▼2020年の東京五輪へのテロ対策強化の対応といわれる「共謀罪」だが、太平戦争が始まる1941年に成立した「治安維持法」を思い出す。アベ総理の悲願である憲法改正で、自衛隊を軍隊にする狙いがあるとすれば、それに反対する勢力を「共謀罪」で、一網打尽にする目論見だろう。基本的人権の侵害ではないかと騒いでも、「テロへの戦い」といえば、安保関連法がいとも簡単に成立したぐらいだから、スムーズに通過するに違いない。歴史が逆戻りするような感じを受けるが、それによって私たちの年齢が若くなればいいのだが、国民の都合のいい法案など期待できないのが、アベ政権のますますの今後だ。
▼「森友学園事変」と呼ぶ。ちょっぴりオーバーに例えれば、政治家や役人ばかりではなく、総理をも巻き込んでの国家主義体制確立への動きだからだ。籠池氏は、アベ政権が目指す国へ賛同し、教育勅語の復活などで、道徳教育を強化する学校の設立を図る目的のようだ。補助金を得るための書類改ざんなどは罪になるだろうが、社会通念上のお願いの範囲であれば「請託」や「収賄」の立証は極めて難しいらしい。それは、籠池氏の国会への参考人招致が、容易でないことにも推測ができる。それに、自分は国家国民のためになる学校教育を実践するのだというような、確信犯的な自信がみなぎっているからだ。
▼30もの団体の顧問などに、名を連ねているアベ夫人。夫を支えるための行動と思われるが、総理夫人の名前が利用されることの警戒心が足りないようだ。子供に恵まれなかったため、自分ができる限りの社会参加で、善意で頑張っている団体の協力をしようという、健気な気持ちの表れに違いない。「教育勅語」を諳んじる園児に感動するのは、鴻池おじいちゃんもアベ夫人も私たちでも同じなのだ。籠池氏が仕組んだ園児たちが演ずる学芸会に、胸が熱くなったのだ。名誉校長ぐらいなら、この園児たちのためになってやろうと思ったに違いない。だが、総理夫人そのネーミングが「黄門様の印籠」と同じ効力を発揮するのだ。
▼この事変、誰もが罪に問われないということでは済まされない。国民の税金が詐欺されているのだ。総理や総理夫人までの名が利用され、国家に大きな損害を与えたとすれば「共謀罪」が適用にならないだろうか。誰もが罪にならないように、それぞれの地位を利用し、税金を強奪しようとしたのだ。打ち合わせに参加しただけでも共謀罪は成立されるらしい。「共謀罪」が総理や総理夫人まで適用されるとしたら、こんな息苦しい法律など作らないほうがいいと思うのだが。