テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 海路を見張る眼 ~

2024-06-24 22:03:19 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 あううゥ~…せんせいィ~…!」

「がるる!ぐるがる~!」(←訳:虎です!三瓶先生~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 4月~6月期のドラマが次々と最終回を迎え、

 今日は『アンメット』がラスト回……(涙)。

 スタッフさん&俳優さんたちにお疲れさまの拍手を送りながら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの文庫作品を、どうぞ~♪

  

 

 

           ―― 九人と死で十人だ ――

 

 

 著者はカーター・ディクスンさん、

 原著は1940年に、画像の東京創元社版は2018年7月に発行されました。

 英語原題は『NINE―AND DEATH MAKES TEN』、

 80年以上も昔の作品ですけれど――

 

「じつにィ、げんだいてきィ~なのでスゥ!」

「ぐるるがるるるる!」(←訳:設定がスゴイんだ!)

 

 《密室を描かせたら右に出る者なし》とされ、

 ミステリ愛好家の敬愛を集めるディクスンさんが

 この作品の舞台に選んだのは、

 豪華客船エドワーディック号。

 

 正確には、ええ、”豪華”とは言えません。

 その船体は、どんよりした鈍色(にびいろ)に塗装され、

 すべての舷窓も鉛色に塗りつぶされています。

 船内の光が外に漏れぬよう、隙間なく。

 

 そう、時代は、戦時下。

 1939年9月1日、ドイツ軍がポーランドに侵攻し、

 英国とフランスはドイツに宣戦布告して応戦、

 第2次世界大戦が始まっていたのです。

 1940年には、ドイツ軍は西ヨーロッパへの侵攻も開始して、

 情勢は悪化の一途を辿っていました。

 

 かくも危険な雲行きの中、

 NYから英国の某港へ向かわんとするエドワーディック号が、

 ”普通の船旅”をするはずはなく。

 

「ふねのォかんぱんにィ~…?」

「がるるぐるる!」(←訳:異様な荷物が!)

 

 エドワーディック号の甲板に積載されているのは、

 ロッキード社製の爆撃機4機と、

 当時の価格にして50万ポンド相当の高性能爆薬です。

 

 これだけでもう、

 尻尾を巻いて逃げ出したくなっちゃうというのに。

 

 乗客が、9人?

 

「むぐぐぐゥ! しょうきィでスかッ!」

「ぐるるるる~る!」(←訳:信じられな~い!)

 

 ドイツ軍のUボートに発見されたら

 即座に魚雷を浴びせられるに違いない船、

 それがエドワーディック号です。

 

 いったい何を好き好んで、

 彼/彼女たちは、この船に乗ったのか。

 

「あやしいィ!」

「がるるぐる!」(←訳:怪しいよね!)

 

 私たち読み手が疑いを募らせるのも当然で、

 そしてやっぱり、

 事件が起きてしまうのも、当然で。

 

 実質的に軍事徴用されている客船――

 巨大な海上の密室で、何が起こったのか。

 探偵として登場するのは、

 ”H・M”ことヘンリ・メルヴェール卿。

 

 英国の陸軍省情報部長であるヘンリ卿の、

 絵解きや如何に?

 

「たんていィさんッ、がんばッてェ~!」

「ぐるーるがるる!」(←訳:スピード解決で!)

 

 エドワーディック号の物語は、

 80年前の、つまり前世紀の作品でありながら、

 戦火がいっこうに止まない21世紀の現在、

 到底『昔のこと』としては片付けられず、

 むしろ、つい昨日起こった出来事のように感じられます。

 

 知力とユーモアを駆使して

 難路を切り拓いてゆくヘンリ卿に

 あらためてエールを送りながら、

 ミステリ好きな活字マニアの皆さま、

 ぜひ、一読を♪

 

 

コメント
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