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今日も人生はライフ

60代主婦の日常はけっこうビジー。

耳の日まつり

2012年02月19日 | 要約筆記&手話

「耳の日まつり」の会場へ向かうバス。乗客のほとんどが参加者だったに
違いない。車内は静かだが、その代わりあちらこちらで手話が飛び交っていた。

隣のシートに座った女性が 「あなたは健聴者? 耳の日まつりに参加する
の?」と手話で尋ねてきた。わぁ~困ったと思いつつ、知らん顔も出来ずに
うなずく。彼女はろう者ではあったが明瞭な発音をしながら手話を使ってくれた
ので何とか対話が成立した。

  「基礎のコースが終わったところなのね。それにしては
   あなたの手話下手過ぎよ」

遠慮のない人である。聞けば県の手話講師をしているというではないか。
名前を訊かれたので名札を見せようとしたら 「手話でやらなきゃ」と言われて
しまった。

  「サークルには、ぜひお入りなさい。頭で考えていては上達しないの。
   ろう者の間に入って肌で勉強するのが何より」

ぐいぐいと押し入るかのように、次々と畳みかけるかのように繰り出される
手話の嵐に、ひたすら圧倒されっぱなしの15分間。当たり前なんだけれど
「手話は言語」 を実感しました。





自己防衛

2012年02月15日 | 要約筆記&手話

要約筆記の現場からの帰り、電車の中で相棒のBさんが言った。

  「私、自分が以前やっちゃった失敗を時々フラッシュバック
   みたいに思い出して落ち込むことがある。

   何であんな書き方したんだろう、どうしてああいう言葉を
   選んじゃったんだろうって、けっこういつまでも引きずって
   しまうのよね」

腕前が「上」の部に属するBさんをしてこんな風に言わせるとは、
要約筆記って斯くも難しいものなのか。私には、その辺りがまだ
分かっていないのだろう。何しろ私は彼女とは正反対なんだもの。

「今回はうまく要約できたかも」「この言い換えはなかなかのセンス
たまたま上手に出来た結果を、私は忘れることなく何度でも自画自賛。

そして、はるかに膨大な数の失敗は脳ミソのひだにしっかりと記録し、
頭の
奥へとしまいこむ。あんまりしょっちゅう思い出していたらたぶん
身が持たない
。それは必要な時に出し入れするってことで…



手話の基礎講座終了

2012年02月10日 | 要約筆記&手話

市が主催する手話奉仕員養成講座の 「基礎コース」 が終了した。
入門コースのメンバーがそのままスライドしての受講だったので、
クラスは
すっかり仲良し。なんだか名残り惜しかったりする。

Hさんが言う。

   「今日で終わりだなんて淋しい。私、うっかり来週も
    ここに来ちゃうかも」

閉講式、市ろう者協会の副会長が手話で挨拶をした。易しい単語を
選んでゆっくりと話してくれたから、受講生は通訳なしでもほとんど
読み
とることが出来た。毎週毎週めげずに通い続けたものねぇ。

そして問題は、次のステップに進むかどうかということ。今度は、奉仕員
ではなく通訳者を目指すことになるから格段に難しくなる。しかも、期間
は3年間。 あまりにも長い。

 

 


時間オーバー

2012年01月24日 | 要約筆記&手話

確かに興味深く、ためになる講演ではあった。だからこそ講師が 「ちょっと
時間延長をお願いしてもいいですかね」 と聴衆に声をかけた時、好意的な
拍手が起こったのだと思う。たまたま主催が市であったから、会場の市民
会館を延長使用することにも問題はなかった。

とはいってもなぁ、1時間半の予定で始まった講演会が3時間半にまで膨張
するとは、その時その場にいた誰ひとりとして予測することは出来なかった
に違いない。さすがに、終了すると話し手も聞き手もへとへとに。

そして、災難だったのはその日の情報保障の人たちだったのではないだ
ろうか。OHPにはり付いてひたすら書き続けた要約筆記者3人、腕も折れよ
とばかりに通訳し続けた手話の2人。1時間半で終了の予定だったから
途中の休憩もないまま延長戦に突入だったし。

数ある現場の中には、こういうケースもあるのだということを目の当たりに
学んだこの日の講演会だった。私じゃなくてよかったよ~などと、ちょっと
思ったりして。


漢字が出て来ない

2011年12月23日 | 要約筆記&手話

決して知らない漢字ではない。いつもなら迷うことなく書ける漢字。
それが咄嗟に出て来ないことがあるのだと実感した現場だった。

「悪ジュンカンに陥ってしまう」 と書きたかった。でも 「ジュン」と
いう字の行にんべんを書いたところで手が止まる。ツクリがどうしても
出て来ないのだ。サブのAさんに助けを求めると、彼女はメモ用紙に
大きく「盾」と書いて見せてくれた。

次は 「ケン虚な気持ちを忘れないこと」 の 「謙」 の字をド忘れ。
この一文を書いてサブと交代するところだったから、何とか自力で
始末をつけるしかない。窮地の私に向かってサブのAさんは席を
立ちながらささやく。「ご・ん・べ・ん」

分かってみれば何ということもない漢字なのになあ、と天を仰ぎたい
気持ちだった。もちろん、そんなことをしている暇はないんだけど。
この日は、何から何までベテランのAさんに助けてもらった2時間の
OHPでした。


痛恨の一滴

2011年12月16日 | 要約筆記&手話

OHPを書く時の服装には、原則として黒っぽい目立たないものにするという
暗黙の了解事項がある。情報保障用のスクリーンの前で、3人の人間が
10分毎に場所を移動しながら書く作業をするわけだから、目ざわりになら
ないように、というのがその理由らしい。

   **********

さて、その日の午前中は手話の講座だった。終了後はそのままの流れで
手話クラスの忘年会へ。終わったのは午後3時。ついでに役所関係の用事
を済ませて帰宅したら、次の予定時間が迫っていた。

夕方から始まる要約筆記の仕事だ。この日の私、上は黒いセーターだった
のだがパンツはクリーム色。一瞬迷った。黒いズボンにはき替えてから行っ
た方がいいかな。うーん、めんどくさい。上半身が黒いからオッケーだ。

時間がなかったわけではないのにね。その横着が痛恨の失策につながった。
下ろして間もない明るい色のパンツ、その太もも部分に油性マーカーのシミを
ポッチリとつけてしまったのだ。書いている途中で気がついて、歯ぎしりしたけど
もう遅い。

「自業自得」 「自分が播いた種」 「後悔先に立たず」…これ全部今の私に
当てはまる。今後要約筆記に行く時は、何があろうと絶対に
黒ずくめにするぞ、と心に誓ったのでした。


全員揃ってからね

2011年12月04日 | 要約筆記&手話

要約筆記に派遣される人数は原則として3名。現場で待ち合わせて全員
揃ってから部屋に入り主催者に挨拶をするというのがルールなんだけど…

その日会場に着いた私は、ロビーの椅子に腰かけて他の2人が到着する
のを待っていた。ところが、待ち合わせ時間を過ぎてもその二人がなかなか
姿を現さない。おかしいなあ、連絡した方がいいかもと思い始めた矢先、
Aさんが部屋の中から登場した。

   「べに丸さん、ごめ~ん。早めに着いたら入り口のところでBさんと
   ばったり会ったもんだから、何となくそのまま部屋に入って2人で準備
   始めちゃった。

   べに丸さんが来ないので、メールしようかと思ってたところ」

わっ、それはないよ~。まるで私が遅刻したみたいなことになっちゃってる。
ちゃんと時間前に到着して、他の二人を待っていた私の立場はどうなるの?
全員そろってから部屋の中に入るというのがお約束ですよ!

ひっそりと心の中でダメ出しをする私でありました。



できるかな

2011年11月16日 | 要約筆記&手話

サークルの学習会でいつかやってみたいと思っていることがひとつある。
要約筆記の文章を難聴者と同じ環境で見る…そういう練習ができない
かなあと考えているのだ。

私が思いついたのは、筆記者が音源をイヤホンで聞きながら書くという
方法だ。つまり、スクリーンを見ている人たちには素材の音が聞こえない
状況を作りだすというわけ。

要約筆記だけを頼りに内容を理解しなくてはならないから、文章の捨て方、
まとめ方、言葉の選び方などがそのまま理解の可否につながるはず。
すごく勉強になりそうじゃない?

あるサイトで見た、難聴者のこんな発言にハッとしたことがきっかけなの
だが…

  「逆に要約筆記者も、ろくな情報を受けられない難聴者の立場に
   立って要約筆記を見るという勉強もいっぱいして欲しいな」   

本当にそのとおりだと思ったのだ。実際にやるとしたらいろいろ難題は
ありそうだけれど、でも私が学習当番になった時にはトライしてみようかと
結構本気で考えています。


タイムキーパー

2011年11月12日 | 要約筆記&手話

ある現場、OHP。10分交代ということで始まった。私は引き手から
スタートしたので次はサブへ回る。サブの席についてまずやることは
時間のチェックだ。あらっと思った。10時に開始したから、一回目の
交代直後の時間は10時10分のはず。

だが、すでに長針は12分を回っている。まあ、多少のズレはあり得る
ことなので少し短いとは思ったが、キリの良い10時20分で交代した。
ところが、そのあともサブの席で確認するたびに1分とか2分とかが超過
している。このアバウトさは、私の直前にサブの席につくAさんの癖なの
かもしれない、と気付いた。

ちょっと困るかも…と一瞬悩む。

サブの仕事は山のようにあって、交代時間のチェックもそのひとつだ。
出来ればきりのいい数字がありがたい。21分の10分後とか、42分の
10分後とか細かい計算は私の手に余ってしまう。仕方ない、その都度
キリのいい時間で交代することにする。12分だったら20分、21分だっ
たら30分という具合にね。

こういうやり方、意見の分かれるところだと思う。Aさんの前にメインに
入るBさんが常に1,2分長く書くことになるというのは私のせいでは
ないとしても、逆にAさんのメイン時間は常に10分に足りないまま進行
していくわけである。

不公平感は否めないと心の中でつぶやきながら、なんとも細かすぎる話
ではあるなあ、と思ったことでした。


ベストポジション

2011年10月22日 | 要約筆記&手話

 

先日ボランティアで情報保障に出かけた時のチームは、私にとって最高の
メンバーだった。AさんとBさん、共に要約筆記歴が長く、力量は抜群。
他人に余計なプレッシャーを感じさせない穏やかで控えめな人柄。

私がメインで書く時はAさんがサブに入ってくれたのだが、もう大船に乗った
気分だ。飛ばした部分を確実に補筆してくれるから、私はどんどん先へ進む
ことができる。そこはもう、あうんの呼吸というやつ。

引き手のBさんは、私の癖を呑み込んで早め早めにロールを引いてくれる
ので、とっても書きやすい。そのBさんにサブでつくのは私だ。彼女の筆記は
ほぼ完ぺきだから、私のする仕事はただひたすら見守るだけという安心感。

その日の私は、まさにベストポジションに入れてもらったというわけである。
この二人にとっても、私が良いメンバーだと思ってもらえるようになるのは
いつのことだろうか。続けていればいつかきっと…


その落ち着きを見習いたい

2011年10月15日 | 要約筆記&手話

Xさんの仕事ぶりはすごい。要約筆記に対する姿勢が確固としている。
要約力も日本語の力も群を抜いているし、文字の美しさは惚れ惚れ
するほどだ。

何より特筆すべきは、その落ち着きっぷり。速度のある多少難解な素材に
出会ったとしても慌てない。書くスピードは一定、というか自分のペースを
決してくずさない。だから文字は乱れず美しいまま。それでも、意味不明に
なるほど内容が欠落しないということは見事に要約できているってことよね。

翻って、私のあわて者ぶりは目を覆いたくなるひどさだ。歯車がかみ合って
いるうちは良いのだが、ちょっとしたタイミングで「だめだ!」と思ったとたんに、
話の中身を理解して聞くことができなくなる。内容を把握しないまま要約する
ことは不可能。それでも書かなくちゃならないから、ひたすら追っかけて筆記
することに。必然的に書く分量が増えるから文字は汚くなってしまう。

人が一定時間にかける文字の量は練習したからといって そうそう増える
ものではないし、著しく個人差があるとも思えない。大事なことは落ち着いて
聞くこと。そしてしっかり内容をつかみ要約すること。書く内容に自信が
あればそれなりにきれいな文字が書けるというものだろう。

でもねぇ、慌て者という性格は生まれつきだから、見習いたいと思っても
一朝一夕に身に着くものではないのです。




要約筆記は筋力勝負

2011年10月12日 | 要約筆記&手話

屋外のイベントなどで要約筆記をする時に活躍するのは、ホワイトボードだ。
ある現場では、足付き白板を二枚用意してくれた。

まず1人が左の白板から書き始める。下まで書いたら次の筆記者が二枚目の
白板にリレーして書き続ける。その間に最初の白板はきれいに消しておいて、
1人目の筆記者が再び書いていく。これを繰り返すわけである。

ただ、白板の難点は常に中腰で書かなくてはならないということ。書き手の体で
文字を隠さないようにする、というのが肝心なことだからね。30分も書き続けて
いるとけっこうなダメージで、脚はガクガクだ。

   **********

 

あるいは、余分なスペースがほとんどない会場でOHPを書いた時のこと。そこは
300人くらい入るホールだったのだが、スクリーンとOHPをセットしただけで
スペースはきちきちになってしまった。引き手の座る場所がないので、仕方なく
観客用シートの肘かけに座ることに。

 

その苦行が20分毎に回って来るわけで、一日書いていたらお尻が痛くなって
往生した。おまけに不安定な姿勢を続けたせいで、翌日は背中が妙な筋肉痛
になってしまうし。

   **********

要するに、さまざまな条件の下、何とか工夫して機材をセット、少しでも体への
負担を軽くする工夫をしながらペンを動かし続ける、それが要約筆記奉仕員
なのです。体力はもちろんだけど 「筋肉力」 が必要かなあ。

 

 



うかつだったなあ、私

2011年10月02日 | 要約筆記&手話

Bさんから私宛にこんな文面のFAXが届いた。

  「べに丸さん、Aさんに連絡をとりたいのですが、彼女の電話番号を 
   私知らないんです。お手数ですが、べに丸さんからAさんに、私へ
   電話を下さるようにFAX連絡していただけませんか?」

事務局をやっているので、私は会のメンバーの連絡先を相当程度把握
している。それで、Bさんは私に依頼してきたのだろう。

ただ、なぜにこんな面倒な手順を踏まなくてはならないのか。Bさんが私に
電話をして、Aさんの連絡先を尋ねてくれれば済む話ではないのか。
浅はかな私はついこんな風に考えてしまったのだが…

Bさん曰く 「たとえ知人であっても、本人の承諾なしにその個人情報を
勝手に聞き出すことは出来ないと思ったんです。確かにまどろっこしい
やり方なんですけどね」

個人情報保護法のカバーする範囲がどの程度までなのか、という点は
置くとしても、Bさんの言うことは、なるほどもっともなことだなあと私は
自分の認識不足を恥じた。

Bさんの所属するサークルは、そのあたり、実にきちんと筋を通すことを
メンバーに徹底している。それに引き換え、事務局たる私の何とルーズな
こと。赤面しつつ、しっかり学習したのでありました。


心配性

2011年10月01日 | 要約筆記&手話

昨年度、私はある委員会で情報保障をセッティングする係になった。毎回
コーディネーターの人に 「いついつ、どこどこで、OHPを使います。要約筆記者
3名お願いします」 と依頼するのが役目だった。その時は委員会の取り決めで、
情報保障に来てくれる要約筆記の人たちにロールとペンを持ってきてもらうこと
になっていた。

でも、私はいつも心配だった。当日来てくれる人が万一ロールを忘れてきたら
どうしよう、ペンがないなんてことになったら大変だ。それで、会合があるたびに
私もこっそりと、OHPロールやペンを山のように抱えて出かけていたのだった。

幸いなことに、その大荷物はいつも無駄になったんだけれどね。

ある会議の席でのこと。本来用意すべき立場の依頼者側がロールもペンも
持ってくるのを忘れてしまった。やむを得ず2時間の会合をホワイトボードに
マーカーペンで書くという形で情報保障してもらったという。

大らか過ぎるにも程がある~、というのが私の感想。要約筆記者にはすごい
負担を強いることになるし、利用する人たちにとっては十分な情報保障が
得られないということでもあるし…。

こういうことって、心配性なくらいでちょうどいいような気がします。


分科会って何ですか

2011年09月22日 | 要約筆記&手話

 

木曜日は手話講習会の日。毎回新しい単語を習うその中に、今日は
「分科会」 という言葉があった。

左の掌の上で右手の手刀を3回ぐらい縦に滑らせるのが 「分科」、
次に両手の指先を合わせて屋根の形を作り 「会」 を表す。
なるほどねぇ、と思いながら練習していたら、誰かが質問した。

  「分科会って何ですか」

1人2人ではなく、数人の受講生が首をかしげている。分科会って
そんなに難しい言葉? それとも既に死語になっちゃってるのだろうか。

思い出すのは、若い頃参加したいろいろな集会のこと。仕事上の「研究会」、
子供が生まれてからしばしば出かけた 「日本母親大会」、 相談員に
なってから毎年動員されて行った 「消費者フォーラム」…どの会にも必ず
いくつもの分科会があったから、私にとっては何の違和感もない言葉なのだ。

ふと見れば、分科会という言葉に首をかしげているのは、みんな若い人たち
ばかり。そうか~、これがいわゆるジェネレーションギャップというやつなのか
もしれない。ちょっとがっくりの私です。