久留百合子の生活者視点

仕事、旅行、日常のちょっとしたことから得た情報、生活者として感じたことなどを綴ってみます。

なかなか経験できない場面に立ち会いました

2011-03-28 09:18:43 | Weblog
 被災地のニュースも避難所の大変さやまだ物資が届かない所があること、精神的なケアーをどうするのか、原子力発電はどうなっているのか、とまだまだ心配な状況が続いています。また、各地で義援金、また各催しなどで募金が集められ、被災していない人たちも、何か自分たちに出来ることはと、日本中、心をひとつにしてきているのを感じます。

 このような時ではありますが、博多座歌舞伎千秋楽に土曜日の夕方からでかけました。前にも書きましたが、3月初めに出た「博多座演劇講座」で演出家の串田氏の話を聞いて、これは行かなくてはと早速チケットを購入して、土曜がその日でした。
 昼の部では、中村橋之助でしたが、夜の部では中村勘太郎から始まる前に挨拶があり、勘三郎の代役を務めること、そして、今回の地震の募金が博多座だけで500万円ほど集まったことなどが口上のような形できちっと話されました。

 初めの演目は狂言からの「棒しばり」、そしていよいよ今回のメインである「夏祭難波鑑」でした。これまで古典でやってきたのに、2幕ほど新しいのを加えたり、セミナーでも話されたように串田氏の斬新な演出が取り入れられ、ストーリーは単純なのですが、舞台の作りのおもしろさ、そして、ものずごい立ち回り、これらが見どころで、ほんとうに、勘太郎の初役とは思えない迫力のある熱の入った演技でした

 歌舞伎役者は、その家家に伝えられた演目があって、その家の子供は小さい時から見ているのでしょうが、それにしても勘三郎さんの急な降板に息子とはいえ、よくあれだけの演技が出来るものだと本当に関心しました。兎に角立ち回りがすごいのです。
 今回の席は、花道のすぐ左の3列目。私が顔を右上に上げた所で役者が見栄を切り、足におしろいを塗っているのまで見ることができるという席でした。
 演出もおもしろく、舞台から客席に降りてきたり、客席後ろから出てきたり、本当の泥や水を使ったり。そのために私達前の席の人にはビニール3点セットが事前に配られ、荷物にも、自分にはフード付のレインコート、そしてもう1枚掛けるシートで防御しての観劇。初めての経験でした。まあ、それだけ迫力があるというか、演出に引き込まれるというのはありますね

 中村勘太郎の演技はすばらしかったです。でも、どうしても私の中では、勘太郎を目で追いかけながらも、勘三郎だったらなーと思ってしまうのでした。昔、勘三郎は勘九郎と言って、TVなどにもよく出ていたので、馴染みであるというのもあるのですが、このところの勘三郎の演技は、演技に幅があって、本当にお客を安心して楽しませるというか、油がのっているなーと思っていたものですから・・・

 この日は千秋楽。終わってからも拍手がなりやみません。何度カーテンコールがあったでしょうか。何度も出てきてはお辞儀をし、勘太郎、七之助、扇雀の挨拶があったり、果ては勘太郎の胴上げがあったり、こんな歌舞伎舞台は初めてです
 無事1か月の公演を終えて、ほっとしただろうと思います。きっと平成中村座一丸となってこの1か月を乗り越えてきたのでしょう。人間の力ってすごいなーと思います。立ち回りなんて、相手あってのことですので、どちらかがちょっとでも間違えると大変なことになってしまいます。プロってすごいなーと思いました
 こんな機会、なかなかないでしょう。行って良かったとつくづく思っています