気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

The Twelve Lives of Samuel Hawley by Hannah Tinti

2018-03-18 09:15:42 | 読書感想

2018年 MWA Best Novel 候補作品

10代の頃から全米を転々としながら窃盗、強盗、盗品の運び屋、金の取り立てなどを繰り返す無頼な生活を送るSamuel Hawleyは、自分がいるべき場所はここではないと感じ、何時か、この生活から抜け出すことができる何かが起きることを期待していた。

そして、ある日、Hawleyは、永年の犯罪仲間である男から彼が刑務所で知り合った犯罪ブローカーの男に金を届けてほしいと頼まれる。待ち合わせ場所の食堂で男を待っている時、Hawleyは、葬儀帰りだという若い女性Lilyに出会い、自由奔放に振る舞う彼女の魅力に引き付けられる。やがて、金を受け取りに男がやって来るが、男は彼女を見るなり、彼女の父親の知り合いだと名乗る。そして、彼女の父親に金を貸していると言い、立ち去ろうとする彼女の腕をつかみ、彼女から金を取り立てようとする。Hawleyは、彼女を守ろうとして男と格闘になり、男に金を渡すことなく彼女が乗ってきた車でその場を立ち去る。

やがて二人は結婚する。Hawleyは、Lilyのためまっとうな生活をしようとするが、過去のしがらみから逃れることができず、そのために愛する彼女を失う。彼は二人の間に生まれた一人娘Looのため完全に過去のしがらみを断ち切る決心をする。そして、Looが12歳の時、Lilyの母Mabel  Ridgeが住む町に娘と共に移り住み、漁師として生きる決心をする。Mabel は娘は犯罪者と結婚したために亡くなったと信じ、彼らと交流することを拒否する。また、町の人々も、幾つもの銃弾の傷跡を持つ彼の特異な容貌から彼と一定の距離を置いて接触しようとせず、その影響から娘のLooも学校でいじめなどに会う。しかし、Lilyの同級生だっという校長の支援を得て徐々に二人はこの町で生活の礎を築いていく。

だが、平穏な生活を送ることができると考えていたHawleyは、やがて、断ち切ったはずの過去のしがらみから逃れられないことを知ることになる。

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ミステリーというよりは家族愛を描いた小説。ミステリーとしては不満だが、家族がお互いを愛し合う姿は感動的だった。犯罪者だった男に愛する妻ができ、そして娘が生まれ、男は犯罪から足を洗い、まっとうな仕事についていこうとする。しかし、過去のしがらみから最愛の妻を失う。最愛の人を失った悲しみから、男は過去のしがらみを切り捨て、娘のために生きようと奮闘する。父娘の強い絆、お互いの愛情、うまく娘への愛を言い表せない父親の不器用さ。妻が死んだ後も、彼女の存在を忘れないよう、写真や遺品を飾り、妻の記憶がなくならないようにしている男の妻への思慕。そして娘の強さ、学校でいじめにあいながらも父親に話さず、自らの力で解決していく。乳児の時に亡くなった母親の手袋をこっそりはめて母親を想う姿。Lilyが娘のために命をかける姿。母親Mabel に自分の結婚を認めてもらおうと深夜遅くまで一生懸命にへやを掃除するLily。娘や孫を犯罪者である男から切り離そうとする祖母Mabel  Ridgeの娘、孫への愛情。

先へ先へと読ませてくれる面白さがあった。


E-book(Kindle版)★★★☆  496ページ 2017年3月出版 536円(2018年購入)



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