テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ ふたり、明治を旅すれば ~

2024-06-10 22:03:24 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 めでたくもォ~ろくじゅうごッ!」

「がるる!ぐるるるるる~!」(←訳:虎です!記念すべき日~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 1959年(昭和34年)6月10日、

 東京・台東区の上野公園内に『国立西洋美術館』が開館!

 現在はル・コルビュジェさんの建築でも知られるミュゼの

 お誕生日に拍手を送りながら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの文庫作品を、どうぞ~♪

  

 

 

        ―― イザベラ・バードと侍ボーイ ――

 

 

 著者は植松三十里(うえまつ・みどり)さん、

 2024年2月に発行されました。

 

 近年、佐々大河さん作のコミック『ふしぎの国のバード』ヒットもあって、

 じわじわと知名度を高めているのは、

 英国の冒険家

 イザベラ・バードさん(1831~1904)。

 そして、

 バードさんの”助手”を兼ねた通訳の、

 伊東鶴吉さん(1858~1913)

 (注:伊藤と記述される例もあります)。

 

「じつざいのォ、じんぶつゥ~でスよゥ!」

「ぐるるがる!」(←訳:時代は明治!)

 

 文明開化の時代であり、混乱の時代でもある、

 明治。

 その11年目ともなれば、

 極東の小さな島国へやって来る異人さんは

 仕事のため、だけではなくなりました。

 

 明治政府から雇われたのでも、

 国際的な企業に勤務しているからでもなく、

 強いて言うなら物見遊山――”観光”のため。

 

「はあァ~…ものずきィでスねッ!」

「がるるぐるるるるる?」(←訳:言葉は解るのかなあ?)

 

 それがもう、さっぱり。

 横浜の港に降り立った異人さんたちは、

 日本語を喋れないし、読むことも出来ません。

 そこで、出番となるのが、通訳さん。

 当時は、通詞(つうじ)さん、などとも呼ばれました。

 

 若い鶴吉さんも、横浜港で懸命に自分を売り込もうとする

 通詞さんのひとり、ですが。

 

 ああ、今日も上客を捕まえられなかった、

 と意気消沈……。

 

「げんきィだしてッ!」

「がるるぐる!」(←訳:探そう上客!)

 

 ええ、捨てる神あれば拾う神あり。

 友人の幸太(こうた)さんは、

 医師・宣教師・日本語の研究家であるへボン博士の家で

 料理人をしています。

 そのツテで得たのが、

 英国人イザベラ・バードさんの

 通訳兼ボーイ。

 

 横浜でボーイといえば、下働きの若者、を意味します。

 その点は、まあいいとして。

 

 通訳としての条件が、

 奥州や北海道の事情に明るい者、って……

 西洋人の女性が、北日本へ?

 横浜や東京と違って、

 街道は泥だらけでホテルもない”奥地”へ、旅を?

 

 不安と不審を感じても、

 鶴吉さんにこのお仕事を断る余裕はありません。

 

 たくさん稼いで、

 母と妹たちの生活費を稼がなくちゃ!

 

「うううむゥ!」

「ぐっるるるるがる!」(←訳:待ったなしで出発!)

 

 冒険家、実は旅行記で人気の作家先生だという

 バードさんと訪ねる、北日本の道、村、山……

 鶴吉さんとバードさん、

 ふたりが旅の果てで目にする景色とは。

 

 ロードムービー風でもある

 ユニークな歴史小説は、

 コミックでバードさん&鶴吉さんを知りました!という方々に、

 ぜひのおすすめですよ。

 著者・植松さんが描く明治世界を、

 じ~っくり旅してみてくださいね♪

 

コメント
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