福井 学の低温研便り

北海道大学 低温科学研究所 微生物生態学分野
大学院:環境科学院 生物圏科学専攻 分子生物学コース

真冬の春採湖

2015-02-11 22:14:06 | 研究
北海道釧路市の市街地に所在する春採湖。海水の入り込む部分循環湖であるが、戦前湖沼学者吉村信吉博士の調査によれば、湖水中の硫化水素濃度が世界最大と記録されている。その後80年経た今日でも、高濃度硫化水素が検出されている(Kubo, Kojima and Fukui, 2014)。そのメカニズムを解明すべく、研究を続けている。研究を進めれば進めるほど、謎が深まっている。

冬期間、湖表面は完全凍結。真冬の氷厚は60cm以上。この日の最低気温はマイナス17℃。例年に比べ、雪が多いかもしれない。



ここ春採湖にはヒブナが生息していおり、国の天然記念物に指定されている。そのため、春採湖での調査には、文化庁の許可が必要であり、湖内への立ち入りが制限されている。



それにしても完全凍結した春採湖で、ヒブナはいかにして生活しているのであろうか。そんな疑問を抱きつつも、視線を湖岸に移すと海底炭坑へ向かうシャトルトレインがサイレンを鳴らして走り抜ける。





海底炭坑に隣接する春採湖。科学上のお宝もきっと!



Kyoko Kubo, Hisaya Kojima, and Manabu Fukui. Vertical distribution of major sulfate-reducing bacteria in a eutrophic shallow meromictic lake. Systematic and Applied Microbiology 37:510-519.2014.