プロメテウスの政治経済コラム

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張本さん、それはやっぱりいかんぜよ  TBSに「喝ッ」だ

2010-06-22 21:10:46 | 社会問題
ジャーナリストの江川紹子さんがツイッター上で、<サンデーモーニング>(TBS系・日曜朝8時)の番組出演を中止させられたと明かして波紋を広げている。ことの発端は、5月23日の放送で、100球降板の楽天・岩隈投手に対する張本勲さんの「喝!」に対し、同番組コメンテイターのジャーナリスト・江川さんが異を唱えたところ、放送後、立腹した張本氏側から江川氏を番組に出さないように要請があった、というものだ。
江川氏が自身のツイッターで、「出演予定だった6月20日のサンデーモーニングにでれなくなりました」と言っていた通り、同日の番組出演はなかった。いっぽうこの日はバーチャル出演の張本さんは結局、この件にはいっさい触れなかった。私は張本さんから、いつも喝を入れられそうな軟弱な文系の人間で、実は長い間、体育会系の精神論が強い張本さんを苦手な人物の一人だと思っていたが、「しんぶん赤旗」で広島の被爆者で在日韓国人としての自分の人生を率直に語る張本さんを知ってからは、親しい兄貴分だと思っていた。それだけに、今回の件が江川さんのツイッターのとおりとすれば、やっぱり残念である。そして、張本氏の言い分を聞いて、江川さんの番組出演を停止したとすれば、「TBS報道局にとって何が大事な価値観か、よく考えてほしい」(江川氏)ということだ。放送局として欠格である。

TBS宣伝部によると、意見の食い違いがあったのは5月23日の「御意見番スポーツ」コーナーで、張本さんがプロ野球の楽天、岩隈久志投手の途中降板について「喝ッ!」と一喝した後に「最後までマウンドを守るのがエース」などと言い、これに対して江川さんが「えーっ」「途中降板もありなのでは?」などと反論し、意見の食い違いがあったという。しかし、実際は単なる「意見の食い違い」ではなさそうだ。
江川さんのツイッターによれば、
<出演予定だった6月20日のサンデーモーニングにできなくなりました。5月23日の放送での私の言動について、張本勲氏が立腹し、江川を番組に出さないようTBS側に求めたためです。TBSは、張本氏の主張を受け入れ、私を出さない、と決めました。7月も同様の理由で出演できません。
張本氏は楽天の岩隈投手について「カツ」を叫び、「無責任」と断じました。それに対して、私が驚いて「え~っ」と声を発したことが許せないのだそうです。>

張本さんは、両親が日本の植民地下の朝鮮・慶尚南道からやって来たいわゆる在日韓国人である。四歳のとき、バックしてきた三輪トラックに突き飛ばされ、焚き火のなかに右手をついて転がり、小指と薬指が焼けて三分の一ほどになり、親指と人差し指も自由に動かないという大火傷を負った。左打ち左投げに矯正したが、張本さんは、常人では考えられないようなハンディキャップを背負って最多安打の日本記録(3085本)を達成したのだった。五歳の時には、アメリカの「ピカドン」にみまわれ、彼自身は山の陰で原爆の光線を直接浴びずにすんだが、原爆の熱戦をまともに浴びた六歳上の姉が苦しみもだえながら死んでいくのを経験する。
浪商時代には、朝鮮人差別意識のある野球部部長によって理不尽な出場停止処分も受けた。
原爆で死んだ姉のことを思い「ケロイド少女」、民差別の理不尽さに怒り「絶叫」と題して、浪商時代に2度も弁論大会に優勝した張本氏は苦労人である。

その張本さんが、自分の「喝」に賛成しないからといって、なぜ江川さんにそれほどまでに腹を立てたのか。江川さんのツイッターでは、張本氏は「20日に私(江川氏)を出演させれば、それ以外の日も出ない」といった趣旨の発言をしたという。 江川さんは、張本さんに謝罪したり、スポーツコーナーだけ退席したりできないかとTBS側と交渉した。ところが、張本さんは、番組そのものに出すなと要求し、もし出演させれば自分は出ないと主張したのだという。
ところが、東京スポーツの記事によると、張本さんは、出演中止情報を同紙の取材で初めて知り、江川さんの発言に怒っていることを否定した。「いろんな意見があるのは当たり前のこと」として、江川さんには何のわだかまりもないとしたという(J-castニュース2010/6/21 20:41 )。
これがもし本当なら、TBSは、今回とは別の理由で江川さんに番組を降りてもらいたかったのか

ツイッターブームで“休養騒動”が思わず内幕暴露されたかたちだが、番組中の発言によって降板させられたということであれば、ことは、表現の自由に関わる重大問題である。しかも、報道番組で「報道のTBS」と言われている局での出来事である。黙って見過ごすことはできない。
TBSは一連の出来事に対して説明責任を果たさなければならない




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