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12月16日:虚空に浮かぶ超新星残骸 かに星雲(M1)

2016年12月16日 06時00分00秒 | 天文・宇宙

2005年、すばる望遠鏡で狭帯域フィルタを用いた高赤方偏移の水素ライマンα輝線銀河の観測をやっていた際に、たまたま同じフィルタで酸素の輝線が観測できることを思いついて、短時間の積分で撮った懐かしい画像です。その後、1988年にキットピーク天文台で撮られたCCD画像と比較して、「ジェット」と呼ばれる構造からかに星雲の膨張速度を実測しました。まさに爆発でひろがりつつある星雲を実感することができる画像でした。ここからかに星雲の爆発時期を推定すると、西暦1055年プラスマイナス24年となり、それまでの推定(1100年頃)よりも中国の記録にある1054年にずっと近い時期となりました。この結果は実は論文としても公表しています。
 
この画像を取得してからはや10年。かに星雲はさらに膨張しているはずです。上述のキットピークの画像は「ジェット」部のみでしたので、Suprime-Cam が退役する前に、ぜひ、同じフィルタで新しいかに星雲の全体画像を撮ってもらいたいところです。星雲全体が膨張している様子が見えるはずです。

<出典>: 「国立天文台:今週の一枚」

<大判>: イメージをクリック

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