ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ファウスト

2012-06-02 21:08:39 | は行

美しく妖しく芸術的……
過ぎるのもムツカシイ。

「ファウスト」60点★★★

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19世紀初頭、ドイツのある町。

高名な学者ファウスト(ヨハネス・ツァイラー)は
魂の存在を探し求め、
その研究費を捻出するために
“悪魔”と言われる高利貸し(アントン・アダシンスキー)を訪ねる。

高利貸しは
「金は貸さないが、生きる意味を教えてやる」と言い、
ファウストを美しいマルガレーテ(イゾルダ・ディシャウク)に会わせる。

速攻、彼女に恋をしてしまったファウストは

彼女を手に入れるため、
高利貸しと悪魔の契約を結ぶのだが――。

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第68回ヴェネチア国際映画祭グランプリ受賞作。

ゲーテの「ファウスト」を原案に、
美しい娘に惚れた博士が、高利貸しの悪魔に魂を売り、
彼女を手に入れようとする話。

確かにものすごいオーラのある映像世界というか、

幻影、幻灯を観ているような、
見たことのない不可思議な感覚であります。

ただ、正直話は
よくわかんないんですよ(汗)

原作をちゃんと読んだこともないので、
セリフは追っていっても
霞のようにかき消えるし、

まさに観る人の解釈を拒み、翻弄する感じの映画。

こちらがもっと
勉強しないといけなさそう。


映像の美しさは天下一品なので、
感じるまま、拒まずに観るほうが正解かもしれません。

登場する人工生命体(ホムンクルス)のイメージからなのか、
解剖だの意外にグロい描写があるからなのか
はたまた
めくるめく幻影っぽさのせいか、

夢野久作「ドグラマグラ」の世界に近い感覚を味わいました。


監督・脚本のアレクサンドル・ソクーロフは
「エルミタージュ幻想」(02年)などで知られる監督ですが
そういや「エルミタージュ~」も
美しくも激烈な睡魔に襲われたっけ……


★6/2(土)からシネスイッチ銀座で公開。

「ファウスト」公式サイト
コメント
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