2020 PWA Best Novel
14年前、Santa Barbara警察のパトロール警官Rick Cahillの妻が海岸で殺されているのが発見される。犯行時刻のアリバイがないことで、彼は妻殺しの疑いで逮捕されるが、検事によって証拠不十分で釈放される。しかし、警察官の同僚は皆、彼の有罪を信じていて警察に対する市民の信頼を傷つけたとして彼を敵視し、彼は警察を首になる。
そして今、San Diegoで私立探偵を営んでいるRickのもとにKrista Landinghamの葬儀の知らせが届く。14年前の警官時代、彼女は彼のパトロールのパートナーで指導教官だった、また彼の妻が殺された犯行時刻、ベッドを共にしていた女性でもあった。彼女には夫がおり、自分も不倫、彼女に迷惑をかけないためにも彼は自分のアリバイを主張することはできなかった。以来、妻に対する自責の念から彼女との連絡は絶っていた。ネットのニュースによるとKrista は深夜通りにいたところ轢き逃げに遭い死亡、警察は逃げた車から犯人を特定しようとしていた。
葬儀に参列した後、彼はKristaの妹Leahに会う。Leahは、深夜2時にKristaが通りに出ていることはあり得ないと主張し、これは単なる轢き逃げ事件ではなく殺人事件だと断言して彼に捜査を依頼する。
捜査を始めたRickは、彼女のPCや自宅に保管していた捜査資料が紛失しているなど轢き逃げ事件では証明できない事実を発見する。さらにKristaが死亡する1週間前から迷宮入りとなっていた彼の妻殺しの事件の捜査を再開していたことを知る。何故、今になって?何か手がかりを見つけたのか?彼女の轢き逃げ犯人と妻殺しの再捜査とは関連があるのか?彼は事件の真相を求めて捜査を進めていく。
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私立探偵Rick Cahillのシリーズの6作目、他の作品を読んでないので雑な判断になるかもしれないが、このキャラクターはあまり好きではない。一人称の文体は探偵小説らしくて良いし、Rickの捜査のポイントを見極める能力は感心させられる。自分を妻殺しの男として敵視して向かってくる男には、容赦なくやり返す、過去のしがらみに絡め取られて生きる彼の唯一の生きがいは、嘘や偏見によって隠されている真実への探求というのもハードボイルドぽっくてカッコ良い。
ただ、いたる所で亡き妻との思い出が語られて、後悔と自責の念にかられている様子なので倫理に反した行為はしないだろうと思っていたら...
妻を殺した奴は俺の手でというハードボイルド小説によく見られるキャラクターと思って読み進めていたら...
ありゃ!と思う行動!ハードボイルドに生きようぜ、Rick!と呼びかけたくなった。
E-book(Kindle版)★★★ 368ページ 2019年出版