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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

重圧、粉砕?

2017-07-25 22:17:47 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 ふゥ~…さみしィ~でスゥ~…」
「がるる!ぐーるるるがるぅ~!」(←訳:虎です!ツールロスだよぅ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 ええもう、毎年この時期恒例の、
 ツール・ド・フランスが終わっちゃって寂しい症候群に
 どっしり憑りつかれていますよ。
 こんな日の読書タイムは少ない元気も二割三割増しになりそうな
 ↓こちらの小説作品を、さあ、どうぞ~♪
 
  



       ―― 紫式部の娘。賢子がまいる! ――



 著者は篠綾子(しの・あやこ)さん、画は小倉マユコさん、
 2016年7月に発行されました。
 『賢子』は『かたこ』とお読みくださいね。
 あ、声に出して呼ぶ場合は『賢子ちゃん』がいいかもしれないわ。

「ふむむゥ? かたこちゃんッ??」
「ぐるるがる~?」(←訳:女の子ですか~?)

 はい、そうです。
 賢子ちゃんは、14歳の女の子です。

 ただし、賢子ちゃんの生まれ育った環境は、
 賢子ちゃんがタダの14歳の女の子であることを許しませんでした。

 平安の、
 左大臣・藤原道長公が権勢をふるう時代、
 お母さんがあの紫式部さん、という家庭に生まれたら、
 どうしたって平凡な人生とは縁がなさそう、でしょ?

「ふァ~…いだいなァ、おかあさんッ!」
「がるるぐるるる!」(←訳:ママは偉人さん!)

 宮仕えしていたため、
 母・紫式部さんとあまり触れ合うこともなく、
 祖父・藤原為時(ふじわらのためとき)さんに
 漢文・和歌・琴・琵琶といった
 貴族の基礎教養を教え込まれた賢子ちゃん。

 とうとう、その基礎教養で
 我が道を切り拓く時がやってきました。

「ふァいッ! テディちゃ、わかりィまスゥ!」
「ぐるがるぐるるる!」(←訳:ボクにも分かるよ!)
「それはァ、たぶんッ!!」

 御所へ上がる――

 母・紫式部さんが仕えた皇太后・彰子(あきこ)さまの御所で、
 賢子ちゃんもこの秋から宮仕えする、と
 決まっていたのです。

 これだけでも充分プレッシャーになりそうなものですが、
 或るパイセン、いえ、先輩と賢子ちゃんとの対決が、
 いま御所で秘かな話題に?

「たッ、たいけつゥ??」
「がるる!」(←訳:不穏だ!)

 既に御所に上がっている、
 和泉式部さんの娘・小式部(こしきぶ)さん。

 『源氏物語』作者・紫式部さんの娘・賢子ちゃんと、
 歌人として名高い和泉式部さんの娘・小式部さんとの
 有名人二世対決に、
 宮中の耳目が集まっているのです。

「うわわわァ~…」
「ぐるるぅ~…」(←訳:怖いよぅ~…)

 しかし、当の賢子ちゃんは。

 物怖じするどころか、
 気合満々、意気軒昂として宮仕えに出立する日を
 待っていたのでした。

 越後守に任ぜられて都を去ったお祖父ちゃんが、
 お前を越後に連れていってやりたいが、と
 溜め息していたのへ、
 賢子ちゃんが心のうちで思っていたことは。

   田舎なんて、まっぴら!

   私は、光君(ひかるのきみ)みたいな殿方と
   物語のような恋をするんだからー!
 
「そッ、そうきましたァでスかァ~」
「がるるぅ~…」(←訳:元気だぁ~…)

 人と比べられるのが何だ!
 小式部ごときに負けるものか!

 でも、上昇志向な賢子ちゃんは、
 はたして気付いているのでしょうか。
 いつの時代の、
 どんな宮廷も、
 平穏とは程遠いという事実を――

「しのびよるゥ、いんぼうゥ!」
「ぐるるるるるるがる?!?」(←訳:ラブロマンスはどこ?!?)

 パッと見はライトノベル風の、
 実は上質な時代考証に裏打ちされた意欲的なフィクションを、
 歴史好きな活字マニアさんは
 ぜひ、一読してみてくださいね。
 おすすめですよ~♪