「そういえば、お姉さんNHKの受信料を普通に払っているのかしらね」
母が思い出したように言う。母の姉、すなわち伯母のことである。
母と伯母は奇しくも同じ心臓の手術をしていて、それぞれ身体障害者
手帳1級の所持者である。しかも収入は年金だけ。母は手続きをして
受信料が全額免除になっている。
同じ条件を満たしている伯母も手続きさえすれば当然「全免」になる
はずなのだ。だが、そんなこと思いつきもしなかった。
伯母のためになることなのに検討さえしなかった私たちの何という
迂闊さ。遠方の老人ホームに入居していて、そうそう頻繁に訪問でき
ないってことを差し引いたとしても、実の子どもだったらもうちょっと親身
になっていたわよねぇ。
次に伯母を訪ねるとき、ぜひ意向を訊いてみなくては。
********
ただ…手続きに必要な住民票と非課税証明書を取るには委任状が
要るし、障害者手帳の現物を役所の窓口に持って行く必要があるし、
実際のところ超めんどくさいのである。
手続きはすべて伯母の住所地でやらなくてはならないのだから。
たぶん一回じゃ済まないだろうなあ、またホテルに一泊かなあなどと
こっそり溜息をついている私です。