3LDKの間取りで立地もまあまあだから、通常なら家賃は10万円
でも高くはない。それが5万円というそのわけは、新築間もない頃、
その部屋で入居者が自殺をしたからというものだった。
20代のF子さん夫婦は、その事情を聞いても臆することなく契約。2
年の月日が経過した。ところが、契約更新時期になってオーナーの意を
受けた不動産業者から1万円の値上げ通告があったのだ。納得できない
F子さんは消費生活センターへ相談した。
「契約のとき業者は、100円の価値が1円に下落するほど
の経済変動がない限り、値上げはしないといったんですよ。
それなのにいきなり1万円の値上げだなんて、応じられる
はずありません」
業者のたとえは極端すぎるけど、まあ、それくらい値上げの可能性を否定
して、この部屋を貸したかったのね。
5万円の家賃が6万円になるというのは一挙に20%もの値上げだから、
通常なら不当と言えるかもしれない。ただ、相場というか同じマンション
の他の戸と比較したら、それでもまだ相当安いとも言えるわけで…
まずは、値上げしないという約束を楯に、全面拒否してみる。次の段階は
いきなり1万円は無理だから半分にして欲しいと交渉する。それでだめな
ら調停という手段がありますよ、と助言した。
自殺者が出たということを隠したまま賃貸していたオーナーが、店子から
損害賠償請求の訴えを起こされて敗訴した判例がある。場合によっては借
り手がつかないままになるところ、格安とはいえF子さん夫婦が入居して
くれたのは、貸し手にすればかなり好都合なことかも。
一方、10万円の価値のある部屋に、値上がりしたとしても6万円で住め
るということは、何だか超ラッキーではないかという気もするし。
こういうご相談、消費生活センターの手には余ってしまうのです。





