書道家Syuunの忘れ物

趣味のパソコンやカメラの実機レビュー、書道展の情報発信、CyberLink MVPなのでYouTube配信をしています。

性善説を採る日本外交の危うさの象徴 TPP問題

2011-11-20 22:23:37 | 民主党政権関係綴り
性善説を採る日本外交の危うさの象徴 TPP問題

TPP問題で面白いと思ったのは、いわゆる米国派と思われる人たちはほとんど例外がなくTPP賛成という人たちが多いことである。
例えば保守派の論客だと思った田久保忠衛氏(杏林大学名誉教授)は産経新聞正論(2011.11.15 )で「野田氏は米陣営滑り込みセーフ」と大喝采なのである
この中で、「陰謀論的TPP反対に閉口」として
「米国にはどこの国も考える戦略、戦術はあろうが、日本の国体まで揺るがすような陰謀がTPPに秘められているかどうか。」
という米国性善説を頭から信じている。
その実、具体的な反対論に対する言及なり反論というものは一切ない抽象論である。
こういう米国派には、大勲位こと中曽根康弘元総理も小泉元総理のDNAを次いだ小泉ジュニアもいる。
レーガン大統領と「ロン、ヤス」との関係を作ったと言う中曽根元首相。それが政治力ではなく単に日本の軍事技術を米国に無償供与する事とひき換えだったと思えばあまり笑ってはいられない。
この技術によって湾岸戦争では、ハリヤー戦闘機は空母からパチンコで打ち出すことが出来、戦車につけた日本の技術の暗視装置は敵戦車を圧倒した。
例のステルス戦闘機のカーボン素材は日本の技術供与によって共同開発され、結果が見えたところで全ての資料を持ち去って日本には教えなかった。
この中曽根氏はTPPに関してこんなことを述べている。
TPP問題は、これまで日本が何度も経験した『開国』の一場面といえる。対米関係のためではなく、日本が国際国家として今後も発展していくための必然と考えるべきだ。歴代の首相も私も、そういう場面に遭遇し突破してきた。」2011年11月11日 産経新聞 東京朝刊 1面)
実際には、日本を売っていた中曽根氏は良くもこんなことを言えるものである。

こんなふうに見てくれば、米国というのは自国の利益のためならばどんなものでも踏み台にすると言うことである。
米国が日本に駐留して軍事基地を持つのも世界一安全で安上がりである上に、地政学的に重要拠点であるからにすぎない。
こういう観点から見れば、米国経済が良くなければどこからか「金」をつぎ込んでもらうか取りに行くしかあるまい。
日本からは、プラザ合意で日本の金利を米国金利より常に低く見積もることによって、日本からの投資を促した。ところがそれもこの低金利、円高、経済不安、そして日本の長期デフレ状態、大赤字から限度が見えてきている。
ならば日本人が持っている預金や保険などの国民の懐を狙えというのは至極当たり前。
これも米国の国益に叶(かな)っていれば正当化される。

「性善説を採る日本外交」の元というのは、戦前の幣原喜重郎による幣原外交である。
例の日英同盟破棄した幣原対米追従外交である。
チャーチルも日本政府も誰も廃棄を望まなかった日英同盟は米国にとっては都合が悪かったというのは歴史が示す通り。
日英同盟が存続していれば、大東亜戦争などが起こらなかったというのは既に定説化している。この米国の意図が分からなかったと言うのが幣原喜重郎であり、銀杏の話の暗喩さえ理解できなかったというセンスのなさ。

その幣原外交を見本として来たのが戦後の外務省である。
「米国性善説」という虚構というのは、前出の田久保忠衛氏や産経新聞ワシントン駐在編集特別委員・論説委員の古森義久氏にしても変わらない。

TPPに参加したら、地方の公共事業でも英文の要綱を作る必要があるとか、省エネ減税などは一挙に廃止されるなどと言うことは新聞やNHKを代表とするマスコミは一切報道しない。
元々産経新聞の論説委員氏が「ネガティブリスト」ということすら知らなくて、◯◯は議論されていないからTPPでは自由化にならないと述べていた。
例えばこんなところ

政府は参加9カ国の交渉経緯の情報を開示しており、例えば遺伝子組み換え作物や農薬など個別の安全基準は現在は議論されていない。にもかかわらず、慎重派側は『米国の圧力で基準が押しつけられる』との懸念を強調して反対の口実とする例が目立つという。」 ([産経新聞] 【主張】TPP 先送りやめ首相が決めよ (2011.11.5))

「ネガティブリスト」である故に「議論されていない」というのは、完全自由化であるというのは動かしがたい事実。
「議論されていれば」規制対象になると言うものである。

最新の画像もっと見る