テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 残響は、いまもなお ~

2024-06-13 22:03:28 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ほッほッ、ほォたるゥくゥ~んッ!」

「がるる!ぐるがるるる~!」(←訳:虎です!来てほしいよ~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 蛍を観測!というニュースが報じられる季節になりました。

 我が家のジャングルな庭にも来てくれないかなぁ~

 と贅沢な望みを抱きつつ、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

            ―― 文豪死す ――

 

 

 著者は収録順に、芥川龍之介さん、太宰治さん、梶井基次郎さん、

 中島敦さん、夢野久作さん、泉鏡花さん、

 2024年4月に発行されました。

 『6人の文豪たちの最後の傑作』と副題が付されています。

 

 以前にご紹介した『文豪誕生』は、

 7人の文豪さんたちの

 デビュー作や出世作を集めたアンソロジー作品でした。

 そして、

 『誕生』と、いわば”対をなす”のがこちらの

 『文豪死す』である訳ですが……。

 

「さみしいィ~でスゥ…!」

「ぐるるがる……!」(←訳:別れの一篇……!)

 

 文豪さんたちの《白鳥の歌》となった6つの作品。

 その執筆背景は、さまざまです。

 

 おそらくは、”最後”を意識していたであろう芥川さん。

 

 長期連載を途中で投げ出してしまった太宰さん。

 

 長く病気に苦しんでいた中島さん。

 

 唐突に、あまりにも唐突に旅立ってしまった夢野さん。

 

 病の快癒を切望していたに違いない鏡花さん。

 

 私たち活字マニアは、どうしても、

 まだだ!まだ行かないで!

 と呼びかけ、叫びたい気持ちになりますが……。

 

「ぞくへんッ、かいてェくださいィ!」

「がるるぐるる~!」(←訳:新作を下さい~!)

 

 この御本に収録されているのは、

 

 芥川龍之介さん著『歯車』

 太宰治さん著『グッド・バイ』

 梶井基次郎さん著『のんきな患者』

 中島敦さん著『李陵(りりょう)』

 夢野久作さん著『女坑主(おんなこうしゅ)』

 泉鏡花さん著『縷紅新草(るこうしんそう)』

 

 の6作品です。

 

 わけても素晴らしいのが

 中島さんの『李陵』でしょうか。

 いえ、他の作品が悪いというんじゃないんです、

 私ネーさ、うわあ鏡花さん大好き~!ですし、

 芥川さんも太宰さんも梶井さんも

 ミステリ界の冒険児・夢野さんも大好きです。

 ただ、『李陵』の中島さんは、

 独り、異なる天地を走ってゆくのです。

 

 喘息に苦しみながら、

 女学校の教師を経て、ようやく専業作家に。

 そうして書き上げた初の小説が、

 遺作となってしまった……

 限りなく”誕生”に等しい別れの歌が放射するのは、

 中島さんの未来であり、希望であり、野望でもあり、

 文学への情熱と、ちょっぴりの疲労……

 

 ああ、お薬があれば。

 21世紀のいま、喘息患者さんに

 ごく普通に処方されているお薬が、

 中島さんの手元にあったなら。

 

「たいむましんッ、ほしいィでス!」

「ぐるるがるる!」(←訳:すぐに送るよ!)

 

 別れの歌と、未来の歌。

 痛ましくも神々しい、知の光輝。

 

 各作品には、文豪さんの略伝と年表、

 代表作の解説なども添えられています。

 斎賀時人さんによる表紙装画を目印に、

 ぜひ、探してみてくださいね~♪

 

 

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