テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 《怪》なる英雄たち ~

2024-06-19 22:03:50 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ことしはつゥ~のォ、ひやちゅうゥ!」

「がるる!ぐるるるるる!」(←訳:虎です!暑いもんね!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 豪雨の昨日とは打って変わり、気温が上昇してゆく中で

 今年初!の冷やし中華をいただきました。

 30℃を越えない涼しい夏がいいなぁと願いつつ、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 異能力者の日本美術 ――

 

 

 著者は春木晶子(はるき・しょうこ)さん、

 2024年2月に発行されました。

 『Japanese Art of Extraordnary Beings A Genealogy of Dark Fantasy』

 と英語題名が、

 『ダークファンタジーの系譜』と日本語副題が付されています。

 

「いのうりょくしゃァ??」

「ぐーるがぅるるるー??」(←訳:ダークファンタジー??)

 

 日本美術の、異能力者、ダークファンタジー……

 それはいったい?

 と、御本の表紙を前に首を傾げてしまいますが、

 本文に進んでみれば、

 あら、この図版は。

 

 曽我蕭白さんじゃありませんか♫

 

「おォ、たしかにィ!」

「がるるるるぐるる!」(←訳:蕭白さんの仙人図!)

 

 アート好き&美術評論好きな活字マニアさんは、

 きっとよく御存知の

 辻惟雄さん著『奇想の系譜』。

 

 1970年刊行の、辻さんの代表作ともいえるこの御本によって、

 岩佐又兵衛さん、曽我蕭白さん、

 長澤芦雪さん、伊藤若冲さんたちに光が当たり、

 現在のような高い評価と人気を得るきっかけとなりました。

 

 そして、

 『奇想の系譜』に於いて

 辻さんがスポットライトを向けたのは、

 作品よりも画家さん――

 昭和後半の時代には”忘れられた絵師”となっていた

 又兵衛さん、蕭白さんや芦雪さん、若冲さんでしたが。

 

 この『異能力者の日本美術』に於いて

 著者・春木さんが構えるスポットライトの向かう先にあるのは、

 絵師さんではなく、

 作品です。

 

 絵師さんが、有名であったか否か、

 売れっ子さんだったか否かは問わず、

 重視したのは、作品のテーマ。

 

「ふしぎなァ、ちからッ!」

「ぐるるがる!」(←訳:奇人に怪事!)

 

 第一章『異能力者の系譜』

 第二章『驚異の人体』

 第三章『自然の猛威』

 第四章『獣たちの協奏』

 第五章『異能力 百花繚乱』

 第六章『幻想の戦闘』

 

 という各章で画面を飾るのは、

 羅漢さんに、仙人さま、

 日本神話の神さま、

 巨人のような相撲取りさん、

 ガマガエルを操る妖術師さん、

 空を飛んじゃう吉備真備さん、

 鬼退治の頼光さんに、

 鎮西八郎為朝さんの海上での激闘。

 

 北斎さんも豊国さんも、

 国芳さんも暁斎さんも松園さんも、

 絵師さんの有名度はひとまず措いて。

 

 紙面から溢れ出る、妖しの気配が

 この御本の主役。

 

「あくしょんッ! さすぺんすゥ!」

「がるるぐるる!」(←訳:色調も派手に!)

 

 線が細くて、暗くて、冷ややか……ではなく、

 力強く!朗々と!熱く!圧もMAX!な、

 ダークファンタジーの英雄たち。

 

 浮世絵好きな方々に、

 歴史小説好きな活字マニアさんにも

 おすすめのアートブックです。

 特に、江戸美術好きな方々は

 ぜひとも手に取ってみてくださいね~♪

 

コメント
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