像させるダークな色調で、
残酷なシーンも少しありますが、
直接的な描写は控えめでした。


ちなみに当時は階級によって
食べられるパンが分かれていたそうで、
タイトルはの「黒いパン」とは
貧乏人が食べる黒いパン、という意味です。

★6/23(土)から銀座テアトルシネマ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開。

「ブラック・ブレッド」公式サイト
コメント (2)
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