横腹に1センチメートルほどのスリットが入った太い竹筒を部屋の
片隅で発見した。要約筆記をやっていた数年前、聴覚障害者センター
から預かった募金箱だ。いつのまにか忘れられ放置され、ホコリを
かぶっている。
当時は、各種イベントがあるたびに持って行き設置しておくと、誰かが
コインを入れてくれた。それ以外は、我が家の玄関先に鎮座。
夫と私が気まぐれに100円玉を入れたりしていたのだが、どこかの
段階で片づけてしまったんだわね。
持ち上げると結構重い。測ってみたら2キロ近くあるではないか。
硬貨の重量は侮れない。どうしよう。本来ならとっくの昔にセンターへ
返却すべきものだったのだが。
すっかり縁の切れた場所へ出向く敷居の高さもさることながら、持参する
にはあまりにも重い募金箱。
えぃっ! 開けちゃおう。そして中身を書留で送ろうと決めた。
ノコギリを持ちだし竹筒を真っ二つ。10円玉、50円玉、100円玉が
ザラザラ、全部で4000円弱あった。お詫びの手紙を同封して郵便局
から発送した。
気がかりがひとつ減って、ほんの少しホッとしている。