人生アラカルト

どうせ過ごすなら楽しくね。

盃に住んでいた竜の話

2022-10-21 10:39:41 | 懐かしや
盃に住む龍の話。

コレクションというほどのものでな
いけれど、私はのんべいだったころ
盃を集めていた。

そのうちの一つ、九谷焼の杯に龍が
一匹住んでいた。

龍は普段目をつむって寝ているが、
盃に酒を注ぐと目を開ける。


「おう、今日は何の酒だ。相変わら
安い酒いれやがって」

龍は口が大層悪い。
富山の妹がかぶらずしを送ってきた。
かぶにブリの塩漬けをはさみ、こう
じで漬け込む。金沢、富山に伝わる
豪華な冬の珍味だ。
冬になるとそれぞれの家で漬け込む。

酒には最高のあてになる。

「うまい酒はないのか」と龍。

いや、この酒は**姫と言って加賀で
一番の銘酒なんだぞ。


「高い酒ならなんでもいいと思ってい
るんだろう。かぶらずしにはきつすぎ
る。++正宗あたりでいいだろう」

龍の奴好きなことをいうが、当たって
いるかも。++正宗は金沢の酒で、う
まいものがそろう金沢で決して料理を
負かすようなことをしない。分をわきま
えて料理をおいしくし、ほどよい酔い
を誘う。

「おう、飲め」
龍はぎろり、目を開いた。
(2018年のブログから)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿