プロメテウスの政治経済コラム

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参院選きょう公示 気分が重い選挙 税・財政、米軍再編、憲法  共産党を除きみな似たり寄ったり

2010-06-24 22:29:29 | 政治経済
政権交代後初の本格的な国政選挙になる参院選が24日、公示され、17日間の選挙戦がスタートした。昨年の総選挙には、長年にわたる自公政治の行き詰まりを国民本位に転換する可能性を秘めた「政権交代」の実現という夢があった。しかし、今度の参院選にはそうした期待感の高まりはない。むしろ、気分が重い。菅・民主党が鳩山首相の失敗に懲りて、すっかり居直って保守二大政党に逆戻りし、国民の民意ではなく、支配階級の意向に従うことで自己の政権を維持しようとしているからである。24日の公示を前に22日、霞ヶ関の日本記者クラブで恒例の各党首討論会が開かれた。消費税(表裏一体の法人税引き下げ)と米軍普天間基地問題という支配階級が要求する現下の二大問題で民主党と自民党が完全に“大連立”してしまった。社民党は「消費税率の引き上げには反対だ」(福島瑞穂党首)、国民新党も「国民の心がわかっていない」(亀井静香代表)と“反対”のように言うが、二人とも誰が読んでも消費税増税と法人税引き下げを示唆する、政府の税制「改正」大綱(昨年12月22日)に、閣僚として署名しているのだ。福島さんなどは今日の第一声で、「言葉に責任持つ政治」を何度も強調するが、空ろに聞こえるばかりである。あれだけ自民党の誘いに乗らなかった改憲問題でも民主党は、参院選挙後に憲法調査会を復活させると言い出した。民主が勝っても自民が勝っても、共産党を除く新党が勝っても、「構造改革政治」と「改憲政治」が大手を振って復活しそうだ。本当に気分が思い。

昨年総選挙の民主党マニフェストには、体系的ではないとは言え、反構造改革福祉国家を期待させる政策が含まれていた。米軍再編でも少なくとも従来の米国言いなりを見直したいという気持ちは感じられた。だからこそ、国民は民主党に期待したのだった。しかし、党綱領もないという統一された理念のない政党の悲しさ。アメリカから、前政権の日米合意の変更をするようなら、海兵隊のグアム移転もご破算だと脅され、マスコミ、野党の自民党からは、まず「政治とカネ」問題で出端を挫かれ、福祉政策の財源問題で責められ、財界からは国家機構に張り巡らしたネットワークで締め付けられ、公約への国民の期待を前に進めることができず、期待を裏切り続けて、鳩山政権はあえなく自壊に追い込まれた。菅新政権は、支配階級の意向に逆らえば、政権が不安定になるだけと首相交代のドサクサに紛れ、日米再編、構造改革政治で支配階級に擦り寄り、肝心要の政策では、ほとんど自民党と変わらないところへ回帰していった。菅・民主党は、自民党がマニフェストで「消費税10%」を打ち出したのに便乗して、「10%を参考に、税制の抜本改革の超党派協議を」ととびついた。菅氏のズルイところは、消費税増税の批判を自分で責任をとらないで、みんなで渡ろうとしたことである。
日本経済の「成長力なし」にはこれも声を揃えて「法人税引き下げ」だ。企業が逃げる、と同じ心配に声を揃える。「欧米なみに」と台詞まで一緒である。こうして、昨年の「政権交代」による政治の転換を期待した国民は、完全に裏切られた。自公政治への先祖帰りということは、「政権交代」が徒労に終わったということだ。

政権を取って1年も経たないうちに、民主党は模範的に自民党化した。支配階級は笑いが止まらないであろう。「民主はダメ、自民もダメ」となるとどうするか。「消費税引き上げ」「法人税引き下げ」「普天間の辺野古移設」など参院選の重大争点でぶれることなく言行一致しているのは、日本共産党だけである。
消費税を上げて家計を圧迫せずに、所得税の累進税率を高めて、金持ち優遇をやめろ。法人税が高いといっても、さまざまな特別措置で実際はそんなに高くない。それが証拠に大企業は巨額の内部留保をためこんでいるではないか。「海兵隊=抑止力」論の虚妄にとらわれるのではなく、移設条件なしの普天間返還交渉を始めろ。
鳩山前政権が、国民の期待を裏切り、公約を守れなかったのはなぜか。普天間問題での迷走と裏切りの根本には、沖縄県民、日本国民よりアメリカの要求を優先するという、“アメリカいいなり”の政治があり、暮らしの問題でのあいつぐ公約違反の根本には、労働コストの削減、社会保障コストの削減を求める日本経団連の圧力に屈した“財界いいなり”の政治があるということだ。「政治を変えたい」という国民の願いを実現しようとすれば、こうした“アメリカ・財界いいなり”政治から抜け出すことがどうしても必要なのだ。

このままでは、今度の参院選では仮に民主党ないし今の与党が多数を占めなくても、共産党を除くみなは似たり寄ったりなので、「構造改革政治」と「対米従属・改憲政治」の担い手が国会の多数を占めそうだ。「消費税引き上げ」「法人税引き下げ」「普天間の辺野古移設」を支持する議員が圧倒的多数となりそうだということだ。行きがかりや面子で、連立するかしないかをはじめ、その他いろいろと多少の騒ぎはあるにしても、国民にとって悪政が押し付けらることは間違いない。今度の選挙は気分が重い。

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