ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

レディ・バード

2018-05-30 23:35:37 | ら行

 

ワシ的クリーンヒット作「フランシス・ハ」

グレタ・ガーウィグ初監督作。

 

「レディ・バード」73点★★★★

 

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2002年、カリフォルニア州サクラメントに住む

17歳のクリスティン(シアーシャ・ローナン)は

自分を“レディ・バード”と名付け、周りにもそう呼ばせている。

 

中途半端な地方都市である地元を嫌う彼女は

「文化のあるニューヨークとかニューハンプシャーの大学に行きたい」といい

地元の大学を薦める母親(ローリー・メトカーフ)と大げんかになる。

 

母とことあるごとに衝突しつつも、

学校で好青年ダニー(ルーカス・ヘッジズ)と出会い

さらにクールなバンドの美少年(ティモシー・シャラメ)と出会い

アタシ流青春を謳歌しているかに見えたクリスティンだったが――?!

 

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大好き!なグレタ・ガーウィグの

痛みも黒歴史も入った、ユーモア溢れる自伝的青春譚。

 

演じるシアーシャがだんだん

グレタ・ガーウィグ本人に見えてくる!(ホント。笑)ほど

 

まさにグレタ自身の青春の光も黒も切り取った自伝、という感じ。

 

中途半端な地方都市の(まあワシの出身地・神奈川県も似たようなもん。笑)

中流ちょい下な家庭環境にうんざりし

近所の豪邸を見ては

「こんな家に住んでたら人生が変わってたのに」とか妄想する。

 

憧れの、なりたい自分に手が届かないもどかしさ。

モヤモヤする17歳の日々に、共感度満点。

 

それに本作の出色な点は

「娘と母親の、こじれ関係」を絶妙に描いてるところですね。

 

「あなたに、最高の状態になってほしいの」という母親の思いは

「いまのあなたは、まだ本気出してない(出せよコラ)」という

愛でもあるけど、エゴの裏返しでもある。

 

そんな母親の思いを見透かし、衝突を繰り返す主人公に

共感以外の何があろうか!(泣き笑い)

 

笑いもさすがにセンスいいし

(フットボールコーチが演劇部の指導をするシーンには馬鹿ウケ!)

 

「君の名前で~」のティモシー・シャラメも出てる。

 

ただ

すごくすごくよく出来てるけど、近々の作品で

「スウィート17モンスター」

故郷に対する思いなどにシアーシャの「ブルックリン」にもリンクする面があり、

スウィート~の破壊力、ブルックリンの脚本のひだに比べると、

やや全体的にパンチにかけるかな・・・・・・という気がしてしまうのが申し訳ない。

 

いや、でも、初監督作ですからね!

十分、素晴らしいっす。

 

★6/1(金)から全国で公開。

「レディ・バード」公式サイト

コメント
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