寸借詐欺/火事だ！

毎晩のように実家の父母に電話をして我ながらよく話すことが尽きないなって思う。
いつも父が元気よく電話に出て決まって「元気！元気！」と明るい声だ。
父との話の後「どれ　お母さんは？」
もう少し　慎み深い優しい言葉ってないのだろうか。

「どれ」って変な言葉だなって毎回　苦笑する。
でも「次！」も変だしね。
さて、その母が
実はね！から始まって自分の寝る時間とか父の寝る時間、あげくに『強盗』とか物騒な言葉を発していて　辛抱強く聞いたら驚きの話だった。

母が朝起床して父から聞いた話。
母が熟睡していた夜の9時半に玄関の呼び鈴が鳴って父が出た。
そこには、見知らぬ男が立っていた。
ガソリンがないから2000円を貸してくださいとたずねてきたのだそうだ。
その男は、強盗だと思う←母の考え
ガソリンスタンドが開いているとは、思えないが大丈夫ですか？と聞いたそうだ。
そして父は、1000円なら貸しますと玄関のカギをかけてお金をとりに部屋に戻り1000円をあげた。
住所を聞いても嘘ばかりだろうと車のナンバーを控えたそうだ。

えーー！？どうして父は、こんな大事なことを言わないのだろうって思ったが
「戸締りをちゃんとして寝てね」っていったん話は、お仕舞いにした。

翌日、父に電話をして母から聞いた話は『寸借詐欺』だと思うから警察に電話をして報告するように伝えました。
父は、事件性がないと警察は、動かないよって　まともなことを言っていたが
それでも電話は、必要だと思う。
なぜならそれでパトロールを強化してくれるかもって言ってみたが・・言いながら半信半疑ではあった。

その後、父は、電話をしたらしい。
「承りましたって言っていたぞ。同じようなことがあったみたいだ」

父は、日頃　私に人に助けを求める時は、「火事だ！！」って叫ぶんだぞって言っていたのでこの度ももしもの時は、そのつもりだったようだ。

「おとなしそうな男の人だったよ」

年寄りをねらって5件回ったら結構な金額になるじゃないって口には出さずに心で思った。

車の運転をしながら「火事だ！火事だ！」と発声訓練。

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