ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

嗤う分身

2014-11-04 23:37:06 | わ行

劇中歌で昭和歌謡が流れ
試写室が、笑いで揺れました(笑)


「嗤う分身」70点★★★★


******************************

厳しい管理体制が敷かれ、
労働者がネジの一部のような暗~い社会。

ある会社に勤めるサイモン・ジェームズ(ジェシー・アイゼンバーグ)は
要領悪く、孤独な日々を送るダメ男。

密かに想いを寄せる同僚のハナ(ミア・ワシコウスカ)に
声をかけることもできない。

そんなある日。

会社に彼そっくりの男
ジェームズ・サイモン(ジェシー・アイゼンバーグ)が
入社してきて・・・?!


******************************


「自分そっくりな人間が現れる」
ドッペルゲンガーものって
けっこうがっかりすることが多いんですが

これは久々にイケました。


ジェシー・アイゼンバーグ演じる主人公の
哀れなほどのダメ加減に引き寄せられてしまい、

さらに
徹底した美術、世界観に加点、という感じ。


全体にモスグリーンをさらに数段落としたような暗い色味で
昔の絵本のなかのSF社会みたいなイメージ。

ミヒャエル・エンデの『モモ』とかかな。


旧式な機械が地鳴りのようにグワングワン鳴り響くなか、
ミア・ワシコウスカ嬢の
ひんやりした冷たい美しさも、世界にマッチしている。

そして、そこに
なぜか昭和な日本歌謡が流れる(笑)

全てがちぐはぐで、シュールで不安で、
ストレスで、ホラー。
そこがいい。

“世界観”のほうがストレンジなので
自分そっくりな人間の登場にも全然動じないんですよ(笑)。

話としては
「で?」がないとはいえないんだけど(苦笑)
でも、この世界造型は一見の価値ありデス。


★11/8(土)からシネマライズほか全国で公開。

「嗤う分身」公式サイト
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする