なんという・・・・・・!と絶句。
「母という名の女」72点★★★
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メキシコ。海のそばに建つ家で、
姉クララ(ホアナ・ラレキ)と
17歳の妹バレリア(アナ・バレリア・ベセリル)が暮らしている。
バレリアは同い年の彼氏マテオ(エンリケ・アリソン)の子を身ごもっており
若い二人はままごとのような“夫婦生活”をしている。
そんなある日、姉妹の前に
疎遠だった母アブリル(エマ・スアレス)が姿を現す。
なぜか母親をなぜか警戒していたバレリアだが
出産の不安から、母親を頼るようになっていく。
やがてバレリアは無事に赤ん坊を産み、
母は献身的に、赤ん坊の世話をしていた。
だが、ある日、母は思いがけない行動に出る――。
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いやあ、これは
「なんつう・・・・・・」がズバリの感想。
でも
観る人の読みをスルッと裏切り、
飄々と、しかし消えない爪痕を残す、みたいな感じですよ。
妊娠中の17歳の娘のもとに、疎遠だった母親が現れる。
出産後は、育児疲れする若い娘の代わりに
献身的に赤ん坊を見てくれている。
でも、そんな母がまさかの行動に・・・・・・?!という展開。
ミステリーともいえるので、ネタバレは避けますが
描かれるのは
日本でも話題の、“毒親”、“毒母”の姿。怖い。
でも
この監督もまた独特で、
不穏の影はありつつも、
ゆるゆると自然な運びで現在進行形の状況を積み上げていくんですね。
で、その過程で、人物の心理や動機の描写を全くしようとしないので、
なにが起こるのか? が、なかなかわからないし
なにゆえに?もわからないんですよ。
母親がなぜ、どのタイミングで
この行動に出ようと思ったのか?
何考えてんの?が、まるでわからない。
だからこそ、じわじわと恐ろしい。
女っていやだわあ、怖いわあ、と鬱々とし
でも、ラストはちょっとガッツポーズな(笑)
序盤、けっこう重要なキーにみえたお姉さんのキャラが
なんとなく宙ぶらりんで放置されたのが気になりましたが、
こうした完璧ではない「いびつさ」も
監督の計算なのかもしれません。
★6/16(土)からユーロスペースほか全国順次公開。