「こんにちわッ、テディちゃでス!
めでたくもォ~ろくじゅうごッ!」
「がるる!ぐるるるるる~!」(←訳:虎です!記念すべき日~!)
こんにちは、ネーさです。
1959年(昭和34年)6月10日、
東京・台東区の上野公園内に『国立西洋美術館』が開館!
現在はル・コルビュジェさんの建築でも知られるミュゼの
お誕生日に拍手を送りながら、
さあ、本日の読書タイムは、こちらの文庫作品を、どうぞ~♪
―― イザベラ・バードと侍ボーイ ――
著者は植松三十里(うえまつ・みどり)さん、
2024年2月に発行されました。
近年、佐々大河さん作のコミック『ふしぎの国のバード』ヒットもあって、
じわじわと知名度を高めているのは、
英国の冒険家
イザベラ・バードさん(1831~1904)。
そして、
バードさんの”助手”を兼ねた通訳の、
伊東鶴吉さん(1858~1913)
(注:伊藤と記述される例もあります)。
「じつざいのォ、じんぶつゥ~でスよゥ!」
「ぐるるがる!」(←訳:時代は明治!)
文明開化の時代であり、混乱の時代でもある、
明治。
その11年目ともなれば、
極東の小さな島国へやって来る異人さんは
仕事のため、だけではなくなりました。
明治政府から雇われたのでも、
国際的な企業に勤務しているからでもなく、
強いて言うなら物見遊山――”観光”のため。
「はあァ~…ものずきィでスねッ!」
「がるるぐるるるるる?」(←訳:言葉は解るのかなあ?)
それがもう、さっぱり。
横浜の港に降り立った異人さんたちは、
日本語を喋れないし、読むことも出来ません。
そこで、出番となるのが、通訳さん。
当時は、通詞(つうじ)さん、などとも呼ばれました。
若い鶴吉さんも、横浜港で懸命に自分を売り込もうとする
通詞さんのひとり、ですが。
ああ、今日も上客を捕まえられなかった、
と意気消沈……。
「げんきィだしてッ!」
「がるるぐる!」(←訳:探そう上客!)
ええ、捨てる神あれば拾う神あり。
友人の幸太(こうた)さんは、
医師・宣教師・日本語の研究家であるへボン博士の家で
料理人をしています。
そのツテで得たのが、
英国人イザベラ・バードさんの
通訳兼ボーイ。
横浜でボーイといえば、下働きの若者、を意味します。
その点は、まあいいとして。
通訳としての条件が、
奥州や北海道の事情に明るい者、って……
西洋人の女性が、北日本へ?
横浜や東京と違って、
街道は泥だらけでホテルもない”奥地”へ、旅を?
不安と不審を感じても、
鶴吉さんにこのお仕事を断る余裕はありません。
たくさん稼いで、
母と妹たちの生活費を稼がなくちゃ!
「うううむゥ!」
「ぐっるるるるがる!」(←訳:待ったなしで出発!)
冒険家、実は旅行記で人気の作家先生だという
バードさんと訪ねる、北日本の道、村、山……
鶴吉さんとバードさん、
ふたりが旅の果てで目にする景色とは。
ロードムービー風でもある
ユニークな歴史小説は、
コミックでバードさん&鶴吉さんを知りました!という方々に、
ぜひのおすすめですよ。
著者・植松さんが描く明治世界を、
じ~っくり旅してみてくださいね♪