オランダの画家フェルメールが描いた地理学者のモデルは、微生物学者レーウェンフックであった。
そんな話を土壌微生物学者の服部 勉先生からお聞きしたことがあります。「デルフトの眺望」で知られるフェルメールは1632年10月24日オランダのデルフトで誕生いたしました。同日、レーウェンフックもデルフトで誕生しています。フェルメールは1675年12月15日に43歳の若さで死亡しますが、多額の借金を残しました。その管財人を務めたのがレーウェンフックでした。
レーウェンフック(~1723.8.26)は呉服商人でした。特に科学者としてのトレーニングを受けた訳でなく、趣味としてレンズ磨きに精を出し、シングルレンズの顕微鏡を作り続けました。その顕微鏡で様々な自然界の微生物をマニアックに観察し、記録したものをロンドンの王立協会に送りました。あの時代に微生物の大きさも測定しています。言わば、微生物生態学の父とも呼べる人です。詳しくは、「微生物ってなに?」のなかで、笠原康裕さんが書かれた「微生物学の歴史」を参照してください。
さて、地理学者とレーウェンフックの肖像画を比べてみると類似点が多いことに気付きます。特に、コンパスを持つ手の辺りは、「なるほどなあ」と思わせます。
フェルメールは生前、レーウェンフックと親交があったと言うことですので、いつも顕微鏡を丹念にのぞいているレーウェンフックをモデルにしても不思議ではありません。しかし、フェルメールはなぜ微生物学者を描かなかったのでしょうか?
現物が観たくなって、昨年ドイツ・フランクフルトにあるシュテーデル美術館に行って参りました。予想と反して小さなキャンバスに描かれた「地理学者」でした。美術館はフランクフルト中央駅から徒歩圏内ですので、ドイツに行く機会がありましたらどうぞ!
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