婆さんが行く

婆さんの食卓とワンコ

中指は腱鞘炎だった

2024-05-18 09:15:09 | Weblog
前回の続き

病院での診察です。
放送で〇〇さん〇番と呼ばれると皆さん律儀に扉をノックして入室なさっていました。
いよいよ順番が回ってきましたのでフム~そんなものか・・と真似をする。
お医者様は、黒い髪に白髪が少し混じってギョロっとした目が印象的だった。
全体の雰囲気が色で表現すると黒色。
「どうしましたか?」
問診票に目を落としてお医者様は「両手の中指?」
ちらっと見て「手術だね」
「早い方がいいのですか?」と尋ねると
「そうだね、来週早々だな」
そこからカレンダーを眺め始めて看護師さんも加わってなかなか決まらない。
そのうち「あれっ!?局所麻酔がダメなの?」
「はい、動悸がひどくなって意識がなくなります」
「フゥ~ン 手術は無理だね」
「えっ!?抗生剤もアレルギーがあるの?」
「はい」
「手術は無理だよ!肺炎になったらどうするの?抗生剤を使えないと死んじゃうよ」
「・・・」(全部の薬がダメなわけでもないのに何をおっしゃっていることやら・・)
「最近、抗生剤飲んだことがないの?」
「はい。花粉症の薬ぐらいです」
「どこにいってもこの先、手術は無理だよ」
無理無理ばかり繰り返すので 少しあきれた。
お医者様は「いったいどうしたいの?」とおっしゃった。
私が先に言いたかったかもしれない。
「くの字に曲がった指が少しはまっすぐになり 何より握力を取り戻したいです」
「こんなになるまでほっといてひどすぎるよ」
そんなふうに言うかねぇ~と心でつぶやく。
だから やっと重い腰を上げたんだって思ったがなんだか今が現実に思えなくなってきた。
仕方がないので「通っている歯医者さんは、代替の麻酔薬を使って治療や抜歯をなさいました。すぐに切れる麻酔薬でしたが。内科の先生に局所麻酔の件を相談したところ全身麻酔薬を使えばいいとおっしゃっていましたが・・」
「ここはね内科がないんだよ」
このお医者様はひじょうに言葉足らずなのかもしれないとじっと目を見てしまった。

もういいやって境地になった。

「先生 ところでこの指が曲がった診断はなんでしょうか?」
「腱鞘炎だね。リハビリをやってみますか?」
「治る希望があるのならなんでもやってみたいです」
「飲み薬か塗り薬を出しておきますね」
「飲み薬は結構です」

最後に「あの~母も母の妹も全部の指が曲がっていましたが遺伝ってあるのでしょうか?」
「そんなこともあるかもしれないね」

こうして診察は終わった。

リハビリの扉の前でまた待つ 
待たされて告げられた言葉は、日にちと時間の予約だけだった。

自分の体を人に託して診てもらうのはこんなものかもしれない。

塗り薬を待ちながら60代から90代の男女のことを書いた『死んでしまえば最愛の人』を読み始めた。
どうしてこんなにも笑えるのだろうと思う。
似たような人たちがあるいは自分が似ているから苦笑から爆笑になるのだろう。

                               オワリ


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