シネマトリックス

面白かった映画、つまらなかった映画、見なかった映画は空想で・・今はたまののんびり更新です。

初体験なの~~~!!「秋刀魚の味」

2006-07-13 22:35:26 | Weblog
62年小津安二郎監督作「秋刀魚の味」

昨晩生まれて初めて小津さんの作品を見たよ~~

たぶん20代で見たら「つまんね~~の」だっただろうな
今見てよかつた~~~

あの独特のカメラと独特の話言葉・・

「あ~~ちょいとこっちに来なさい」(ちょいと・・ですよ)

「君、嫁に行くそうだね」
「はい」
「おめでとう!幸せにやるんだよ。君、いくつになったかね、さんかね?しかね?」(さん・・は23、し・・は24を意味する)
「しです」
(この会話は会社の上役と部下の会話なので、今なら楽勝でセクハラ)

「おまえ、嫁に行かないのか」
「そりゃ、行くわよ。行かないとは思ってないわよ。そんなこと考えちゃいないわ」
「そうか、行くのか」
「そりゃ、行くわよ」

ひたすらこんなセリフの応酬。

しかも、この映画の中で何分間、酒飲むシーンが出てくるか???
いや~~みなさん、よく飲みます。

全編に淡々とした柔らかい孤独感が漂っている・・乾いているんだけど、殺伐としていない。切ないけど感傷的にはならない。

何かいいね~~俳優さんたちも素晴らしい方ばかり・・
特に笠智衆さんは素晴らしいな~~

画像は笠さんの息子の嫁役の岡田まり子様。キレイですな~

最も印象的だったのは、岩下志麻さん(笠さんの娘役)が好きな彼にすでに恋人がいることがわかり、自室で静かに泣くところ。笠さんが慰めにくる。後姿の志麻さん。そのヘアスタイルはぴっちりとしたアップなのだが、片方だけ一部髪がほつれて下がっている。「あ、髪がすこ~~し乱れているな」と思った瞬間、志麻さんがそのほつれた髪をきゅっと上に戻すの。

何かね~~そのタイミング。気丈な彼女の性格がこんな細部に表現されている・・
今、なかなかこういう余裕をもった映画って見ることはできないですね。