「こんにちわッ、テディちゃでス!
ほッほッ、ほォたるゥくゥ~んッ!」
「がるる!ぐるがるるる~!」(←訳:虎です!来てほしいよ~!)
こんにちは、ネーさです。
蛍を観測!というニュースが報じられる季節になりました。
我が家のジャングルな庭にも来てくれないかなぁ~
と贅沢な望みを抱きつつ、
さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 文豪死す ――
著者は収録順に、芥川龍之介さん、太宰治さん、梶井基次郎さん、
中島敦さん、夢野久作さん、泉鏡花さん、
2024年4月に発行されました。
『6人の文豪たちの最後の傑作』と副題が付されています。
以前にご紹介した『文豪誕生』は、
7人の文豪さんたちの
デビュー作や出世作を集めたアンソロジー作品でした。
そして、
『誕生』と、いわば”対をなす”のがこちらの
『文豪死す』である訳ですが……。
「さみしいィ~でスゥ…!」
「ぐるるがる……!」(←訳:別れの一篇……!)
文豪さんたちの《白鳥の歌》となった6つの作品。
その執筆背景は、さまざまです。
おそらくは、”最後”を意識していたであろう芥川さん。
長期連載を途中で投げ出してしまった太宰さん。
長く病気に苦しんでいた中島さん。
唐突に、あまりにも唐突に旅立ってしまった夢野さん。
病の快癒を切望していたに違いない鏡花さん。
私たち活字マニアは、どうしても、
まだだ!まだ行かないで!
と呼びかけ、叫びたい気持ちになりますが……。
「ぞくへんッ、かいてェくださいィ!」
「がるるぐるる~!」(←訳:新作を下さい~!)
この御本に収録されているのは、
芥川龍之介さん著『歯車』
太宰治さん著『グッド・バイ』
梶井基次郎さん著『のんきな患者』
中島敦さん著『李陵(りりょう)』
夢野久作さん著『女坑主(おんなこうしゅ)』
泉鏡花さん著『縷紅新草(るこうしんそう)』
の6作品です。
わけても素晴らしいのが
中島さんの『李陵』でしょうか。
いえ、他の作品が悪いというんじゃないんです、
私ネーさ、うわあ鏡花さん大好き~!ですし、
芥川さんも太宰さんも梶井さんも
ミステリ界の冒険児・夢野さんも大好きです。
ただ、『李陵』の中島さんは、
独り、異なる天地を走ってゆくのです。
喘息に苦しみながら、
女学校の教師を経て、ようやく専業作家に。
そうして書き上げた初の小説が、
遺作となってしまった……
限りなく”誕生”に等しい別れの歌が放射するのは、
中島さんの未来であり、希望であり、野望でもあり、
文学への情熱と、ちょっぴりの疲労……
ああ、お薬があれば。
21世紀のいま、喘息患者さんに
ごく普通に処方されているお薬が、
中島さんの手元にあったなら。
「たいむましんッ、ほしいィでス!」
「ぐるるがるる!」(←訳:すぐに送るよ!)
別れの歌と、未来の歌。
痛ましくも神々しい、知の光輝。
各作品には、文豪さんの略伝と年表、
代表作の解説なども添えられています。
斎賀時人さんによる表紙装画を目印に、
ぜひ、探してみてくださいね~♪