「こんにちわッ、テディちゃでス!
ことしはつゥ~のォ、ひやちゅうゥ!」
「がるる!ぐるるるるる!」(←訳:虎です!暑いもんね!)
こんにちは、ネーさです。
豪雨の昨日とは打って変わり、気温が上昇してゆく中で
今年初!の冷やし中華をいただきました。
30℃を越えない涼しい夏がいいなぁと願いつつ、
さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 異能力者の日本美術 ――
著者は春木晶子(はるき・しょうこ)さん、
2024年2月に発行されました。
『Japanese Art of Extraordnary Beings A Genealogy of Dark Fantasy』
と英語題名が、
『ダークファンタジーの系譜』と日本語副題が付されています。
「いのうりょくしゃァ??」
「ぐーるがぅるるるー??」(←訳:ダークファンタジー??)
日本美術の、異能力者、ダークファンタジー……
それはいったい?
と、御本の表紙を前に首を傾げてしまいますが、
本文に進んでみれば、
あら、この図版は。
曽我蕭白さんじゃありませんか♫
「おォ、たしかにィ!」
「がるるるるぐるる!」(←訳:蕭白さんの仙人図!)
アート好き&美術評論好きな活字マニアさんは、
きっとよく御存知の
辻惟雄さん著『奇想の系譜』。
1970年刊行の、辻さんの代表作ともいえるこの御本によって、
岩佐又兵衛さん、曽我蕭白さん、
長澤芦雪さん、伊藤若冲さんたちに光が当たり、
現在のような高い評価と人気を得るきっかけとなりました。
そして、
『奇想の系譜』に於いて
辻さんがスポットライトを向けたのは、
作品よりも画家さん――
昭和後半の時代には”忘れられた絵師”となっていた
又兵衛さん、蕭白さんや芦雪さん、若冲さんでしたが。
この『異能力者の日本美術』に於いて
著者・春木さんが構えるスポットライトの向かう先にあるのは、
絵師さんではなく、
作品です。
絵師さんが、有名であったか否か、
売れっ子さんだったか否かは問わず、
重視したのは、作品のテーマ。
「ふしぎなァ、ちからッ!」
「ぐるるがる!」(←訳:奇人に怪事!)
第一章『異能力者の系譜』
第二章『驚異の人体』
第三章『自然の猛威』
第四章『獣たちの協奏』
第五章『異能力 百花繚乱』
第六章『幻想の戦闘』
という各章で画面を飾るのは、
羅漢さんに、仙人さま、
日本神話の神さま、
巨人のような相撲取りさん、
ガマガエルを操る妖術師さん、
空を飛んじゃう吉備真備さん、
鬼退治の頼光さんに、
鎮西八郎為朝さんの海上での激闘。
北斎さんも豊国さんも、
国芳さんも暁斎さんも松園さんも、
絵師さんの有名度はひとまず措いて。
紙面から溢れ出る、妖しの気配が
この御本の主役。
「あくしょんッ! さすぺんすゥ!」
「がるるぐるる!」(←訳:色調も派手に!)
線が細くて、暗くて、冷ややか……ではなく、
力強く!朗々と!熱く!圧もMAX!な、
ダークファンタジーの英雄たち。
浮世絵好きな方々に、
歴史小説好きな活字マニアさんにも
おすすめのアートブックです。
特に、江戸美術好きな方々は
ぜひとも手に取ってみてくださいね~♪