テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ アルプスのマエストロ ~

2019-08-26 23:08:08 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 あつさにィ、まけずゥ!」
「がるる!ぐるるるがるる!」(←訳:虎です!激坂にも負けず!)

 こんにちは、ネーさです。
 はい、週末から始まっていますよ、
 《ブエルタ・ア・エスパーニャ2019》!
 《ジロ・ディ・イタリア》
 《ツール・ド・フランス》に続き、
 夏のスペイン半島を疾走する3週間の闘いは
 地中海に面したトレビエハをスタートし、
 ゴール地のマドリードへと北上してゆきます。
 みんなガンバレ~!と声援を送りながら、
 さあ、レースの合間の読書タイムは
 こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  


 
    ―― アルプスの画家 セガンティーニ ――



 著者は久保州子(KUNIKO Besson-Kubo)さん、
 2019年5月に発行されました。
 『Giovanni Segantini』と外国語題名が付されています。

 御本の表紙になっているのは、
 ジョヴァンニ・セガンティーニさんの代表作のひとつ
 『アルプスの春』(1897年)。

 たぶん、多くの日本人にとって
 こういう光景から連想してしまうのは―――

「はいじィ~でスゥ!」
「ぐるるるるがるぐるる!」(←訳:アルプスの少女ハイジ!)
「あるむゥおんじィ~!」

 いやだわぁ、
 アルプスといえばハイジしか思い浮かばないなんて、と
 お怒りの方々も、ちょっと待ってくださいね。

 『アルプスの春』を描いた
 ジョヴァンニ・セガンティーニさんは、
 1858年に生まれ、1899年没。

 そして、『アルプスの少女ハイジ』こと『ハイジ』の原作者
 ヨハンナ・シュピリさんは
 1827年に生まれて、1901年没。

 そう、数年の差はあれど、
 ふたりは“同時代のスイス”に生きていたのです。

 シュピリさんは作家として。
 片や、セガンティーニさんは画家として。

「でもォ、しゅッぱつゥてんはァ~」
「がるぐるがるるる!」(←訳:もう全然違うんだ!)

 良家の子女であるシュピリさんは、
 学校に通い、寄宿学校に入学もし、と
 一流の教育を受けるチャンスに恵まれました。

 しかし、セガンティーニさんの少年時代は
 悲惨なものでした。

 幼くして母を失ったジョヴァンニ少年は、
 父に連れられて
 ミラノの異母兄姉宅に身を寄せます。

 が、ほどなく父は病没、
 異母姉と仲違いして家を出、
 浮浪児となって孤児院に収容された彼は、
 読み書きも出来ぬ“ならず者”として扱われました。

「でもッでもッ!」
「ぐるっるがるるるるる……!」(←訳:運命って分からないよ……!)

 セガンティーニさんの画才が
 はっきり花開くのは、
 働きながら美術学校で学び、
 1878年に、
 ブレラ美術アカデミーの展覧会で展示された作品
 《ニオベの胸像》が評価されたあたりから、でしょうか。

「さあッ、のぼろうゥ!」
「がるぐるるがるる!」(←訳:陽のあたる坂道を!)

 登ってゆけば、
 坂道の、さらにその先には
 何があるのか、
 どんな景色が見えるのか――

 ようやく辿り着いたスタート地点から、
 早過ぎる旅立ちまでの、
 “アルプスの画家”さんの一生を、
 著者・久保さんは丹念に、
 敬愛の念をもって描いてゆきます。

 御本の巻頭にはカラー図版が、
 本文中にもモノクロ図版が多数収録されていて、
 セガンティーニさんの画業を
 詳しく知りたい方々にもおすすめですよ。
 アート好きさんも
 美術史好きな活字マニアさんも、
 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 
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