カメラといっしょ★

地元福岡~イタリア留学からワーキングビザ取得しての海外生活を写真で綴るつれづれ日記

エルバ島、再び

2010-10-03 23:15:57 | └☆イタリアぶらり旅
エルバ島にまた行く事になった。

エルバ島といえば、前回の留学を終え帰国直前に行った所。
研修先のレストランを探しに行くという友達に便乗して
もともと行く予定になっていたのだが、
そこへ奇跡のようにエルバ島取材の仕事が舞い込んだ。
本当に帰国数日前という日程だったこと、
留学を終えこれからの事をちょうど悩んでいた時でもあった事を考えると
本当に天国から天使の羽が目の前に舞い降りたみたいな奇跡だ。
私があまりにもぐずぐずしているから
だからお前のやる事はこれだってばって、
業を煮やした天使が羽を落としたみたいに感じた。
もちろん単なる偶然だったとも思うけど。

それがなくても、きっとイタリアには戻ったと思う。
でも、それが前に進む勇気になった事は事実だ。
だからイタリアにまた戻ったら
ここエルバ島から始めたかった。

そして、そもそも友達がエルバ島に誘ってくれていなければ
この奇跡のお話は始まらなかったのだから、
その友達たちにも会って感謝を伝えたかった。
取材中もずっと付合ってくれて本当に助かったし、とっても楽しかった。
本当にほんとうに心から感謝している。

そんなこんなで、再びエルバ島へ。

フィレンツェからエルバ島へは
まず、バスでPIOMBINOという港町へ行く。
このバスは夏期限定で、今年は今日が最終バスだった。
とにかく夏の終わりにぎりぎり間に合いピオンビーノへ。

ピオンビーノからフェリーでエルバ島へ渡る。
 
バスを降りて、港でフェリーの乗車券とピザを買って
次のフェリーへ乗り込む。

エルバ島ポルトフェッライオまで船で約1時間
もうすっかり冷たくなった海風を切って船は行く。

ほどなくエルバ島で一番大きい港Portferraioへ到着。

一番大きいってったって、港の前に観光客向けのBARやレストランが数件あるのみ。
あとは、ナポレオンがここに流刑になったときに暮らした家、
とても皇帝が暮らしていたとは思えない質素な家が丘の上に建っているだけだ。
たぶん、この島にあるのはとても美しい海だけだ。

今ここに暮らしている友達にすすめられたポルトアズッロという町へ行ってみた。

ヨットが数隻寄せられているだけのとても小さな港。
でもPortAzurro=青い港、その名の通りとても青い海につながっている。
 
小さな青い入り江に立つその町は、
まるでパステルで描いた絵みたいにかわいらしい。
 
  

外海から少し入った入り江は潮風もやさしく
青い海がはじいた日の光にやんわりと包まれている。
 
 
ここでジェラート休憩。
通りのパラソルの下に腰掛けて、乾いた喉をうるおす。
 
  

静かな青い入り江に守られて、穏やかにある人々の生活

こんな風に暮らせたらどんなにいいだろう。
日々の仕事と愛する家族と青い海
それ以外に本当にいるものなんてあるんだろうか?

私は多分この島に私は何かを探しに来た。
何をだろう。。?

私はこれからイタリアで生きる術を探している。
イタリアに戻る決意をくれたこの島で
もう一度神の啓示があることをどこかで期待していたのかも。
でもそれって、偶然切り株にぶつかった野うさぎを待って
ずっとそこに座りこんだ狩人みたいにマヌケな話だ。

そこにあるのはただ静かに青い海。
それはどこまでもどこまでも青くて
心の中がサラサラと清水に洗われるような心地。
ずっと眺めていたら心が空っぽになった。
何も思い浮かばない。
ただ、海と私。

吸い込まれるように美しいその青い海を前に
ただ無心でシャッターを切る。
それが私。それだけ。
答えは見つからない。

でももしかしたら、それでいいのかもしれない。

鮮やかな茜雲に先導され、夜がやって来た。
もうひとつの探し物、友達にはすぐ会えた。
友達が働くレストランの人も覚えてくれていて
予約で満席なのに、席をつくってくれた。
 
写真左は前菜のイカのソテー。
かぼちゃのソースをあわせてある所が和食にない新鮮さ。
やっぱり島だけあって海鮮はおいしい!
右はエビのリングイネ。
しっかり出たエビの旨味がとってもよい。
おいしい料理にワインもすすむ。

普通イタリア人はここからメインディッシュを食べるのだけど
そんな胃を持ち合わせない私たちはここで打ち止め。
お腹いっぱいだけど「ドルチェは?」と聞かれて
条件反射で「食べる!」って言ってた。

出て来た素敵なドルチェ盛り合せ。
ジェラートはなんと柿。
イタリアでも柿はKAKIと言って、食べられている。
小さなココット皿に入ったのはクレームブリュレ。
大好き♪
でもなんか普通のよりとっても甘みがなんていうか、とろけるような甘み。
これ何?ってシェフ聞いたら、なんと柿のクレームブリュレだって。
納得!あの熟した柿のとろけるような甘さだ。
濃厚だけど重いのではない、この熟した果実独特の甘み。
ちょっと、天才じゃない!?って言ったら、にやけるシェフ。

おいしい食事とワインにデザート、贅沢すぎる夜。
こんなに贅沢していいのかな。。

はい、良くなかったみたい。
自分の状況も考えずのんきに贅沢したツケは次の日の朝に来た。
もともとマー君の呪いで痛めた胃の上に
イタリアに来てピザとワイン三昧、
気候が変わったせいでひいた風邪に、
昨日ほとんどひとりで空けたワインがトドメを差した。
二日酔いで頭は重く、風邪で発熱、荒れた胃は口中にできた口内炎となり
トリプルパンチでダウン寸前。
 
そんな私はほっといて今日もこんなに美しい。

潮風にあたりながらベンチで横になって体力チャージ。
見上げる空が青く澄んでやたら心地いい。
うたた寝をしたら少し良くなった。

おかげでぐだぐだな旅になったけど、
どんなときも優しく側にいてくれたお友達に感謝。
迷惑をかけて申し訳なく、反省。
感謝を伝える旅のはずが、また感謝する事が増えた。
私はいっつもこうやってみんなに支えられて生きている。
いつか人を支えられる人になりたい。

ピオンビーノ~フィレンツェのバスは行きで今年最終だったから
帰りは電車で遠回りして長い道のりを
うたた寝心地で何やかにやと思いつつ
ゆらゆらと揺られながら帰ったのでした。