スペインは子どもをうまく使った
映画が多いなあ。


「ブラック・ブレッド」72点★★★★




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1940年代、スペイン内戦後のカタルーニャ。


少年アンドレウ(フランセスク・クルメ)は森のなかで
親子が惨殺されるのを目撃してしまう。

被害者はアンドレウに
「ピルトリウア・・・」と、謎の言葉を残して死んでいく。
ピルトリウアとは
森の洞窟に住む怪物の名前だった。


事件を調査した警察は
アンドレウの父親(ルジェ・カザマジョ)を容疑者と断定する。

父は左翼運動に関わり、
以前から警察に目をつけれられていたのだ。




父は姿を消し、アンドレウは
その後、驚きの真実を知ることになる――。

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アルモドバルの「私が、生きる肌」を押しのけて
米アカデミー賞外国語賞に選出された作品。

ファンタジーではなく
スペイン内戦を背景にしたミステリーで、
人が生きる糧とは、信念とは何か?といった
政治的、社会的な高潔を描いていて、深みがあります。

「理想を失ったとき、人は邪悪になる」という
アンドレウの父の言葉が
映画を貫いている。
なにより
スペインは子どもをうまく使った、
息を潜めるような映画が本当に得意なんだよなあ。

子どもたちは常に大人のウソを見抜き、
目と耳をそばたてて、
大人が隠しておきたい秘密を暴いてしまう。




お国柄なのか?
あるいは彼らは子どもの
あの特有のバンビのような瞳の奥に、
純真さよりも


全てを見透かされているような

居心地の悪さや、恐怖を感じるのかもしれない。

死の臭いが身近にあった時代を想像させるダークな色調で、
残酷なシーンも少しありますが、
直接的な描写は控えめでした。
ちなみに当時は階級によって
食べられるパンが分かれていたそうで、


タイトルはの「黒いパン」とは
貧乏人が食べる黒いパン

★6/23(土)から銀座テアトルシネマ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開。
「ブラック・ブレッド」公式サイト