「こんにちわッ、テディちゃでス!
あううゥ~…せんせいィ~…!」
「がるる!ぐるがる~!」(←訳:虎です!三瓶先生~!)
こんにちは、ネーさです。
4月~6月期のドラマが次々と最終回を迎え、
今日は『アンメット』がラスト回……(涙)。
スタッフさん&俳優さんたちにお疲れさまの拍手を送りながら、
さあ、本日の読書タイムは、こちらの文庫作品を、どうぞ~♪
―― 九人と死で十人だ ――
著者はカーター・ディクスンさん、
原著は1940年に、画像の東京創元社版は2018年7月に発行されました。
英語原題は『NINE―AND DEATH MAKES TEN』、
80年以上も昔の作品ですけれど――
「じつにィ、げんだいてきィ~なのでスゥ!」
「ぐるるがるるるる!」(←訳:設定がスゴイんだ!)
《密室を描かせたら右に出る者なし》とされ、
ミステリ愛好家の敬愛を集めるディクスンさんが
この作品の舞台に選んだのは、
豪華客船エドワーディック号。
正確には、ええ、”豪華”とは言えません。
その船体は、どんよりした鈍色(にびいろ)に塗装され、
すべての舷窓も鉛色に塗りつぶされています。
船内の光が外に漏れぬよう、隙間なく。
そう、時代は、戦時下。
1939年9月1日、ドイツ軍がポーランドに侵攻し、
英国とフランスはドイツに宣戦布告して応戦、
第2次世界大戦が始まっていたのです。
1940年には、ドイツ軍は西ヨーロッパへの侵攻も開始して、
情勢は悪化の一途を辿っていました。
かくも危険な雲行きの中、
NYから英国の某港へ向かわんとするエドワーディック号が、
”普通の船旅”をするはずはなく。
「ふねのォかんぱんにィ~…?」
「がるるぐるる!」(←訳:異様な荷物が!)
エドワーディック号の甲板に積載されているのは、
ロッキード社製の爆撃機4機と、
当時の価格にして50万ポンド相当の高性能爆薬です。
これだけでもう、
尻尾を巻いて逃げ出したくなっちゃうというのに。
乗客が、9人?
「むぐぐぐゥ! しょうきィでスかッ!」
「ぐるるるる~る!」(←訳:信じられな~い!)
ドイツ軍のUボートに発見されたら
即座に魚雷を浴びせられるに違いない船、
それがエドワーディック号です。
いったい何を好き好んで、
彼/彼女たちは、この船に乗ったのか。
「あやしいィ!」
「がるるぐる!」(←訳:怪しいよね!)
私たち読み手が疑いを募らせるのも当然で、
そしてやっぱり、
事件が起きてしまうのも、当然で。
実質的に軍事徴用されている客船――
巨大な海上の密室で、何が起こったのか。
探偵として登場するのは、
”H・M”ことヘンリ・メルヴェール卿。
英国の陸軍省情報部長であるヘンリ卿の、
絵解きや如何に?
「たんていィさんッ、がんばッてェ~!」
「ぐるーるがるる!」(←訳:スピード解決で!)
エドワーディック号の物語は、
80年前の、つまり前世紀の作品でありながら、
戦火がいっこうに止まない21世紀の現在、
到底『昔のこと』としては片付けられず、
むしろ、つい昨日起こった出来事のように感じられます。
知力とユーモアを駆使して
難路を切り拓いてゆくヘンリ卿に
あらためてエールを送りながら、
ミステリ好きな活字マニアの皆さま、
ぜひ、一読を♪