▼1964年が東京五輪で、翌65年にアラン・ドロン主演の映画【太陽がいっぱい】が公開され、66年にはビートルズが初来日した。これが私の【青春がいっぱい】の高校時代だった。
▼この3年間、私は函館公園近くのアパートで過ごした。歌人石川啄木が住まいした青柳町も、歩いて5分ほどにあった。この公園は桜の名所でもある。
▼明治時代、長野県から移住し逸見小右衛門が吉野桜を植樹してから、今年で150年目だという。函館で商いをし財を成したので、その恩返しをしたという。
▼函館に残る歴史的建造物は、街に恩返しをするという、先人たちの「感謝」の気持ちが、函館の美しい街並みを形成している。
▼私も函館市民(市町村合併)となってから17年程経ったが、函館の先人たちが築いた街並みの保存が、市民の使命ではないかと、この頃気づき始めている。
▼その公園に妻と桜を見るに出かけた。公園内の坂道を歩くには、腰に負担がかかる年齢となった。だが、私が高校時代に慣れ親しんだ桜は、年を経ても凛とした姿勢で、孫のような桜の花を美しく咲かせていた。
▼住まいしていたアパートも、新しくなったが同じ場所にある。2階のあの窓の付近に私の勉強机が置いてあったのだ。
▼ここを訪れると、もう少し勉強をしておけばよかったのにと、後悔の念に晒される。公園内の図書館の隣のアパート。学ぶ環境が整い過ぎていたのにと来るたびに思う。
▼でも、桜と言えば「シンゾウ」を思い出す。最近自民党改憲本部の顧問に就任したという。スガ総理を国民への防波堤として、裏で【憲法改正】の準備を始めているようだ。
▼桜の木の間から、昔と同様に津軽海峡が眼前に見える。海と言えば、監督ルネ・クレマン、主演アラン・ドロン、音楽二ノ・ロータ。あの名曲♪「太陽がいっぱい」がどこからか流れてくるのが、私の条件反射だ。
▼公園の満開の桜に囲まれ、津軽海峡から聞こえて来たメロディーは「危険がいっぱい」という、題名の曲になっていた。
▼「桜に酔う」という言葉があるが、私たちは満開の桜に「平和の尊さ」を感じるが、シンゾウは「戦争への鼓舞」を感じるらしい。
▼「危険がいっぱい」の世の中になってきたようだ。