気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

A Gambler's Jury by Victor Methos

2019-05-02 10:57:49 | 読書感想

2019 MWA Best Novel 候補選出作品

Danielle Rollins(Dani)は、Uta州のSalt Lake市で刑事弁護士をしている。刑事弁護士といっても、無罪だと主張している殺人罪で逮捕された容疑者を弁護するのではなく、酔っ払い運転や麻薬所持など軽微な罪で逮捕され、罪を認めている容疑者を刑務所に収監されることがないように検事や裁判官と駆け引きするのが主な私の仕事である。Uta州はアメリカでも犯罪が少ない州として知られているが私が住むこの町では年々犯罪者が増えている。おかげで私が依頼人に困ることはない。

その日、白人の夫婦Riley  and Robert Thorne夫妻が生後まもなく養子にした知的障害を持つ17歳の黒人の息子Teddyとともに仕事の依頼に来る。Teddyがドラッグ密売の容疑で現行犯逮捕されたので弁護して欲しいと。捜査当局に事件について問い合わせると、Teddyは彼の唯一の友人であるKevinの家に行き、Kevinnや一緒にいた少年2人に頼み、囮捜査官とは知らずに麻薬売人の家へ彼を連れていってもらい、売人にコカインが入ったバッグを渡したところを張り込んでいた捜査官に逮捕されたという。私は未成年の少年がドラッグ取引で捕まるのはよくあることで、しかも彼は知的障害者であることから、事件は不起訴にできる可能性が高いと考えて依頼を受ける。

しかし、担当の検事は彼が売ろうとしたコカインの量が8キロ、2000万円の価値があることを重く見て、さらに一緒にいた3人の少年がコカインは彼の物だと証言していることを挙げ、この事件を未成年者を扱う少年裁判所ではなく陪審員の評決を求める一般の法廷で裁こうとする。殺人などの重罪などでは少年でも一般裁判が開かれることがあるがドラッグ取引で未成年者の裁判が開かれるのは明らかに司法制度に違反している可能性が高い。私はその違法性を指摘するが予審判事も私の異議を却下して、事件は一般法廷で裁かれることになる。どうやら検事と判事は結託し、これを機に少年も例外なく一般法廷で裁こうと考えているようだ。私はTeddyが唯一の親友であると思っているKevinが,コカインが何であるか知らないTeddyに罪を着せたと考えていた。私は、Teddyに彼が囮捜査官に渡したというバッグは本当はKevinの物ではないかと問いただすが,彼はKevinは友達だとして答えず、Kevinが彼を利用したという確証をえることができない。私は彼から事件のことを聞き取ることはあきらめて、事件の調書や関係者からの聞き取りで裁判に臨むことにする。やがて、私はこの裁判は私たち刑事弁護士が呼称するGambler's Juryであることに気づく。

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弁護する被告は精神障害を持った少年、事件の詳細を聞き出すことができない。事件に立ち会った人々は少年が自ら行った行為であると証言していて彼女も反証を上げることができない。裁判が進むにつれてどんどん被告の少年に不利な事実が積み上げられていき、どうやっても彼の無罪を勝ち取りそうに見えない。ヒロインと同じように最後まで重苦しい雰囲気を感じながら読んでいくと…いやぁ、最後はハッピーな気分で読み終えた。

ヒロインのキャラは魅力的。体の80パーセントはアルコールで作られているように、何かというと親友が経営するバーで飲んだくれている。しかし、法廷には時間通り出廷する、酒の匂いをふりまいて検事や判事に嫌がられながらも。裁判では依頼人である被告人に無罪になるかどうか聞かれると、心では絶対無理だとわかっていても大丈夫と安心させる商売上手、内心では裁判の前にまた犯罪を犯すと確信しながら。自分の浮気が原因で離婚した夫に未練たっぷり、たびたび彼に会いに行き、再婚する女の悪口をさんざん言って再婚しないよう説得しようとするが、それでも再婚するとわかると二人が一緒にいるのを見るのに耐えないとLAへの引っ越しを考えたりしている。また子供の時の悲惨な体験から絶対ディズニーランドに行かない。

Kindle読み放題で読めますのでお勧めです、ぜひ一読を!

E-book(Kindle版)★★★★★ 328ページ 2018年2月出版 Kindle読み放題



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